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海の見える街

 海の見える街は、ここから少し距離のある場所に栄えている。山、一つ越えないと行けない。


「ルル、良いのか?」

「重く無いか?」


 ルルは、人を乗せることが出来るほど大きく成長した。

 今は、僕と猫の姿のクロ、頭の上のモフラと、ウミが乗っているのだ。


「全然重く無いですよ」


 そう言って、ルルはビュンビュン走る。


「お、おお! 凄いよルル! 速い速い!」


 木々の合間を縫ってルルは走る。


「ルルストップ!」


 ルルの体の側面をポンと二回叩いた。

 すると、ルルはどんどん速度を落として、止まった。


「何ですか?」

「そろそろ、お昼でしょ? 食べようか」


 ルルから降りて、近くに木が倒れていたのでそこに座って魔力袋の中から王宮で貰ったサンドイッチを取り出した。


「これが、僕ので、これがウミ、これがルルに、これがクロ。モフラは、僕の魔力で良いんだよね?」

「良いよ。ま、私には口が無いから元から無いからサンドイッチも食べられないんだけどね」

「そっかー。どうにか、モフラにサンドイッチを食べさせたいんだよね」

「そうね。出来ることなら私も食べてみたいんだけど、どうにも出来ないんだよね」

「まぁ、何か探しながら旅を続けようか」

「ありがとうね。ご主人」


 そして、サンドイッチを食べ終えた僕たちは再びルルに跨って出発した。


「ん? あれって……」


 山の頂上に到着した時、そこから見えたのは、海だった。


「来たー!! 海だぁ!!」


 それから数時間後。僕たちは、海の街までやって来た。


「ウミ!」

「ん? 妾か?」

「あ、そっかー。ここだと、海とウミで被っちゃってるのか。どうしようかな?」


 んー、まじでどうしよう。何も考えてなかったなぁ。


「そうだなぁ。じゃあ、ウミさ、雰囲気で感じ取って」

「……え?」

「ご主人様。ちょっとそれは……」


 流石のルルも、それは酷い。って顔でこっちを見てくる。


「いや、しょうがないじゃん。ウミの名前は変えたくないし。海の事を別の呼び方で呼ぶのも嫌だしで、まぁ、そこまで海海言わないと思うから、その時は話の流れとか、そう言ったものから、こう、感じ取ってくれると良いかなって」

「全く。分かった。頑張るよ」


 そして、海の街カイガランスに入っていった。

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