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寝てない俺たち
「ミキオ、授業中寝てただろ」
休み時間、タクローはミキオに聞いた。
「えっ?なんで?」
ミキオが聞き返す。
「授業中にチラッと見たら、下向いてウトウトしてたんだよ」
「いや、あれはたまたまそういうことをしていただけで…」
ミキオが必死に弁明する。
「それだけじゃないよ。またチラッと見たら、目を閉じていたんだよ」
タクローが言った。
「あ、それ俺も見た」
カズも同調する。
「あれは集中するために…」
ミキオが言い訳をする。
「いや、あれは寝てただろ」
「1回も寝てないよ」
「いや、寝てたよ」
タクローが食い下がる。
「あのな、俺は昨日珍しく早く寝たんだ。だから眠くなるはずがないんだ」
「あ、珍しい」
カズが言った。
「だから、俺が授業中に…、眠くなるはずが…ないんだよ…」
ミキオはそう言うと、机に突っ伏した。
「…これは寝たな」
タクローが言った。
「うん、完全に寝た」
カズも言った。
ミキオはすやすや寝息を立てて眠りについた。




