決勝〜2〜
リュメルはうまくステージの上に着地を決めた。
「|ふっ、ほほ(おっ、とと)」
「お、リュメル選手の登場です!! では、早速試合開始と行きましょう!!! それでは、皆さん!! 位置に着いてください!!」
4人はそれぞれの既定の場所に移動した。
「それでは、試合開始!!」
ゴーンッ! と、試合開始のゴングが鳴った。
今回の試合は魔法のみの試合なので、誰かが飛び出したりする事はなかった。
が、みんなそれぞれの魔法を使い攻撃を仕掛けていた。
「おいおい。リュメル大丈夫かよ?」
「大丈夫! だと、思いたい」
「まさか、3人から狙われるとは……」
今回の決勝戦に来るまでの試合で、リュメルはものすごい好成績で決勝戦までのし上がって来た。その為、最初に潰さないといけないといけないと、リュメル以外の3人の思惑が一致した。
「リュメル。大丈夫だよな」
未だに、もぐもぐと口を動かしいるリュメルは、放とうとしていた魔法を一度キャンセルして、魔力をシールドの様に展開した。
他の3人は、リュメルの魔法キャンセルを読んでいたのか、その一瞬の隙に魔法を放った。
「おおおっとこれは!?!? 一対三の構図の出来上がりだ!!! 魔法がリュメル選手に突撃だぁ!!! これは、リュメル選手、早い段階でリタイアか!?!?」
実況の言う通り、決勝まで残った3人の魔法を受けられるほど、リュメルの魔法の使い方は上手くない。
ここ最近ずっと教えている僕は分かっていた。
リュメルの凄さは魔法の使い方の吸収の速度。そして、その時々での最善の行動に辿り着くまでの頭の回転の速さだ。
リュメルを大きな魔法で攻撃した後、その場に砂埃が舞ってしまい、リュメルの姿を見失い、砂埃が収まるまで待っていなくては行けない。
その時間が3人にとって危険だった。
リュメルはシールドで魔法を一瞬だけガードした。その瞬間にシールドは魔法に耐えられなく壊れてしまった。しかし、リュメルにとってその一瞬は大きな一瞬だった。その時間で魔法が当たる範囲から逃げる事が出来たのだから。
そして、魔力を抑えて、砂埃に隠れながら移動し、3人の上から風の刃を雨の様に降らせ、相手の意識を刈り取った。
そして、砂埃が収まった時。ステージ上に立っていたのはリュメルただ1人だった。