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卒業

 卒業試験が終わり、僕たちはいつもの中庭でゆっくりしていた。


「にしても、ミリアちゃんの魔法凄かったなぁ」

「まさか、あそこまで威力が上がってるとは思わなかったぞ」


 王様も、たった2ヶ月であそこまで強くなってるとは気付かなかったのか。


「それでも、ミリアちゃんの父親?」

「な!? 当たり前だろ。バカなこと言うな」

「ごめんね。王様」

「全くだな」


 その頃同じ中庭、別の場所では、クロとルルとモフラ、そして、ミリアちゃんが仲良く遊んでいた。


「おーい! こっちこっち!」


 ミリアちゃんがぴょんぴょんしながらクロとルルに手を振り、モフラが頭の上でぴょんぴょんしている。


「なにあれ、可愛い」

「だ、だな。あれは、良いな」


 その光景を見て、僕と王様は如何にもおじさんっぽい話をしている。


「早く早く!」

「行くよー! ドーンッ!」


 ルルが、ミリアちゃんに向かって突進して行く。


「わーい!!」


 僕なら吹っ飛ぶのに、ミリアちゃんはそれを勢いを止めて綺麗に止めた。


「楽しーい!!」

「お兄ちゃんも!!」

「にゃー」


 クロは、めんどくさそうに、タッタッタッと走ってミリアちゃんに突進した。


「わー! かわいい!!」


 それでも、ミリアちゃんは楽しそうに遊んでいる。


 その頃、また別の場所ではウミと王妃様が紅茶を飲んでいる。


「それで、ミリアちゃんは合格?」

「もちろん。でも、課題は残していきますよ」

「課題?」

「うむ。彼女の使った魔法は確かに素晴らしい。けれど、戦い方が一つしかない。

それに、魔力も多い分、そっちに引っ張られて単調で大きい魔法しか撃てなくなってしまう。ご主人みたいに、少ない魔力で強大な威力を生み出せるように、これからも頑張って欲しいんですよ」

「流石に、そこまで威力が高い魔法を使われても、修練場が壊されないか不安だわ」

「小さい魔力で強大な威力を生み出したら、大きな魔力でそれよりも莫大な威力になっちゃうからな。それは、ミリアちゃんも分かってると、良いけど」

「それは、私がなんとかするわ。王妃でも、魔法の鍛錬は忘れた事が無いからね」


 それから、少し後。ミリアちゃんの合否発表が始まった。


「それでは、卒業試験の合否発表を始めるぞ」

「はい!」

「……今回の卒業試験…………合格です!!」


 ウミがそう告げて、数秒後。ミリアちゃんは、大きな声でやったー!!! と言って、走り回っている。


「お母さん! お母さん! 合格だって!! やった! やった!」

「えぇ、流石ミリアね」


 王妃様がミリアちゃんの頭をよしよしと撫でると、嬉しそうに笑った。

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