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第三回なろうラジオ大賞用

お菓子と一緒に込めた想い

作者: 城河 ゆう

 俺には昔から仲の良い幼馴染みがいる。

 俺とばかり遊んでいたせいか、年頃のJKとは思えない程、ファンタジーな武器とかが大好きな、ちょっと変わったやつだ。


 でもまぁ、趣味も合うし、一緒にいて楽しいし、可愛いし――


 だから今回は、イベントに乗じて、長年の気持ちを伝えてみようかと、例年より気合いを入れてお菓子を作ったのだ。

 作り上げた力作を、手紙と一緒に小箱に入れる。




 そして、翌日。


 少しソワソワしながらも、1日の授業を終えて、放課後なった途端に、なぜか、とんでもない悪寒に教われ、咄嗟に鞄を持って教室を飛び出した――直後。


「あのヤロウ!逃げやがったぞ!」

「おい!お前らはあっちに回り込め!」



 おかしい、いったい何が起こっている?



 俺は幼馴染みのミサキに、お菓子を渡しに(告白しに)行こうと思っただけなんだ!


 そんな想いを胸に、暴徒と化した同級生達から逃げ回っている内に校庭へ出てしまい――そこで待ち伏せしていた、複数の同級生達に円形に取り囲まれてしまった。


「やっぱり、帰っちゃうつもりだったんだね。」


退路を断たれた俺は、聞こえた言葉にハッとして、包囲の外からゆっくりと近付いて来た声の主に、鋭い視線を向ける。


「ミサキ、親衛隊まで駆り出して……一体何のつもりだ?」

「ケンが悪いんだよ!毎年朝一でお菓子くれてたのに、今年は逃げるから!」


 いや、だって今回はちょっと心の準備とかが必要でだな!


「ま、まぁとにかく! 毎年、言う前に貰ってたから、ずっと言えてなかったけど、今日は、ちゃんと伝えるね! えっと……Dead or Alive♡」



 ………………ん?



 数秒考えてみたが、意味が分からない。


 なぜ目の前にいる幼馴染みは、可愛らしく首をかしげながら、俺の方へ両手を差し出し、生きるか死ぬかの選択を迫って来た?


 すると彼女の隣に居た奴が、何かを耳打ちした、次の瞬間。

 ボンっと音がするくらいの勢いで、顔を真っ赤にした彼女は――


「と、と、Trick or Treatぉ!!」


 両手で顔を覆いながら、やけくそ気味に叫んだ。


「ぷっ……ククク。」

「わっ、笑うなぁぁ!」


 真っ赤な顔のまま、両拳を上下に振って怒るミサキ。


「悪い悪い、ほら、今年の分。」

「……!!ありがとう!――うわぁ!氷砂糖の剣!格好いい……あれ? これ手紙?」


 あっ!しまった!


「えっと……『前から好--』……へ? ちょっ……コレって……」

「ここで読むなぁぁあ!」


 この後、親衛隊(ミサキちゃん応援隊)からの祝福(冷やかし)を受けたのは言うまでもない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まさかの「Dead or Alive」に笑ってしまいました。トリック・オア・トリートの大袈裟バージョンかと思ったのですが、単純に間違えただけだったんですね。
[一言] 氷砂糖の剣ってつくるの大変そう笑 親衛隊を使って彼を捕獲するミサキちゃんはいったい何者なのでしょう⁉
[良い点] 読専で御座いますが、アーヤ様からのバトンの約束を少しでも果たしたく訪問致しました。 <甘い甘いお話>かと思いきや<親衛隊>の存在が<スパイス>になっておりますな(笑) [気になる点]…
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