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大きな木を目指して

 試合はウミの勝利で幕を閉じた。


「ウミ、お疲れ様」

「う、うむ」

「み、見ないでぇ〜」


 ミリアは水に濡れ涙を流して蹲っている。


「えっと、ほら、ウミ。裏に連れて行ってあげな」

「うむ。そうしようか。ミリア着替えに行くぞ」

「う、うん」


 その後着替えが終わり、戻ってくる頃には涙も引き髪も乾いていた。


「ミリアもお疲れ様」

「は、はい」

「次は、魔法だけで勝負しない?」

「何故だ?」

「いや、ウミは魔法も刀も使えるでしょ? でも、ミリアは護身用のナイフは持ってても、やっぱり魔法の方が得意でしょ? ウミが教えたのも魔法だけだし、刀とナイフで戦うのは意味が無い気がするんだよね。だから、もう一回戦わない?」


 そう提案すると、2人は二つ返事で了承した。


「どうします? 魔法での再戦はいつにしますか?」

「3日後でどうだ?」

「分かりました。3日後ですね。それでは、作戦を考えますので失礼します」

「がんばってね」


 ミリアとウミの戦いは再戦が決定し、作戦を立てるためにミリアはコロシアムを出て行った。


「なぁ、ルル」

「なんですか?」

「後で遊ぼうな」

「!?!? はい!!!」

「では、妾も作戦を考えるかの。ちと、エルフの森を歩いて来る」

「行ってらっしゃい」


 ウミもコロシアムを去っていきその場に残っているのは俺と、銀色の尻尾を左右に振って、『早く遊ぼう!!』と目で訴えかけて来るルルだけだ。


「それじゃ、ルル。久しぶりに思いっきり走り回るぞ!!」

「ワフッ!!」


 嬉しすぎて、言葉を話せる事を忘れるほどらしい。


「それじゃ、ルル。乗せてくれ」

「ワフッ! ワフッ!」


 ルルに乗った俺はコロシアムを出てエルフの森を駆け出した。


「うぉ!! やっぱりルルはすごいな!! さらにスピード上がったんじゃ無いか?」

「ワフッ!!!」

「そうかそうか」


 そうして、ルルを撫でると嬉しそうに笑った。


「よし、遠くに見える大きい木を目指すぞ!!」

「ワフッ!!!!」


 ルルは俺を乗せて走るのが嬉しいようで、楽しそうに走っている。

 それを見ている現地のエルフの人達は、驚いたような微笑ましい顔でこっちを見て手を振ってきた。

 手を振り返すと1人の女性エルフがこっちに来てと手を動かしてきた。


「ルル、あっちだ」

「ワフッ!」


 その女性の方に向かうと何かを手に持っていた。


「これ、よろしかったらどうぞ」

「え!? い、頂けませんよ!!」


 その女性が手に持っていたのはお弁当だった。


「えっと、これはその、作り過ぎてしまいまして。どうするか悩んでいる時に貴方たちが見えまして、あの木を目指しているのでしょ?」

「はい。そうですけど」

「あそこの木の下でお弁当を食べると良い出会いがあるようです。それで、これを……と思いまして」


 俺は少し考えてもらうことにした。見ず知らずの俺を落としれる意味が無いからね。

 そして、お弁当を受け取った俺たちは再びあの木を目指して走り出した。

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