海水浴〜2〜
一旦、両親と別れ僕たちは別の場所にパラソルを立てた。
「よし。それじゃ、遊ぶか!」
しかし、何して遊ぼうか。
クロを撫でながら考えていると、声をかけられた。
「貴方、暇?」
「え、だれ?」
「それは後でやるわ。人数が足りないのよ。ちょっと来てくれない?」
いきなりのその言い方に僕はちょっとムッとしまった。
「悪いけど、僕はこの子達と遊ぶから他を当たってくれる?」
僕がそう言うと、その子がいきなり泣き出してしまった。
「な、なんでよ!! この私が誘ってあげてるのよ! 他の人たちもそうよ!! この私が誘ってあげてるんだから、一緒に遊びなさいよ!!」
「え、えぇ」
何この子? 後ろで見てる人たちも「またか」みたいな雰囲気を醸し出している。
「ご主人様。行って来てください」
「ルル?」
「この人は、悪い人じゃないです」
「……分かった。えっと、分かりました。一緒に遊びますよ」
僕がそう言うと、その子の顔がパァッと明るくなった。
「ほら、早く来なさい!!」
「うおっ! ルル達は遊んでて。迷惑かけないでよ」
それだけ言って、僕はその人に連れられて遊び場までやって来た。
「全く貴女は、ごめんね、いきなり連れて来ちゃって」
「え、あ、いえ。大丈夫です」
「お詫びに後で何か買ってあげるよ」
その後自己紹介をした。
僕の事を連れてきた人は、大商会のマレイ商会の一人娘で、ミル・マレイと言うようだ。
後ろの2人は双子の姉妹で、学校の同級生で姉がメイ、妹がイヤと言う。
「えっと、先に謝っておきますね。ごめんなさい。全く見分けが付きません」
「あはは、しょうがないなよ。先生も見分け付かないから」
「ねぇ、こんなに違うのに酷いよね」
「「ねぇ」」と2人で顔を見合わせている。
2人が分かっても、こっちが全く分からない。
「マレイさんは、分かるんですか? 違い」
「もちろんよ。何年一緒にいると思ってるの?」
「え、えっと2年ぐらい?」
「違うわよ。かれこれ8年は一緒にいるわ」
「年って……」
「13歳よ」
「って事は、5歳の時に初めて会ったんですか?」
「「あったり〜!」」
2人は声も似てるので、なんか2人の言葉がハモるとすごい綺麗だ。
「凄いわね。計算できるなんて」
「え?」
「ねぇ。計算なんて、最近出来る様になったのに、その年で出来るなんて、もしかして貴族様?」
「そ、そんな事は、無い……ですよ。ほ、本が好きで、そこで、独学で……」
自分でも分かる。変な言い訳である。
「ふーん。そうなんだ」
な、なんとか納得してもらえた、のか?




