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謁見

「イサミ・ケイレード」

「はい!」

「此度の戦闘での活躍。良くやってくれた」


 僕は今、国王様から謁見を賜っている。

 話は少し戻る。クロ達が魔物を全部倒し終えた後、クロ達が僕のところに戻ってくるのを騎士の一人が見ていたらしく、国王様から招待状が届いたのだ。


「本当に、本当にありがとう。この国を救って貰い感謝している」


 国王様はそう言って頭を下げた。

 その行動に、周りにいた貴族達からどよめきが起こった。


「こ、国王陛下!! そ、そんな簡単に頭を下げてはいけません!」


 一人の貴族がそう大声を上げた。

 それに、国王様はそのままの姿勢を保ったまま、喋り出した。


「簡単に? この国を、世界を救ってもらったんだぞ。これが、簡単なのか? そんな訳ないだろ。命の恩人に頭を下げるのは当たり前だろ」


 国王様の言葉に、その貴族は黙り込んでしまった。


「あ、あの、頭をお上げください」


 僕はその空気が居た堪れなくなり、国王様にそう言った。


「本当に、本当にありがとう!」


 そう言い、国王様は頭を上げた。


「して、此度の戦闘の報酬は何が良い?」

「ほ、報酬? ですか?」

「そうだ。君がこの国に、王都に居なければこの国は終わっていた。それの報酬だ」

「べ、別に、僕は……」

「断るのか?」

「あ、い、いえ!」

「そうだな。それでは、選択肢を与える。それから選びなさい」


 国王様から提示された選択肢は3つ。


 1つ目がお金。大貴族の総資産の10倍の額を提示された。


 2つ目がお宝。この国の宝物庫にあるお宝を好きなだけ。


 3つ目が娘。国王様の一人娘を提示された。


 お金は、要らないな。持ってても使わないだろうから、経済が回らなくなりそう。

 お宝は嬉しい。

 一人娘は嫌だな。たしかに、将来的には考えれば嬉しいよ。国王陛下との太いパイプになるからね。でも、その娘さんがどんな人なのかも分からないのに、貰えないよ。


「それでは、2つ目のお宝を頂けませんか?」

「ん、そうか。分かった。では、後日招待状を送る。その日にまた来てくれ」


 そう言われて、その場は解散した。部屋を出るとき、近くの騎士さんから耳打ちされた。


「そこの角を右に曲がってください」


 右に曲がると、帰る道とは外れてしまう。一体なんなんだろ?

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