帰る俺たち
赤神高校は部活動が盛んである。
野球はもちろん、サッカーバスケットボールなどの運動部は大会で好成績を納めている。
この部活動に入りたいがために受験する生徒もいるほどだ。
文化部も茶道部や美術部などが各大会で賞をたくさん獲得している。
赤神高校は「部活動の学校」という呼び名があるぐらい部活動が盛んなのだ。
「部活なんて何の意味があるんだよ」
学校の帰り道、ミキオが声を出して言った。
「それは、スポーツや創作活動を通して何かを得るためじゃない?」
タクローが回答した。
「『何か』ってなんなんだよ。わからないもののためにやるのかよ」
ミキオが口を尖らせる。
「そうだな…、例えば野球とかサッカーはチームプレーじゃない?そういったことを通して友情を育んでいくとか」
「俺たちはスポーツしなくても仲がいいぞ」
タクローの力説をミキオはさらっと流した。
「ミキオってなんか性格歪んでない?部活入って鍛えたら?」
タクローがちょっとムッとして言った。
「な…?俺は歪んでねぇよ!」
ミキオもこれまたムッとしてタクローに詰め寄った。
「ミキオは部活より山ごもりの方が効き目あるぞ」
カズがタクローに加勢する。
「やらねぇよ!必殺技なんかあみださねぇよ!」
ミキオの声が大きくなる。
「言葉づかいも悪いよね。その性格にそれじゃ人が寄りつかなくなるよ?」
タクローの言葉を遮るように、
「うるせぇ!」
とミキオがタクローに飛びかかった。
「散々俺の悪口言いやがって!そういうお前こそ性格歪んでるんじゃねぇのかよ!」
「ごめんミキオ、許して…」
ミキオがタクローともめていると、
「でも、部活なんてめんどくせぇし、俺はやりたくねぇけどな」
とカズが笑いながら言った。
一番歪んでるのはカズじゃないのか?
ミキオとタクローは止まってジッとカズの方を見た。