提出期限と俺たち
「ちょっと、台東くん!」
六花がミキオの席に来て怒っている。
「なんだよ、朝っぱらから」
ミキオはめんどくさそうな様子だ。
「進路希望のプリント、明日が提出期限でしょ!それなのにまだ出していないでしょ!」
六花がそう言うと、
「あれ、俺まだ出してなかったっけ」
とミキオがとぼけた。
「出してないわよ!いいから早く出しなさい!」
六花はまたミキオに詰め寄った。
「…いや、実はまだ持ってきてないんだよ」
ミキオが苦笑いした。
「…持ってきてない?」
「まだ決めてなくてさ」
ミキオは何とかこの場を取り繕うと必死だ。
「…しょうがないわ。じゃあ、明日はちゃんと持ってきてね」
六花はミキオの席を離れた。
「それはミキオが悪い」
タクローがミキオに指摘した。
「ごめん、つい後回しにしちゃって…」
ミキオがまた苦笑いをする。
「とりあえず明日は出した方がいいよ。六花は怖いぞ」
カズが忠告する。
「わかった、わかった」
ミキオは返事をした。
次の日、ミキオは六花に進路希望相談書を提出した。
「良かった、ちゃんと書いてきたのね」
六花は笑顔を見せた。
「…まぁな」
ミキオはどこか浮かない顔だ。
「どれどれ」
六花が進路希望相談書を見ると、表情が曇った。
「…台東くん、これ、どういうこと?」
六花はミキオに進路希望相談書を差し出した。
そこには「検討中」と書かれていた。
「いや、まだ決めてないから…」
またミキオが苦笑いをした。
「これでいいわけないでしょ!」
六花がまた怒った。
「台東くん、今日までにこれ書き直して!」
「え!」
ミキオは頭を抱えた。




