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漁〜3〜

 説明された内容は凄かった。


「イサミくんが釣って来たその魚は、ごく稀にしか釣れない、高級魚なんだよ」

「……高級魚」


 僕は、その言葉に生唾を飲み込んだ。


「そして、高級魚にもそれぞれ売った時の値段が変わるんだが、イサミくんが釣って来た魚はどれも希少魚の中でも、さらに希少な魚なんだ」

「……そ、それで。売った時の値段は?」

「気絶するなよ」





「見た感じ。最低でも、一国丸ごと買える」

「…………」

「い、イサミくん?」

「立ったまま気絶してる」


 それから、少し経ち、僕は気絶から立ち直った。


「お、起きたか?」

「は、はい。どのくらい寝てました?」

「そうだな。10分ぐらいかな」

「そ、そうですか」

「で、高級魚を釣った感想は?」

「……スー。あれは、夢じゃ無かったのか」

「ハハハ。残念ながら夢じゃ無いぞ」

「そ、そうですか。あ、クロ」

「にゃー」

「そっか。忘れてた。ケダンさん、この魚食べられますか?」

「うん? 当たり前だろ」

「そうですか。ほら、クロ食っていいぞ」

「にゃー!」


 クロの前にその魚を置くと、カプッと加えて何処かに行ってしまった。


「勿体ない」

「良いんですよ。今回はクロに食べさせるために釣りをしたんですから。それに、釣りたてを食べたいんですよ」

「そうか。だったら、釣った魚の何匹かは締めてあげるぞ」

「良いんですか!?」

「あぁ、その代わり少し食べさせてくれないか?」

「何言ってるんですか? 当たり前じゃないですか。みんなで食べましょうよ」


 そして、適当に3匹取って、その魚を締めてもらい他の魚は海に戻した。


「「「あぁ、勿体ない」」」


 他の船員の人達もその光景を見て残念がっていた。


「お金にはあまり困ってないので、食べられないぐらいの量持って帰っても、無駄死にするだけですから」

「そっか。ま、釣った人が決める事だな。俺たちは、この魚を食べられる事に感謝しか無いな」

「ほら、出来たぞ」


 ケダンさんが、魚を捌いてくれた。


「では、いただきます」

「「「「いただきます」」」」


 みんなが、そのまま食べると、みんな涙を流していた。


「う、美味すぎる」

「んー! んまい!!」

「……こんな美味いの初めて食べた」

「はぁ、もう無くなっちまった」


 この魚は、醤油に付けなくてもめちゃくちゃ美味いのだ。脂も乗ってて、口の中で溶ける様に感じるほどの美味しさを持っている。


「これは、やばいなぁ」

「だろ? これが、高級魚なんだよなぁ」


 そして、それぞれに何切れか分け、みんな漁に戻って行った。


「クロは、どこに行ったんだ?」


 クロを探しに船内を歩き回った。

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