ラジオと俺たち
「眠れないな…」
夜の1時。
ミキオはふと目が覚めた。
まだ辺りはとても暗く、とても起きるような時間では無い。
しかし、あまり眠くない。
どうしたらいいものか。
そうだ。ラジオを聴こう。
ミキオは傍らに置いてあるラジオにイヤホンを差し込み、ダイヤルを回した。
「さぁ、始まりました、『真夜中のハイテンション』!」
パーソナリティのテンションが異常に高い。
「聴いたことないな」
ミキオはつぶやいた。
「さぁ、いきなりお便りを紹介しましょう!ラジオネーム『まだ眠い』さんから」
「そりゃ、まだ夜中だからな」
ミキオが笑った。
「僕は友達の中ではどっちかというといじられキャラで、いつも友達にイジられてばかりいます。それはそれでいいのですが、たまにはイジってみたいです」
「なるほどね」
パーソナリティはそこで一呼吸置いた。
俺のことか?
ミキオは共感していた。
「でも、イジるってことはその人に興味があるってことなんですよ」
パーソナリティはそう言った。
ミキオは聞き耳を立てた。
「その人に興味があるから、イジって反応を見たいんですよ」
ミキオはパーソナリティの言葉をずっと静かに聴いた。
「タクロー、カズ、おはよう」
次の日、ミキオはタクローとカズに挨拶した。
「おはよう」
ミキオはタクローとカズをニヤニヤしながら見た。
「何?なんか付いてる?」
カズが聞いた。
「いや、別に」
ミキオはニヤニヤしながら席に着いた。




