転生の始まり
「ここは何処だ?」
「目が覚めましたか」
「貴女は?」
目の前には、ぼんきゅっぼんな綺麗な女性が立っていた。
「私は女神です」
「女神? え、だって猫耳と猫の尻尾が生えてますけど」
「女神です」
「え、でも」
「女神です」
「あ、はい」
引く気が無さそうなので、こちらが折れてしまった。
「それで、ここは?」
「ここは、天界です。まぁ、天界への入り口の前ではあるんですけど」
「……天界。あ! そうだ。あの猫は? どうなりました!?」
「貴方が助けた猫は無事ですよ。今ものんびり日向ぼっこしてます。あ、欠伸してますね」
「え、見えてるんですか!?」
「はい。見ますか?」
「見たいです!!」
女神様は、空中にホログラムを作り出して、そこに映像を当てた。
そこには、のんびりと欠伸している、眠そうか猫が1匹寝ている映像が流れた。
「はぁ、癒される」
その後、約1時間程その映像を見た後、女神様が本題を切り出した。
「そうそう。貴方、死んじゃいましたけど、元の世界に戻りたいですか? それとも、別の世界に行きたいですか?」
「選べるんですか!?」
「はい。貴方はまぁ、程々に良いことをしてきたみたいなので、世界は選べませんが地球か、別の世界かは選べますよ」
俺は、少し悩んだが、賭けてみることにした。
「決めました。僕を別の世界に、異世界に転生させて下さい!」
「分かりました。ですが、貴方が転生するのは本当に何処の世界か分からないので、それはご了承下さいね」
「分かりました」
「あ、それと、別の世界に転生する方には、スキルと言うものを渡しているのですが、貴方はどんなスキルが良いですか?」
そう言って、渡してきた本にはスキルが事細かに書かれていた。
俺は、その本を直ぐに閉じてーー
「えっと、僕にオススメなスキルってありますか?」
「そうですね。やっぱり人気な物が良いですよね。例えば、経験値1000/1とか、全属性適正とかですかね?」
その他にも聞いたが、あまりパッとするものは無かった。
パラパラと本を適当に読んでいると、2つ気になるものがあった。
「この、召喚士って何ですか?」
「それは、魔物を召喚して使役するスキルですね」
「それと、この運極ってもしかして」
「お、よく見つけましたね。それは、ステータスの運が限界まで上がった状態で転生できるスキルですね。所謂、転生者限定スキルですね」
「なるほど。この2つ貰えたりしますか?」
「はい。言ってませんでしたけど、持っていけるスキルは2つなので、問題ありませんよ」
そして、俺はそのスキルを体に宿し転生する時間まで少し練習する事にした。
「練習しても無駄ですよ。どうせ、記憶は無くなるんですから」
「まぁ、そうですけど、一回だけやらして下さいよ」
「はぁ、しょうがないですね。呪文はもう覚えてるはずです」
「はい! 僕の魔力に興味を示すものよ。僕の魔力を食いしものよ。僕の呼び掛けに答えしものよ。召喚に応えよ!」
目の前に小さな魔法陣が浮かび上がった。
「これは、小さい魔物ね」
そこから現れたのはーー
「にゃー」
「猫!? って、この猫。僕が助けたあの猫だ」
「嘘。何で!? どうしてあの猫が!? 嘘、居なくなってる」
「あれー? お前は、どうしてきたのかな〜? うりうり〜」
「にゃー」
それから、女神様はブツブツ言いながら、テンパっていた。
そして、時間になった。
「そ、それじゃ、行ってらっしゃい」
そして、僕は転生した。
目が覚めたのは、生まれた瞬間だった。