もしかして……?
「あの、なんで俺たちの名前を?」
「あぁ、それは……」
「やぁ、久しぶりだね」
「やっぱり!! カイガランスの街で会った人……ですよね?」
「あぁ、そうだよ。あの時はポセイドン討伐お疲れ様」
「あ、ありがとうございます」
既に忘れられていた記憶のポセイドン討伐。それを言われるとは思わなくて少し照れてしまった。
「知り合いだったか」
「えぇ、カイガランスで少し会ってました」
「そうかそうか。では、ここで泊まる場所を少し悩んでいたが、君の家にイサミ殿達を泊めてはくれないか?」
エルフ長がその人に聞くと、その人は大きく頷いた。
「私は、エルフ族族長の友人で、よく色んなところに旅に出てる。メアルだよ。よろしく頼む」
「よ、よろしくお願いします」
ここでの俺の宿が見つかった。とてもありがたい。
「それで、君たちはここになんのようで来たのかな? 観光、もあるだろうがちょっと違うだろ?」
「それは妾が言おう。ご主人はいずれ領主になるのだが、領地運営の勉強にエルフの森を見てもらいたくてな。来たんだ」
「成る程。よく分かった。では、エルフの学校を見学すると良い。あそこは、魔法を中心に色んな事を学べる」
「少し気になるんですけど、良いですか?」
「なんだ?」
「魔法の勉強は分かるんですけど、なんでそこで領地運営の勉強が出来るんですか?」
「それはな……」
エルフ長が喋った内容は凄いものだった。
「エルフの森はこの国の中にあるんだが、そこの王族の方達がここの学校に代々通うんだよ。今の王様の娘もここに通っている。それに、数年後には弟もこの学校に通うことになってるからな」
「王様の娘って……もしかして……ミリア?」
「何だ、知っているのか? っと、それは当たり前か」
その日はエルフ長の家を後にして、メアルさんの家にお邪魔した。
「すみません、メアルさん。こんなに大所帯を泊めて下さり、ありがとうございます」
「良いよ良いよ。それに、妻も喜ぶよ。子供が増えたみたいだって」
メアルさんの妻は今は友達と出掛けているようで、帰って来たのはその日の夜だった。
「ただいま〜」
「お帰り。ドーラ」
「あら? お客さん?」
「そうだよ。数日間、家に泊まることになったんだよ」
「あら〜。それは嬉しいわね」
「こんばんは。イサミと言います」
クロ達の事を紹介した。
「ルルは……何処行ったんだろ? ま、いっか」
「えっと、私はドーラよ、今日からよろしくね」
「はい! よろしくお願いします」
その頃ルルはというと、
「さぁ、私と遊びましょう」
誰かと遊んでいた。