狐?
順調に討伐クエストが戻って来ていた。
「さて、簡単なクエストあるかな?」
掲示板を見てみると、簡単なクエストが無かった。
「あー、来るの遅かったか」
今日も、採取クエストを受けようと思ったが、目の端に気になるものを見つけた。
「なんだこれ? 見たことのない人型の魔物の調査?」
僕は、それを見て面白そう! と思った。
「これ、やらせて下さい」
「はい。分かりました。気をつけて下さいね」
「はい!」
簡単な説明を受け、その影を見つけた森の入り口にやって来た。
「クロ。何か分かるか?」
「ちょっと待って。もうちょっと奥に入って、姿を戻してからだ」
「分かった。それじゃ、行こうか」
そして、森の奥まで入って行き、クロがフェンリルの姿になった。
「探してみてくれるか?」
「うむ。……こっちだ」
フェンリルに着いて行くと、そこには大きな木が生えていた。
「すごい。大きいな」
それは、まるで世界樹に見えるほど大きな木だった。
「こんなところ、王都から見えなかったけどな」
「それは、そうだろう。ここは、いわば異界だからな」
「異界?」
「そうだ。お、来たぞ」
木の裏から何か人型の何かが出来た。ルルとモフラを背中に隠して身構えた。
「待ってたぞ」
そいつからの、一言目がそれだった。
そいつは、狐の様な姿をしていた。が、
「猫?」
「猫じゃない! 狐じゃい!!」
「ナイスツッコミ!」
そう。そいつは、狐の人型。狐人だった。
「それで、待ってたってなんだ?」
「ふふ。助けて〜!!!」
「……!? え!?」
いきなりそいつが瞬間移動して来た。
「お腹空いたよ〜!! お稲荷さんを作ってくれ〜!!」
「え!? お、お稲荷さん!?」
クロをちらっとみて、通信をした。
「この世界って、お稲荷さんある!?」
「ない」
だよね〜。
「ちょっ、待ってくれ!」
僕は、グイッと肩を押した。
「もう、お腹空きすぎて死にそうなんだよ〜!」
「分かった。けど、材料が無い!!」
「材料? つ、作れるのか!?」
「えっと、うん」
「本当か!? 今までも、いろんな人を連れて来ては聞いてみたが、みんな口を揃えて知らないって言うんだ」
それは、そうだろう。だって地球の食べ物だもんな。
「なぁ、君に着いていけばお稲荷さん、食べれるか!?」
「えっと……多分」
「本当か!? ならば、契約してくれ!」
「? なんで、僕が契約スキルを持ってるって知ってるの?」
「あぁ、驚かせてすまんな。妾は、鑑定のスキルを持ってるんだよ」
「何!? よし、分かった。今すぐ契約しよう!」
「お、おう。いきなりがっついて来たね。嫌いじゃ無いけど」
そして、僕は契約スキルを発動した。




