にわかと俺たち
「ガンバレニッポン!ニッポン!」
ミキオがラグビーのユニフォームを着て、何かを叫んでいる。
「どうしたのミキオ?そんな格好して」
カズが聞いた。
「今年はラグビーのワールドカップがあるだろ?だから俺も応援したいなぁと思って」
ミキオはかなり気合いが入っている。
「ミキオってラグビーに詳しかったっけ?」
「いや、あんまり詳しくないよ」
ミキオはケロッとして言った。
「え?じゃあ、にわかじゃん」
カズが少し笑った。
「にわかで何が悪いんだよ!」
と、いきなりミキオが怒った。
「な、何怒ってるんだよ」
「いいか、世の中のファンは全部にわかから始まってるの。だって、興味を持ってもらわなきゃファンになんてなりゃしないんだから」
「まぁ、そりゃそうかもしれないけど…」
カズがたじろぐと、
「ファンであろうとにわかであろうと、応援する気持ちは変わらないはずだ!」
とミキオが詰め寄る。
「い、言われてみればそうかも…」
カズは自分が間違っていたかのような顔をした。
「ミキオ、俺が間違っていたよ。ファンであろうがにわかであろうが応援する気持ちは一緒なのに…」
「カズ、いいんだ。一見すると違うかもしれないけど、俺たちはきっと分かり合える日が来るからさ」
ミキオとカズは、握手をした。
「何これ…」
それを横目で見ていたタクローが呟いた。




