新鮮な魚
食卓には、豪華な料理が並んでいる。
新鮮な魚のお刺身の盛り合わせ。あら汁。そして、パン。
「お米じゃないのか……」
「お米? なんだそれは?」
「えっと、そうですね。こういった料理に合う主食ですね」
「へー、そうなのか。今あるのか?」
「まぁ、少しだけ」
「だったら、それを少し食べさせてくれないか?」
「ちょっと、あんた。何言ってるの? ちょっとしか無いって言ってるじゃない!」
「あ、いえ、大丈夫ですよ。僕の両親が毎月少し送ってくれるんですよ」
「そうなのか」
「と、言う事で、キッチン借りますね」
「良いよ」
僕は、袋からお米を出して鍋に入れる。そこに水を入れてお米を研ぐ。二回水を入れ替え、そこに水を入れて火にかける。
「フャイヤー」
それから、約30分後。出来上がった。
「これを、茶碗にって、無いか。しょうがない。お皿によそってっと、よし! お待たせしました」
食卓では、みんな仲良く談笑していた。
「お、良い匂いだな。それが、さっきの硬い小さいのか?」
「はい。これを、お刺身と一緒に食べると美味しいんですよ」
「へー、それは楽しみね」
お米を4人分によそって、それぞれの前に出した。
「さ、食べましょうか」
「はい」
お刺身を一つ取り、醤油に少しだけ付けて食べる。
「うんうん」
そして、ご飯を口に運ぶ。
ケダンさんは、二回三回と噛むと目を見開いた。
「な、なんだこれは……」
「口に、合いませんでしたか?」
僕は、不安げに聞いてみた。
「……ん。美味すぎる。なんだこれは!? 滅茶苦茶合うじゃないか!!」
「ほ、ほんとですか!? 良かったぁ」
「こんなもの食べたら、もうパンと一緒に食べれないじゃない」
2人とも、お米にはまったみたいだ。
どんどんお刺身と一緒に食べて、ご飯がなくなってしまう。
「くっ、後一口しか無い」
「こんなに美味しいものがこの世にあったとは……」
「こうしちゃいられん! すぐに、商人の人と掛け合うぞ! これは、どこで取れるんだ!?」
「えっと、ケイレードの領主に掛け合えば、良いと思いますよ」
「そうか! 分かった!!」
そう言って、ケダンさんは家を出て行った。
「全く、あの人は……。ごめんね。あの人、思い立ったらすぐに行動する人でね……。いつも、振り回されちゃうのよ」
「あはは、そうですか。でも、良いじゃ無いですか」
「そうね。そこも、あの人の良いところなのよね。あ、そうそう。お米。とても美味しかったわ。ありがとうね」
「はい! お口に合ったようでなによりです」
「あ、そう言えば、私自己紹介して無かったわね。私は、メーデルって言うわ。ゆっくりして行ってね」
「よろしくお願いします!」
そして、ケイレード領のお米は、しっかりとカイガランスに輸入される事が決まった。
後日、父様と母様から手紙が届いた。




