滑り台
「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」
僕たちは今、世界一怖い滑り台を滑っていた。
真っ暗で、ただ終わるのを待つだけの恐怖。
「お、おぉぉぉい! イサミ!!」
「ど、どぉぉぉした!!」
「ひ、光だ!!」
「え!?!?」
僕はレイドの後ろにいるので首を少し起き上がらせてもその光は見えないが、レイドには外からの光だと思われたものがどんどん近づいて行く。
「来る!!!」
レイドのその言葉の次の瞬間。僕は人生で初めての『I can fry』を体験していた。
「「ぎゃゃゃゃゃゃ!!!!」」
そして、その光景を見ていたのは、『バトル・スリーアカデミー』を観に来ていた人達全員だった。
「「ぎゃゃゃゃゃゃゃゃうぐっ!!!」」
滑り台から放り投げられた僕とレイドは、お尻を地面に思い切り強打した。
「い、いってー」
「くっそー、あの受付の野郎」
そして、放り投げられたその場所は、ステージのど真ん中だった。
さっきまで、選手の名前を大声で叫んでいた実況の人も、さっきまで名前が呼ばれたら『うぉぉぉぉぉぉお!!!』と叫んでいた人も、全ての人の時が止まっていた。
「こ、これ、どう言う状況?」
「さ、さぁ? 分かんない」
僕たちは立ち上がり、出口をチラッと確認する。
そして、一歩、二歩、三歩目を出し、思いっきり出口に向かって走り出した。
その光景を、その場に居合わせた全員が放心状態で見送った。
「はぁ、はぁ、一体なんなんだったよ」
「はぁ、もう、あんなのは2度とゴメンだ」
僕とレイドは自分たちの席が決まっているのでそこに向かおうとした時、聞き覚えのある声に呼び止められた。
「そこの2人!!」
「「は、はい!!」」
「ちょっとこっちに来い!!」
襟元を掴まれ、僕とレイドは学園長に引きずられながら、その場後にした。
「おまえたち、一体何をしてるんだ!!」
「「ご、ごめんなさい」」
絵面として、幼女に怒られるお兄ちゃんだ。
学園長は2234歳なんだけどね。
「何故あんな事をした!! 今が『バスア』の開会式だって分かってるだろ!!」
「「はい。すみません」」
「レイド! なんであんな所から出てきた!! 答えろ」
「は、はい……」
そして、さっきあった事をそのまま話すと……
「あいつ。またか……!!」
と、怒っていたので、あの人は常習犯なんだなと理解した。
そして、僕たちは解放されて指定の席に向かった。
到着する頃には開会式は終わっていた。が、今日からバスアが、本格的に始まる。
「楽しみだ!!」