第101話
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「…………あ~、あれだ。これは単純な好奇心なんだが……その、触ってみてもいいか?」
「流石にいいわけないでしょ!!!」
どういう原理でこうなったのか。
それを少しでも判明させるべく私はいろいろな情報を持つドレッドに体を見てもらっていた。
「……生殺しってこういうことを言うのか……。」
「…………え?」
「あぁいや、お前体が男になったからってよく俺に裸見せれるなと思って。」
ぼそっと言葉をこぼしたのが聞こえて反応して見せると素朴な疑問が投げかけられる。
そういえばそうだなぁと思うけど、その答えはすぐに理解できた。
「まぁ、私の中でドレッドは私より女の子らしい女の子だからね……。」
むしろ今が魔法で男になってる。と、感じられるほどの女子力を見せつけられた後だ。
内心ドレッドはもう女の子認定しているわけだ。
「……アリステラ、男同士って面倒ごとが起きなくていいって知ってるか?」
「……え、何の話?」
なんだか突然胡散臭い笑みを浮かべながら訳の分からない質問を投げかけてくるドレッド。
その質問の意味が解らず首をかしげているとドレッドは私へと攻寄ってきた。
「俺が男だって体に教えてもいいんだぞ、このまな板男女。」
「ご、ごめんなさい……。」
攻寄ってきたドレッドの表情と声は笑顔だけど完全に起こっているというのが理解できた。
とりあえず身の危険を感じた私はすぐさま謝る。
そしてそんな私の反応にドレッドはため息をついて私から静かに距離をとった。
「ルイスさんを呼ぶからルイスさんが来たら昼間に何があったのか説明しろ。良いな。」
「…………うん。」
ドレッドはそういうと自室にある通信石の方へと歩き出した。
(えっと……多分説明しなくちゃいけないよね、ハーネスさんの事。)
出来ればルイスにはハーネスさんと関わってほしくない。
そう思うけどこうなった原因と思わしきハーネスさんのことを説明しないわけにもいかない。
(う~ん、不審者に突然股下に手を突っ込まれてこうなったとでも説明してみる?)
ある意味間違いではない。
けど、それでもし後々ルイスの元カレだと知っていたと知られたら……。
(勝手にルイスの情報受け取ったこと、そして接触したことを黙っていたことにルイス怒るよね……。)
話したくはない。
だけど正直に話さなければいけないと思う。
そんな感情たちから私は随分と沈んだ気持ちでルイスが来るのをドレッドと共に待った。
そして―――――――
「……ねぇアリス、ためしに触っていいかな?」
到着したルイスにも恥ずかしさを我慢しながら異常が発生した個所を見せている私に聞き覚えのあるようなワードが聞こえてきた。
「ル、ルイスと言えどちょっとそれは……。」
いや、むしろルイスだからダメだ。
好きな人に触られるなんて想像するだけでもう無理だ。
そう思い恥ずかしくなってきた私は近くにあったシーツにくるまり、自分の身体を隠した。
「……で、なんでこんなことになっちゃったの?心当たりはある?」
「…………あるといえば、ある。」
シーツにくるまる私の顔を覗き込みながら問いかけてくるルイス。
そんなルイスに私は歯切れ悪く返答を返した。
「……どうしよう。弱ってるアリスっていつも以上に可愛く見える。食べちゃいたい!」
「そいつの身体が男になったからって遠慮なく発情してんじゃねぇよ、エロオヤジ。」
何時もとは違い、少し息を乱しながら恐る恐る私に手を伸ばしてくるルイス。
そんなルイスにひどく冷たい声で言葉を投げかけるドレッドによってルイスはハッとした表情を浮かべた。
どうやら我に返ったようだ。
……ようだけど……
(顔も主な体つきもほとんどいつもと同じ私なのに……。)
そんなに性別が男であるか女であるか大事なのだろうか。
やはりルイスにとって大事なのは中身よりも外なのだろうか……。
なんて思っているとルイスは私の頬に自分の手を当ててきた。
「で、何があったの?まさかと思うけどアリスが望んで何か魔法を使ったとかじゃないよね?」
「そ、それは違うような、そうなような……。」
なんといえばいいのか。
願ったといえば願ったけど自分では何もしていない。
それを説明すべく私は昼間に起きたことを二人に伝えた。
けれどその前に先日ルイスをよく知っていそうな口ぶりで話すハーネスという男と酒場で話したことも伝えた。
あくまでルイスの元カレという事は知らないという感じで話を進める。
そしてすべて話し終わった頃、ルイスを見るとルイスは見たことがないほど冷たい表情を浮かべていたのだった。