第103話
「最初に言っておくよ、アリス。この家についてきた以上何されてもついてきたアリスの自己責任。いいね?」
「うん!」
何やらひどく大げさな説明。
そんな説明を受けながら私はルイスの傍で気分を高揚させていた。
(何をされてもっていうのはその……愛を育むようなことだよね?)
ルイスとならもちろん大歓迎だ。
むしろお願いしますと言いたいぐらいだ。
なんて思っていると私はルイスにいつの間にやら首輪をつけられていた。
(…………へ?)
「うん、これで良し!」
これで良し。と、満足そうに声をあげ、笑みを浮かべるルイス。
気づけば私の首輪は太い鎖でベッドにつながれている。
幸い長さはある程度あるから普通に部屋の中は歩き回れそう―――――って、そうじゃない。
「あ、あの、ルイス?この首輪は……?」
どこからどう考えてもおかしいこの状況。
なんというか……
「その、ルイス。これじゃあ私、これからこの部屋に監禁される……みたいな感じに感じちゃうんだけど……。」
そういう手の展開のような、そんな気がして仕方ない。
いや、でもまさかルイスに限って「監禁」だなんて……。
そう思っているとルイスはにっこりと笑みを浮かべる。
そしてその笑顔は聞くまでもない。
「もちろんそういうことだよ。いったよね?何されてもついてきたアリスの自己責任。アリス、君は気づいていないかもしれないけど君は結構僕の嫉妬心を掻き立ててたんだよ?まぁ百歩譲ってライラ夫人は女同士だからいいとしても、知らない男に恥部を触らせた上にドレッドに裸をじっくりと見せてあげたんでしょ?」
怒っている表情だ。
「え?あ、いや、その、言い方が大げさというか、あの……。」
流石に大げさに言いすぎなルイス。
だけどなんか謎の迫力でうまく反論できない私。
そんな私をルイスがベッドに座るように促してくる。
とりあえず言われたままベッドに座る。
そしてその次の瞬間だった。
私は優しくルイスに押し倒された。
「そうだね、アリスの言う通り大げさかもしれない。だけどそれは君の尺度であって僕にしたら全然大げさじゃないんだよ。……だからね――――――」
ルイスの私より小さな手。
その小さな手が私の頬を優しく撫でる。
そしてその手はゆっくりと私の首筋に移動し、鎖骨をなでる。
「アリス……責任とって僕の気が済むまで君を食べさせてほしいんだけど、いいよね?」
幼子のような表情に男性にしては高い声。
そんな声で語り掛けてくるルイスはひどく大人っぽい瞳と声で私の理性を奪おうと誘惑してくる。
ギャップ萌えどころの話じゃない。
し、心臓に悪い……。
というか……
「ル、ルイスってその、私とそういうことすることに興味あったんだ……。」
なんというか、本当にこう、ルイスに体を求められているというこの状況が意外過ぎる。
ずっとまな板に興味はないとか言われてたし……。
あ、男の子だったら理想的とはずっと言われてたんだっけ?
つまり……――――
「も、もしかして身体が男の子になったから急に興味が……なんていわない……よね?」
だとしたら本当に見た目の問題で中身なんてどうでもいいとまで言わなくてもさほど大事じゃなくなる。
そう言われるのが怖いけどそれでも聞かずにはいられない私は恐る恐るルイスに尋ねた。
「……アリスって察しがいいのか悪いのか本当解らないよね。正直な話、君を好きになってからは抱きたいと思わなかったことなんて一度もないよ。ただ、それを口にして君に了承されるのが怖かったんだ。」
「……こ、怖かった?」
一体何を怖がる必要があったのだろう。
了承するという事は相思相愛という事で悪い事なんて何もない。
なのに……
そう思っているとルイスは静かに私の胸元のボタンに手を伸ばしてきた。
「アリス、君の知らない僕についての情報を一つあげるね。正直な話、僕はドレッドが時々僕につかう「エロオヤジ」って言葉ね、あれ、すっごく的を射てるなって思うんだぁ。」
「…………へ?」
一体どんな情報をくれるのか。
そうドキドキしながら情報を待っていた私にちょっと思いがけない情報が与えられ、私は間抜けな声をこぼす。
するとその声にルイスは小さく笑い、言葉をつづけた。
「本当はいつだってアリスを自分のものにしたいなって思ってたんだよ、僕。我慢なんて嫌いだし、むしろできない質なんだけど、君のことは大事にしたいって思って、せめて学業の邪魔にならないように両思いってわかりきってるけど「恋人」の関係になるのを拒んでたんだ。だって僕――――――」
ルイスの情報を教えてくれながらルイスはひどく手慣れた手つきで私のシャツのボタンを外しきると私の胸元に手をそっと置いて、そのまま自分の身体をくっつけるように私へと体を寄せてきた。
そして――――――
「性欲の強さが尋常じゃないから。ってことで覚悟してね、アリス。」
(は、はいぃぃぃぃぃ!?)
耳元で熱っぽくささやかれるとんでもない事実。
その言葉の意味を体をもって知るのに時間は必要なかったのだった……。