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魔物の群勢〜2〜

 今、私の国はあり得ないほどの魔物の群勢によって殺されかけている。


「こんな、こんな事が……。私の先祖が何年掛けて、この国を作ったのか、その苦労がたったこの一瞬で消されてしまうのか……?」


 国王は一人悩んでいた。今から逃げる事も出来るだろう。現に今目の前の閉ざされた扉が多くの家臣によって叩かれている。


「国王陛下!! お逃げください!!」

「そうです! 国王陛下がいれば、国はまた再建できます!!」

「お願いですから! 逃げてください!!」


 家臣達は私の事を慕ってくれている。しかし、それでも私は逃げる訳には行かない。


「私は、この国の王だ。王が真っ先に逃げたらいい笑い者だ。それに、私はこの国を、この国の国民を愛している。私は、この国で命尽きるさ」

「「「……国王陛下」」」


 その時だった。


「国王陛下!!!!!!!!」


 一人の騎士が扉の奥で大声で私の事を呼んだのだ。


「こ、国王陛下!!! 大変です!!! 外に、10万の魔物の群勢が!!!!」

「そんな事知っている。私は逃げんぞ」

「そ、それが!!! その魔物の群勢が着々と数を減らしているのです!!!!」

「……なん……だと……」


 10万もの魔物を倒す奴がこの国に?

 私の頭の中はそれでいっぱいだった。


「誰が、倒しているんだ?」

「そ、それが、魔物です」

「??? 魔物?」

「はい。三体の魔物が10万の魔物の群勢に向かって行ってるんです」

「そんな、馬鹿な!! 魔物が魔物を倒す?」


 そんな話は聞かない。いや、聞かないわけではない。外の世界は弱肉強食。強い魔物が弱い魔物を食事の為に殺して食べる事はよくある事だ。

 そんな存在の魔物が、この国を守る為に戦っている? あり得ない。あり得る可能性はただ一つ。


「……その魔物には契約者が居るはずだ。出来る事なら、その三体の魔物と、契約者を付け止めてくれるか?」

「は、はい!!」


 そう言って、その騎士は再び戦場に戻って行った。


「みんな、まだこの国は死んでいないぞ!!」

「「「……国王陛下」」」

「今すぐ、食糧を前線に向けて運び出せ!! 早急にだ!!」

「「「は、はい!!!」」」


 国王は感謝した。


「神よ。感謝します。私はまだ、終わらない!!」


 その頃、最前線はーー


「グアァァァァァァア!!!!」


 クロの咆哮が響き渡り。


「ーー」


 ウミの、強烈で静かな一撃が広範囲にわたり魔物も倒し。


「ワフッ!!!」


 ルルの可愛らしい声とは真逆の、グロテスクな光景が映し出されていた。


「……これは、一体なんなんだ?」


 ギルドマスターはひとり呟いていた。

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