卒業試験〜2〜
ウミが消えた。みんなが、そう錯覚する程に、ウミは速かった。
「あれで、倒したって思っちゃうのは、まだまだだよ」
「今の、どうやって避けたんですか?」
ミリアちゃんの疑問はもっともだった。
「ミリアが、横にから薙ぎ払う時に、横を通って後ろに回ったのよ」
「嘘! そんなの見えなかった!!」
「それほど、速かったって事ね。さ、続きをやるわよ」
そう言って、ウミは刀を構えた。
「絶対に一泡吹かせてやるんだ!」
ミリアちゃんがまたしても、魔法を使い始めた。
「ガラ空きよ!」
ミリアちゃんが、魔法を使うために、剣を離しているところをウミは狙って攻撃を仕掛ける。
「……今!」
ウミの刀がミリアちゃんにあたる寸前に、魔法が発動した。
土が、下から上に向かって円形状にウミを包む様に現れる。
「また、囲むの?」
ウミが、刀を引っ込めて、そのまま鞘に納めた。
「そして、このまま!!」
ミリアちゃんは、追い討ちを掛ける様に、円形状の土の外側に火魔法を撃つ。
「焼けてしまえ!!」
ミリアちゃん。怖い子に育ったなぁ。観客席にいる全員の気持ちが一致した。
そして、国王様と王妃様はーー
「む、娘が。あんな言葉を…………」
と、悲しんでいる一方。
「あらあら、昔の私そっくりね」
オホホっと王妃様は笑っている。
昔の王妃様と一緒って、想像つかん。
「さぁ、どう出てくる!」
ミリアちゃんは、その場から少し離れたところで観察していた。
その時、土の塊から声が聞こえた。
「抜刀」
そして、土の塊が真っ二つに切られた。
「全く。暑いじゃないか。お仕置きが必要じゃな」
ウミはその場で飛び上がり、火の塊を作り出す。その後ろにウミが移動すると、再びあの技が飛び出した。
「斬撃!!」
刀を振ると、斬撃が現れてミリアちゃんに向かって飛んでいく。その間にある火の塊の中を通って出てくると、その斬撃に火が付与されていた。
「キャッ!?!?」
ミリアちゃんがとっさに魔力で自分の体を包んだ瞬間。それは、地面に当たり地面の土をえぐり取っていく。
それから、数秒後。土煙が収まり、見えた景色は酷い一言だった。
ミリアちゃんが座り込んでいる場所以外の周りの部分がえぐり取られ、そこに炎が立っている。
「やり過ぎだろ」
僕は、気付かないうちに、そんなことを1人愚痴っていた。




