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ファンクラブの怖い人達

 食堂で昼食を食べた後、ミルさん達と別れて僕はクラスに戻った。


「確か、テストは午前中だけだったよな」

「なぁ、お主よ。妾に何か言いたい事あるのではないか?」

「……あ!! そうだ、そうだ。油揚げを見つけたよ」

「……油揚げ」

「そうだよ。調味料は国王様のところでいっぱい貰ってるし、昆布も鰹節もケダンさんのところで貰って、お米も父様の領地で作ってある。これで、ウミの食べたかったお稲荷さんを作れるようになったよ!!」

「ほ、本当か!?」


 実は、カイガランスを出る前にケダンさんに、昆布と鰹節をお願いしていて、貰っておいたのだ。

 過去の僕。良くやった!!


「油揚げは、貰えるか頼んでみて、貰えたらラッキーだね」

「そうだな。勝手に貰ってはいけないからな」

「まぁ、それは放課後にでも行こうかな」

「うむ。楽しみにしているぞ」


 クラスの前に行き、みんな昼休憩をしているのを見てから中に入った。

 ガラガラとドアを開けると、みんなの視線が僕に突き刺さった。


「え? なに?」


 そして、次の瞬間に僕は周りを囲まれていた。

 みんな、何も言わずに僕の方をじっと見つめるだけ。そんな中、1人の男子が口を開いた。


「君さ、あの人たちとどんな関係?」

「……え? あの人たち?」

「そうだよ! この学園の誰もが一度は恋心を抱く『高嶺の花束』!! そんな方達と、君は一体どう言った関係なのかな??」


 これは、やばい。みんなの視線がマジだ。答えを誤ったら死ぬ気がする。


「え、えっと、友達……です」

「へー、友達、ねー。『恋人』じゃ、ないよね??」

「恋人じゃありません。『友達』です」

「そうかそうか。ま、恋人でも別に良かったんだけどね」

「……へ?」


 いきなり、態度が180度変わり、へらっとした雰囲気に変わった。


「ここにいるみんな、ファンクラブに入ってるんだけど、あの人たちに恋人が出来ないのが、将来不安なんだよ」

「そうそう。ずっと見てきてなんだか、親の気分になってきちゃったんだよ」


 この人たちやばい。誰か助けて!!


 心の中で助けを呼んだ時。その人は現れた。


「おーい。イサミくん!」


 その声は!?!?


「メイさん!!」


 僕の周りを囲っていた人たちは、僕の事を呼ぶその声に動揺していた。


「って、なにこれ。ちょっとどいて」

「は、はい!!」


 メイさんがそう言うと、人が通れるぐらいの道が出来た。


「ほら、イサミくん。ちょっと来て」

「う、うん」


 そうして、僕はメイさんに連れられて、中庭にやって来た。

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