掃除と俺たち
ミキオ、タクロー、カズの3人は学校の掃除当番をしていた。
「あぁ、つまんねぇ」
ミキオがほうきを動かしながら言った。
「しょうがないじゃん。今週は俺たちが掃除当番なんだから」
タクローが言う。
「でもさ、なんで掃除する人を決めるんだよ。掃除なんて気がついた人がやればいいじゃん」
ミキオが口を尖らせる。
「まぁ、それはそうかもしれないけど…」
タクローが口ごもると、
「でも、中には気づいても見て見ないふりしたりする人もいるんだよ」
とカズが言う。
「え?」
「そういった人達のために、掃除をする人を決めているんじゃないか?」
カズが雑巾で床を拭く。
「だからって、やっぱめんどくさいよ。別に当番にしなくてもーーー」
ミキオがそこまで言うと、
「ちょっと、台東くん!掃除をサボらないでよ!」
と立花が入ってきた。
立花も3人と同じ掃除当番である。
「お、うるせぇのが来た」
「うるさいとは何よ!」
立花は水の入ったバケツを置く。
「なぁ、橘」
「何?」
ミキオに聞かれて、立花がミキオの方を向く。
「掃除当番ってめんどくさくないか?掃除なんて気がついたやつがやればいいとおもうんだよ。橘もそう思うだろ?」
ミキオは自分の持論を恥ずかしげもなく喋った。
立花はしばらく間を開けた後、
「何言ってるのよ!当番を決めて掃除をするのは当たり前でしょ!変なこと言ってないで掃除しなさい!」
とミキオに対して怒った。
「…はい」
ミキオは力無く返事をし、掃除に戻った。
「これが本当の『一掃』ってやつか」
「…うまくないよ」
タクローがカズに突っこんだ。




