もふもふするぞ〜
宿屋に帰って来て、お宝の鑑定が終わったので、僕たちはご飯を食べて寝る準備に入っていた。
「モフラはそこでいいのか?」
「キュル!」
モフラはいつも通り、横になっている僕の頭の上に乗って来た。
「いつもだけど、そこだと息できないよ」
「キュールー」
何故か、モフラは嫌だー! みたいな感じで返事をして来る。
「全く、せめてここでお願い」
頭の上のモフラをお腹の上に移動させた。
「キュルー」
「はぁ、全くだなぁ。で、クロとルルはいつも通りだけど、寒く無いか?」
クロとルルは布団には入らずに、毛布を敷いてその上に固まって寝ている。
「にゃー」
「ワフー」
「気持ち良さそうだから良いけど……」
いつも言ってるけど、結局はこれに落ち着くんだよな。
「ウミは……って今日は居ないのか」
ウミは、数千年ぶりに会った王妃様と一緒に寝ているはずだ。
「楽しんでると良いな」
そして、その日はそのまま眠った。
次の日、僕たちはクエストを受けずに、宿屋でゆっくりしていた。
「今日は、もふもふするぞー!」
「にゃー」
クロが、頭を僕の手に擦り付けて来る。
「なんだー、気持ちよくしてやるぞー」
僕がクロを撫で回していると、モフラがぴょんっと、あぐらをかいている僕の足の上に乗って来た。
「お、すっぽりはまったな」
モフラは、撫でて欲しそうに来たのに、案外そこが気に入ったのか、液体のように溶けている。
「ん? ルルどうしたの?」
なんか、ルルの様子がおかしい。
「わ、わ、ワフ、フ……」
ルルがどんどん大きくなっていく。
「ル、ル? え? どう……したの?」
その光景に、僕たちは圧倒されていた。
そして、ルルの身体から一際大きい光が発した後、瞑っていた目をあけると、そこには見たことの無い魔物が立っていた。
「だ……れ?」
「ご主人様?」
その魔物は、銀色のサラサラした毛を生やした狼のような魔物だった。
そこまで、頭で理解した時、僕はこの魔物が誰なのかやっと理解した。
「もしかして……ルル?」
「はい! そうです!!」
ルルは、嬉しそうに突進して来る。
「グフェッ!!」
ルルの大きさは少し前と比べると約3倍の大きさになっていた。その巨体がクソ弱い僕に体当たりして来たら、僕は死ねる。まぁ、死ななかったけど。
「……ルル。死ぬー」
「あっ! ごめんなさい! ご主人様」
「い、良いよ。大丈夫。にしても、立派になったよな」
「はい!!」
一体、何故今ルルが急成長したのか。今日はその謎を解明したい。




