葛藤
いつもより少し短めです
緊急用スモークに気づいたリゼルは珍しく行動に起こすことを躊躇った
「……………、…………!!」
………な、なんで!?よりにもよって赤なの!
「………ル…………リゼル答えよ!」
彼女はハッとして顔をあげ
「っ!あの煙は緊急用の物ですわ」
「それは、第3でどうにかできるものか?」
彼等に渡したものは3つ。その中で彼らが使ったものは赤。それすなわち───
「……彼らでは対処不可能ですわ」
「それなら何故お前は行かぬ!!」
彼が怒鳴り圧をかける中、彼女は膝を付きその圧をかろうじて耐えながら
「……わっ私がッ………あの場所へ行くことは出来ませんッ!!」
「なぜ行けぬ!?お前が行けぬなら俺が行く!!」
それだけは止めないと!彼等の思うつぼですわ
「くッ………な、なりません!!」
「だからなぜだと訊いておる!」
「…………」
沈黙を貫く彼女に苛立ったのか更に圧を加え
「答えよ!リゼル」
「……………」
彼は足下で膝をついた状態で耐える彼女を見下すように
「所詮そなたもあやつらと同類かっ!己らの国を守ること以外その他がどうでも良いと言うのかっ!」
私は、どうしたらいいの?若き王を大切な国を民をどうしたら護れるのですの!?
「…………」
そして、悲嘆している様な声色で
「違うと言うのなら我が力を跳ね返してみよ!そなたなら簡単だろう」
リゼルは、迷いを断ち切るように己の周囲に魔力を纏わせ かの王が放つ圧を徐々に侵食し押し返していった
その光景に彼は目を見張り笑みを浮かべた
「そなたの迷いは無くなったようだな」
彼女は土や葉っぱをはたき落とすと何か吹っ切れたような笑顔で
「えぇ、お陰さまで頭が冷えましたわ」
彼は面白そうにニヤリと笑うと
「ほう、リゼルがどう行動するか楽しみだな」
彼女は黒い笑みを浮かべるなり
「もちろんです魔王様。ですが、貴方にも手伝ってもらいますわ。………この私を焚き付けて高みの見物……なんてさせてあげませんわ」
リゼルは、作戦をアスターに私が話すと彼は魔王としてあるまじき行動をどこか面白そうに聞いていた