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漁〜1〜

 両親からの手紙はお礼の手紙だった。

 簡単に略すと、


「イサミ、本当にありがとう。お米を収穫したは良いけれど、売り手が居なくて困っていたんだ。そんな時に、カイガランスの領主から、米を買い取りたいと申し出があったんだ。その時、なんで、米の事を知ってるのかな? って思ったけれど、イサミがそっちにいる事を思い出したんだ。多分イサミは、切っ掛けを作っただけだろうけれど、本当に助かった。ありがとう。帰って来たら、みんなでまた食事しような。元気で」


 簡単に略すとこんな感じになる。

 本当に、感謝してるんだなって手紙を読んでて感じた。


「おーい! ちょっと良いか?」

「なんですか?」


 手紙を指輪の中に戻して振り向くと、ケダンさんがニコニコの笑顔をしながら近づいて来る。


「ど、どうしたんですか?」

「君たち、明日暇か?」

「明日ですか? まぁ、特にやることは決まってませんが……」

「そうか、良かった」

「それで、何の用なんです?」

「明日、漁に出るんだが、付いて来る気は無いか? 釣りたての新鮮な魚もご馳走しよう。それに、漁とは別に個人的に釣りもしてて良いぞ」


 釣り。その言葉に僕はつられてしまった。


「い、行く」

「本当か!? 良かった! ウミくんたちは行くかい?」

「ウミ行く?」

「妾は待っておる」

「僕も待ってる」

「私も待ってる」

「……」

「? クロ? どうするの?」


 クロは、少し考えてから、


「我は付いていく」

「お、クロが来るとは珍しいね。どうしたの?」


 聞くと、クロは少し負けたような顔をして答えた。


「……魚が食べたい」

「グッ! か、可愛い」

「どうしたんだ?」

「みんな行かないみたいですけど、クロは来るみたいですよ。魚が食べたいらしいです」

「ハハハ! そうかそうか。だったら、美味しい魚を釣り上げないと行けないな」


 そして、翌日。まだ日が昇る前に起きた。


「ふぁ〜、おはようございます」

「おう、起きたか! って、眠そうだな。そっちに井戸があるからそこで顔洗って来いよ」

「はい。ふぁ〜、分かりました」


 言われた通り、家の裏にある井戸に向かうと、そこにはクロが立っていた。


「え、クロがこんな朝早くに起きてるなんて……」

「い、良いだろ。別に……」

「そんなに、新鮮な魚が食べたいのか」

「う、うるさい! あっちでは、よく掻っ攫って食べてたが、こっちではまず魚自体が少ないからしょうがないだろ!」

「あー、はいはい。それじゃ、今日は思う存分食べてくれよ」

「うむ。沢山釣ってくれよ」


 そして、ケダンさんに付いていき、港に着いた。

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