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九尾と幼い女の子

 とある所に1匹の九尾が居ました。


「うー、お腹すいた〜。お稲荷さん食べたいよ〜」


 九尾は今にもお腹が空いて倒れそうでした。

 そんな時です。近くの木からこっちを見ている女の子を見つけました。


「……お腹……空いてるの?」


 女の子はこっちを見ながら話しかけて来ました。


「……これ」


 女の子は手に持っているおにぎりを見せてきました。


「くれるのか?」


 女の子はコクっと小さく頷きました。

 九尾は女の子に近づいておにぎりを1つ貰いました。


「では、頂くぞ」


 九尾がおにぎりを1つ食べると、女の子は嬉しそうにおにぎりを手に取り、2人で一緒に食べていた。


「ありがとうの。飢え死にしてしまう所だった」


 そう言って、九尾は立ち上がった。


「帰っちゃうの?」

「そうじゃな」


 その時、何処からかグーっとお腹が鳴った。

 九尾は恥ずかしそうに顔を赤くしている。


「家、来る?」

「良いのか?」

「うん!」

「すまないな。実は帰る場所が無くて困っていたんだ」

「いっぱい遊ぼう!」


 そう言って、女の子は九尾を自分の村に連れて帰った。


「お父さん! お母さん! ただいま!」

「おー、我が娘よ。帰って来たか!」

「お帰り、早かったわね」


 その子のお父さんは、九尾が後ろにいる事に気付いた。


「そいつは、なんだ?」


 その子のお父さんは、近くに置いてある剣を手に取った。


「ダメ!」

「!? な、なんで、そいつを庇う!?」

「ダメ! この人は私の友達!!」

「なっ!? 九尾が友達だと!?」

「そう!!」

「み、認めんぞ!!」


 九尾はその光景を後ろで見ながら、哀しそうな顔をしていた。


(やっぱりか。分かっていた事じゃないか)


 九尾は大昔の事を思い出していた。あの時も、助けてくれた人の家に行って、同じような光景を目にした事を思い出したのだ。


「すまんな」


 九尾は、そう言って後ろ向いて歩き出そうした。


「待って!!」


 女の子のその声に九尾は足を止めた。


「この家がダメなら、私は九尾と一緒に居る!!」


 その言葉に、女の子の両親は言葉を失った。


「そ、それはダメだ! 帰る場所をそんな簡単に捨ててはいけないぞ!!」

「いや!! 一緒に遊んでくれるって約束したもん!!」


 そう言って、女の子は九尾の足にしがみついた。

 九尾は困った顔でその子の両親を見ると、驚いたような、呆れたような、しょうがないなって顔でこっちを見ていた。


「分かった。九尾よ、認めた訳じゃ無いが、変な事はするなよ」

「あ、ありがとう」


 そして、事件はそれから数百年後に起きた。

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