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00.詰んだ



国王だった父が急逝した。

そのショックで、私はオタクだった前世の記憶が甦り、異世界転生していたことに気付く。

先程まで溢れ出ていた涙はぴたりと止まった。

愕然として一時停止する。私の様子を心配して、護衛騎士や教育係のショタが声をかけてくるが耳に入らない。


クソゲーじゃん!!


ヒロインの王女に転生しておいてなんだが、私の転生先は前世でプレイした乙女ゲームの中で唯一のクソゲーだった。

記憶を取り戻したタイミングはちょうどゲーム開始時。だが、この時点で詰んでいる。

王家の支配力が弱まっている最中で生まれた自分は、遅くに生まれ蝶よ花よと育てられたため帝王学を欠片も学んでいない。

ゲーム通りなら、王家筋の者や諸侯の君主に協力を要請し復興に努めなければならないが、誰が頭に花を咲かせたような小娘に説得されるというのか。

国政に関わる説得対象が、ほぼ攻略対象なのだが、ゲームだと王女の自分は尽く彼らと駆け落ちをする。

今側にいる護衛騎士や教育係のショタはまだ身分違いだから分かる。だが、ルートによっては、和平の同盟を組む話を進めたところで敵国の王とまで駆け落ちするとか、馬鹿だろう。

本当に馬鹿の一つ覚えで、国政の要人と駆け落ちテンプレだった上、スチルも酷かった。転生した今でも、キャラデザの絵師と豪華声優のフルボイスに釣られた自分が憎らしい。

ともかく、気付いた以上、国を見捨てる選択肢はない。今、国民の命は自分が背負っているのだ。


「姫様?」


「大丈夫か……?」


腹を括ると、周囲の声が聞こえてきた。


「敵国に向かい国王と面会します。今すぐ!」


父の葬儀の最中、棺の前で宣言した。

そして、速攻で敵国の国王との面会を取り付けた。自国を見限り敵国と内通していた攻略対象がいたお陰で、面会は意外とすんなり叶った。

私は開口一番に言った。


「どうかウチと同盟……いえ、貴方の国の属国にしてください!」


スライディング土下座で頼んだ。

国王は呆気にとられる。付いてきた護衛騎士も、不承不承付き合わされた内通者も、状況が分からず硬直している。


「貴方にしか頼めないんです!」


ゲームの中で、エゴなく自国のために和平の道を選んだのは彼だけだった。ゲーム知識があってよかった。お陰で信用できる人が分かる。


「わ、わかったから、顔を上げろ!」


そうして体面上、政略結婚での同盟を組むことになり、立派な為政者の国王により臣下の説得がなされ、王家は権威を取り戻したのだった。



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