恋と俺たち
橘立花。
赤神高校の1年A組のクラス委員である。
本来真面目な性格である立花は、これまでも様々な委員会などをつとめてきた。
そして、この赤神高校でもクラス委員をつとめることになった。
クラス委員としての彼女の役目は、主に学校の規律を乱すような行為を忠告することだ。
クラス委員としては問題を起こすより、問題を未然に防ぐことに重きを置いている。
だから、彼女は常に目を見張らせているのだ。
そんな彼女が今一番手を焼いているのが…。
「こら!台東くん、掃除サボっちゃダメでしょ!」
立花はミキオに向かって注意する。
「俺は真面目にやった上でふざけているんだよ。なぁ、タクロー」
「それ、真面目にやったことにならないから」
タクローがツッコミを入れる。
「ミキオはこの掃除の時間ずっとふざけてるよな」
カズが床を雑巾で拭きながら言う。
「とにかく、ちゃんと掃除しなさい!じゃないと…」
「じゃないと、何だよ」
ミキオが立花の顔を覗きこむ。
「な、なんでもないわよ!」
立花は掃除に戻る。
「何だよ、何かあるなら言えよ」
ミキオも掃除に戻る。
「…近かったな…」
立花は顔を赤らめたまま、ほうきを動かす。
立花はミキオに片想いをしていた。
だが、それはまだ誰も知らない。




