案内
「魔族の国は俺の過ごしてる国より治安が良さそうだな」
彼の呟きに
「基本的に街を守っているのは第5騎士と第7軍がお互いに警らに回っているのですわ」
「では、そこまで表だっての危険は防いでいると?」
「そうですわね。ただ、光があれば闇が有るのと同じで大通りを外れれば危険は増しますわ」
リゼルは回答を返しながら何故こうなったのか遠い目をしながら後悔をしていた
数時間前・・・リゼルは何時もと同じように起きて訓練をし黒豹に昨日何もなかったか聞きに城へ出向いた。彼は訓練をせずに軍第三隊長屋に珍しくこもっていると部下から聞き出し向かうと山のように積み重なった書類を黙々とさばいていた
人が入って来た事に気づいた彼は顔を上げずに
「後でも良い書類なら分類ごとの山へ置け。緊急書類は赤、今日中に提出する書類は緑に置いておけ。終わり次第呼ぶから仕事へ戻れ」
いったいどれだけやってい無かったのかしら?
と何処か呆れている表情を浮かべながらも
「あら、私は彼の状況を確認しに来ただけですわ」
彼は椅子から飛び上がるように立つなり
「り、リゼル様!?申し訳ありません!何のお構いもせず、あのような事を申していまい」
「いいえ。構いませんわ」
彼はリゼルをソファへ誘導し紅茶と茶菓子を差し出すとあの騎士の状況について話始めた
「と言うことがありまして、その時は偶々総指揮官殿がお通りになり事なきを終えましたがこれに対しては対策を打たねばと思っております」
「そうね。今、彼は誰の客人として扱われていたかしら?」
「確か・・・『隊長!ストラテーゴス様がお会いに来ております』」
黒豹はリゼルの方を向き入室の可否を問う。彼女は考える素振りを入れてから許可を出した
「入れ」
『はっ!ストラテーゴス様どうぞ』
部下は扉を開け彼に促し退室した
「トゥリトス殿・・とマルキシオス様!?お二人の時間の邪魔をしてしまい「誤解だ!!」これまた失礼をお許し下さい」
久しぶりに声をあらげる黒豹にリゼルは扇子を開き口元を隠すと
「あら、私との時間は迷惑でしたの?」
とにっこり微笑みながら追い討ちを掛けると黒豹は顔を真っ赤にし言い淀んだ
「あ、いや、そう言うわけでは」
「やはりお二方は相思相愛なんですね!」
乙女のように目を輝かせる彼を見てリゼルはクスリと笑い
「ストラテーゴス様、今の言葉は冗談ですわ」
「なっ!」
「中々に面白くてからかっただけですわ」
「お人が悪いです」
「ふふふ、ごめんなさいね。ところで何か用事があったのでは?」
彼に座る様に促しながら問いかけると
「街を見て回りたくなりトゥリトス殿に許可を貰いに参りましたが、仕事が山積みのようですのでまた今度に致しましょう」
「悪いな」
「その事ならリゼル嬢ソナタが案内してはどうだ?」
突然第三者からの声に二人は警戒体制になるが、リゼルだけはゆったりしたまま
「私、休日なのですがまだ働かせるつもりなのですか?」
「その者の案内ぐらい片手間で出来るだろう」
「あら、では暫くの間あなた様お一人で書類をこなして下さいな。私あまりにも休みが無さすぎてどう直談判しようか考えていたところですの」
「・・・・わかったそれで手を打とう」
「畏まりましたわ」
静まり返った部屋にリゼルがものを書く音だけが響き書き終わるなり別の場所へ紙が消えサインと印つきで戻ってきた
「さあ、参りますわよ」
「あの今のお声は、何方様で?」
黒豹の問に
「あら、陛下よ」
「「・・・はあ?はぁ!!」」
あらあら仲が良いのね
「そう言うことだから行きますわよ」
「は、はあ」
リゼルは軍服のまま彼を連れだって街を見ながら歩いていた。そして、冒頭に戻る
女性で軍服を着ているのが珍しいのか、それともリゼルの隣で歩く彼が御上りさんのようにキョロキョロしているせいか、またまたその両方か街行く人々にチラチラと見られながリゼル達は中央広場まで歩いていた。中央広場の噴水前に大勢の人盛りが出来ていた
「マルキシオス様あれは何でしょう?」
リゼルはストラテーゴスにここで待つよう言い人盛りの中にいる人に
「これは何の騒ぎ?」
振り返った男性が
「ああ、何やら忌み子が貴族のご子息様に目をつけられたらしい」
「あら嫌だ。忌み子は日向に出て来なければいいのに」
「そうだな。陛下も何故、忌み子を生かしておられるのだ?」
口々に言い始めた彼らに礼を言い彼のもとへ戻った
「マルキシオス様、一体何の人盛りでしたか?」
「えぇ、ただの喧嘩よ。ごめんなさいね私急用が出来たのでもうじき迎えが来るからそれに乗って戻って貰えるかしら?」
「・・それは、仕方ありません。本日は忙しい中ありがとうございました」
「いいえ、こちらこそちゃんと案内出来なくてもうしわけありませんわ」
それから数分後護衛と馬車が迎えに来たので彼を乗せた馬車を見送った
その後リゼルは酒屋に姿を隠しながら入っていった




