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第107話

「まぁ、真面目な話。今日は君が一人になった時どう行動するか見るために置いていったけど、ハウルは僕の家を知ってるからね。僕の留守を狙って君に接触しないとは限らないからさ。今日みたいに僕が君を同行させられない場所に出向かなければならないことがない限り四六時中傍にいてほしいかな。もちろん寝起きは当然、お風呂もね。」


ルイスはそういいながらにっこりとほほ笑んでくる。


そんなルイスにちょっと私もドレッドのように「エロオヤジ」と言いたくなってしまうけどその気持ちをぐっとこらえ、無言を返す。


するとルイスは困ったように笑いの息を漏らすと私に歩み寄り、抱き着いてきた。


「ハウルと君をもう会わせたくない。きっとハウルは君にひどいことをすると思うから。」


「……ルイス。」


私は不安げに私に抱き着くルイスをそっと抱きしめ返す。


普段あまり動じないルイスがここまで気にするハウルさんは一体、どう危険な人なんだろう。


いや、正直危険なのはよくわかる。


いきなり恥じらいもなく嫁入り前のレディのデリケートなところに手を突っ込んでくるような男なのだから。


だけど……――――


(強くて頭がよくて、いつも堂々としているルイスをこんなに悩ませるんだもん。本当に私も気を付けたほうがいい人なんだろうなぁ……。)


アリステラではない今私は学園に通わなくていい。


ついでにルイスに連れられてきたことで闇ギルドの仕事の手伝いの件もなくなったというか、多分終わった。


つまりは出かける予定は今日のヴァルドの件が済んだ今、もう何もないと言える。


(せっかく傍にいていいって言ってくれてるんだもん。可能な限りルイスの傍に居よう。)


何時もながらに危険な状況なのだろうけどそんな状況に緊張感も危機感も持てない自分にすこし呆れはする。


だけど仕方ない。


そんな些細な事なんてどうでもよくなってしまうほどにルイスの傍に居れる今が幸せで仕方ないのだから―――――――。




「で、同行させられない場所へ行くときだけ俺の元に預けると。」


ルイスと暮らし始めて1週間ほどたったある日、ルイスがまた王宮に行くというのでルイスに連れられドレッドの部屋へとやってきた私にドレッドは迷惑そうな表情を浮かべた。


(うん、えっと、都合がいいのはわかってるからその顔やめてほしいなぁ……。)


ひどく不快そうな表情。


ちょっと傷つく。


「だったらそもそもここから連れ出すなって話なんだけどな。」


「まぁ、うん。それもそうなんだけどね……。」


闇ギルドにいる方がまだ私の居場所はごまかせると思う。


それは間違いない話だ。


でも――――――


「正直私はここに来れて嬉しいな。その、ルイスといれるのは嬉しいけどその、束縛が激しくて四六時中監視されてるから……恥ずかしくってあの家の中にずっといるのが気が気じゃないっていうか……。」


「監禁されてる上に監視されてる人間は普通それらを嫌がる理由に「恥ずかしい」とは言わないと思うんだが?」


照れながらルイスの家からここに来れたことを喜ぶ理由を話すとドレッドにひどく不快そうに冷たく言葉を吐かれる。


そりゃ、それが好きでもない人だったら多分不快だと思う。


でも、相手が好きな人なら自分の一挙手一投足に可笑しな部分やら幻滅される部分がないかとか心配になったり、ちょっと変な事をしたときにひどく恥ずかしくなってしまうものだと思う。


と、いうのは嘘ではないんだけど、もう一つここに来れたことで喜ばしいことがある。


「ねぇドレッド、少し聞きたいんだけど最近変な情報はいってない?」


「……変な情報?」


私は少し気を引き締め、ドレッドに問いかけるとドレッドは不思議そうな表情を浮かべて私の問いに首を傾げた。


(最近自分のことでいろいろいっぱいいっぱいだったけど、そろそろ時期的にクラウス王子暗殺未遂イベントが起きるはずだからその対策をしないと。)


最近自分のことばかりで人のことに気を回せなかった私はとりあえずはゲームのイベントをほとんど無視していた。


が、今回はそうもいかない。


(選択肢を間違えるとBADエンド……しかもBADルートが2個もあって、それぞれクラウス王子かヴァンお兄様が死ぬエンド。絶対その世界線だけは阻止しないと。)


イベントが発生するのは2週間後の王宮でのクラウス王子の誕生日パーティ。


だとしたら暗殺を企てている人間はすでに動いているはず。


その人物たちの情報が何かしら得られていないかと思い尋ねたのだった。


「……いや、ここ最近大きな情報は入手していないな。逆に聞くがどんな情報が欲しい?まぁ、一応気にかけてやってもいいぞ。」


別段嘘をついている様子のないドレッド。


つまり本当に現状情報がないという事は組織的犯行じゃないのかもしれない。


(犯人が結局最後の最後まで明らかにならなかったんだよね……今回の事件。)


そのせいで二人のストーリーでは誰が見方で誰が敵なのかわからず、クラウス王子が一層ヴァンお兄様に依存してしまうという展開になっていった。


まぁ、ちょっとヴァンお兄様のルートは攻略対象が王子だからか死亡BADの多いルートだ。


それを少しでもどうにかしてあげたいというのが私の今回の目的だったりする。


死亡BADが多い理由の一つ、それは何も対象が王子だからだけじゃない。


ヤンデレ王子ルート故に死亡BADも多いので私の今回の目的は死亡ルート回避、そしてクラウス王子のヴァンお兄様への依存度を下げよう大作戦なわけだ。


ま、簡単に言うと犯人を明らかにして周りの人間への疑心暗鬼を減らそうという事だ。


でも現実はそう簡単にはいかなさそうだ。


(気にかけてくれるとは言ったけどここで私がいきなりクラウス王子の暗殺を企んでる人がいそうっていうのもおかしい話だし……。)


最近接点のかけらもないのに何で知ってるの?と怪しまれそう。


というか最近の私の接点、ほぼルイスとドレッドしかないわけで……


(うわぁ、どう聞いても怪しい……。)


どうドレッドに言葉を返そう。


そんなことを悩む私をドレッドはただただ不思議そうにじっと見つめてくるのだった。

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