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釣りと俺たち

休みの日、ミキオ達は釣り堀に来ていた。


「俺、釣りをするの初めてだよ」


ミキオは釣り堀から借りた釣り竿を肩にかけながら言った。


「俺も初めてだよ」


カズは釣り竿を手に持ちながら言った。


「俺は何度かやったことあるかな」


タクローは自信満々に言った。


「マウント取るなよ。ちょっと経験があるぐらいで」


ミキオが口を尖らす。


「いや、そんなつもりはないよ」


タクローは、手を左右に振った。




「よし、じゃあ釣るぞ」


ミキオが言うと、3人は一斉に釣り堀に糸を垂らした。


「ビギナーズラックを見せてやる!」


ミキオはやる気満々である。


「1匹でも釣れたらいいなぁ」


カズは対照的に控えめである。


「まずは1匹釣りたいな」


この中で唯一の経験者のタクローは、余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)だ。




すると、タクローの釣り竿に当たりがきた。


「お、引いてる!」


タクローは釣り竿を引いた。


すると、大きなイワナが水から姿を現した。


「やった!釣れた!」


タクローはガッツポーズをした。


「よし、俺も釣るぞ!」


ミキオとカズは釣り竿を持つ手に力をこめた。


「お、きた!」


今度はカズに当たりがきた。


「リールを巻いて!」


タクローがアドバイスを送る。


カズが懸命にリールを引くと、イワナが釣り堀から姿を現した。


「やった!」


カズはイワナを手に持って、ピースをした。




まずい。


ミキオは焦っていた。


なぜなら、これで魚を釣り上げていないのはミキオだけになってしまったからだ。


釣り竿の先の方を見るが、魚が食いついた様子はない。


このままボウズになってしまうのか。


その時、ミキオの釣り竿がピクッと動いた。


「きた!ついにきた!」


ミキオはすぐ釣り竿をあげると、リールを巻き上げた。


「ミキオ、ゆっくりリールを巻き上げるんだぞ」


タクローがアドバイスするが、ミキオはそんなことは聞こえていないかのようにリールを巻き上げるのに必死だ。


絶対に釣り上げてやる。


ミキオはそれだけの思いでリールを巻き続けた。




陸上に姿を現したのは、魚ではなく長靴だった。


ミキオはガックリとうなだれた。


「ミキオ、俺の釣った魚分けてやるから」


タクローの声も聞こえないほど、ミキオは意気消沈していた。

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