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討伐クエスト

 ギルドに行くと、クロとモフラが座って待っていた。


「にゃー」

「キュルー!」

「おう、お帰り」

「すまんな。昨日は帰れなくて」

「日向ぼっこしてたんだ」

「大丈夫だよ、クロ。日向ぼっこか、クロの背中の上でまた、みんなとやりたいな」


 日向ぼっこは、王都を離れる時にやるとして、ギルドの中に入った。ギルドの中はクロウリンのギルドと変わらない。変わり過ぎても、利用者が困るだけだから、統一されてるのかな。


「討伐クエストは、何かあるかな?」


 クエストボードを見てみると、無い! 討伐クエストが無い!?


「ちょっと良いですか?」


 僕は、受付嬢に話しかけた。


「どうされました?」

「討伐クエストが無いんですけど、どうしてですか?」

「あぁ、その事ですか。実は、我々も困ってるんですよ。確か、ここの近くの森がよく討伐クエストが発生する場所なんですが、そこの魔物が何者かによって狩り尽くされたんですよ。なんでそんな事をしたのか、誰がやったのか全く分かってないんですよね。狩られた魔物たちは、放置されていて、本当になんなのか」

「……そ、そう、なんですか。あ、ありがとうございます」

「はい」


 僕は一度宿屋に戻った。


「なぁ、受付嬢が言ってたのって……」

「あぁ、我らの事だな」

「ですよね〜」

「特に気にすることもないだろ」

「そ、そうかな? だって魔物を狩り尽くしちゃったんだよ」

「魔物なんて、すぐに生まれてくる。この世界に魔力がある限りな」

「そうなんだ。それじゃあ、今まで通りクエストが受けられるようになるには、どのくらいかかるの?」

「ん、3日もあれば十分だろ」

「へー、1年ぐらいかかるのかと思ったよ」


 その後は、ギルドに戻り採取クエストをこなしてお金を稼ぐ日々を過ごしていた。

 ギルドに向かう途中に、こんな話を聞いた。


「なぁ、聞いたか? また、貴族が問題を起こしたみたいだぞ」

「問題? なんだそれ?」

「それが、税収を倍に上げて、民を虐げてるんだってさ」

「はぁ!? なんで逃げ出さないんだよ」

「逃げられないんだって。周りは城壁に囲まれて、登ることも出来ない。門から出ようとすると、貴族直属の騎士たちが止めるんだとよ。それも、泣きながら」

「騎士様たちも、大変な思いをしてるんだな」


 その話を聞いて、僕は誓う。民思いの、優しい領主になる事を。

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