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褒める俺たち

「なんか褒めて欲しいな…」


ミキオがふとそんなことを言った。


「いきなりどうしたの?」


カズが聞く。


「いや、俺ってキャラ的に褒められることが少ないんだよ。だから褒めて欲しいんだよ」


ミキオは訴えるように言った。


「だとしても、突然すぎるだろ…」


タクローが言った。


「なぁ、なんか褒めてよ」


ミキオは2人に褒めて欲しいと訴えた。


「まずは、カズ」


ミキオが指名した。


「え、俺?」


カズは何とか褒め言葉を絞り出した。


「ミキオって元気だよね」


「元気?」


ミキオがキョトンとした顔をした。


「なんかピンとこないな」


ミキオは首をひねった。


「ひどい…」


カズは頭を抱えた。


「じゃ、次はタクロー」


ミキオはタクローに振った。


「地獄のフリがきた!」


タクローが必死に考える。


「ミキオは、アクティブだよね」


「アクティブ?」


ミキオが顔をしかめる。


「なんか、いつも休みになるといつも外に出かけるだろ。それがアクティブだなぁって」


「なんかピンとこないな」


ミキオはタクローの言葉を容赦なく斬る。


「…恥かいた…」


タクローも頭を抱えた。




「あ。ここで何をしてるの?」


中尾が話しかけてきた。


「あ、中尾さん。2人には『俺を褒めて欲しい』って言ったのに、全然ピンとこないんだよ」


「ピンとって…」


カズが言う。


「そうだ。中尾さん、俺のことを褒めてくれない?」


「え?私がミキオ君を?」


中尾はびっくりした様子でミキオを見る。


「なんでもいいから」


ミキオが促す。


「ええと…」


中尾は褒め言葉を絞り出す。




「ミキオ君はいつも元気でクラスを明るくしてくれるよね。ミキオ君がいるからいつも雰囲気がいいし、みんなの仲もいいんだと思う」


「う、うん…」


「あと、ミキオ君は分け隔てなく人と話しかけてくれるよね。それってスゴいことだと思うよ」


「そ、そう…」


「あと、ミキオ君は優しいよね。自分のことよりも人のことを優先して動ける人だと思う」


「そ、そうかな?」


ミキオの頬が赤らむ。


「こ、こんな所かな」


中尾は恥ずかしそうに笑った。


「な、中尾さん、ありがとう」


「いや、こちらこそ。じゃあね」


中尾は自分の席に戻っていった。


ミキオはしばらく呆然としていた。


「ミキオ?」


カズがミキオの肩を叩く。


「明日どうなってもいい…」


ミキオがそう呟くと、


「なんで?」


とタクローとカズがつっこんだ。

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