帰還
リゼルが使役獣の2体との再開を喜んでいるとき魔王城では、一人の男によってさらなる騒動が起ころうとしていた
執務室にいた面々は第3部隊隊長からの知らせにより厳戒態勢をとき警戒レベル3へ落とした
「まさかあの生物反応はリゼル様の使役獣だったとは驚きました。まだ、幼いながらに2体も手懐けているなど流石です」
驚きを隠せない宰相にリゼル父マルキシオスは『何を言ってるのだこいつ』と言う風に彼の方を見
「リゼルが初めて使役したのはフェンリルで───「はあ!?フェ、フェンリルだと!!」」
マルキシオスの声に被せる様に叫んだ男を睨み付け
「叫びすぎだ」
とだけ彼は注意をしソファに座るよう促した。男は謝りながら座るとあの時のチャラさが一気に消え背筋をのしていた
「それで向こうはどう行動している?」
マルキシオスの問いに彼は
「予想通りの行動をおこし、隠蔽を始めているようです」
執務室の温度が一気に低下し紅茶は氷となり辺りには霜が降りていた
「マルキシオス。そろそろやめて貰わないと全てが氷漬けになりますよ」
この様な事態でも馴れたもので幼馴染みの彼に注意を促す
「おっと、悪かったな愛娘が帰ってきたら共同作業できると思ったらつい制御を手放してしまった」
『フフフフフ』と笑い始める彼に二人が明後日の方向を向いた
一度スイッチが入った彼のお陰か犯人は嘘のようにすぐに見つかり、舞台の準備は着々と進んで行った
日が暮れ始めたとき砦の兵から連絡が入った
『でっで、伝令!!東の方角から巨大な龍が2体こちらに向かっています!!』
再び上よしたよと回りが走り出すなかマルキシオスとグラテフスは、なにやら二人で話し合い拡声器で
「第一訓練所にいる者は直ぐ様その場から離れ建物内には入れ」
命令を出すと彼等は、医療班を連れ第一訓練所に向かう。マルキシオスの後ろにいるグラテフスにマルキシオスの分家であるゼッルが問いかけた
「あの巨大な龍が何か分かったのですか?」
「う~ん。憶測でしかないけど、あれはリゼル様の使役獣だと彼と話し合って出た結論です」
「・・・はぁっ!?あいつの使役獣ってフェンリルだけじゃないのかよ!!」
言葉使いが元に戻っている彼を咎めることなく
「なんしろ、彼曰。『徐々に愛娘の魔力が近づいている。速度と方角からしてアレに乗っているのは我が子だ』と言っていたのでほぼ間違いないはずです」
「あ~陛下が使役している可能性は無いのですか?」
気を取り直して言葉を正す彼に
「陛下は、使役獣を持っていませんから絶対に有り得ないですよ」
「・・・・・・」
「・・・」
「・・・・・・・・。」
二人の間に沈黙が訪れ、ゼッルは今聞いたことは記憶の彼方へ放り投げた
陛下って万能だと思ってたが使役獣がいないと言う欠点があったんだな・・・
ゼッルは何でも簡単にこなす陛下に少しだけ親しみやすさを感じた
「なっ!!皆防御壁を展開しろ!!」
訓練所付近にいた彼は慌てて障壁を展開し風圧で建物が壊れないように保護した。
マルキシオス等が第一訓練所につきスタンバイが完了した頃、丁度2体の龍達が上空から降りてきた。一体は巨大な籠を彼らの前にポイと捨てるように置き青龍の方へ行った
「くっあの野郎やはり放り投げたか!!」
「痛たた・・・・酷いですよ」
巨大な籠から二人の少年が自ら体を浮かし出てきたそしてもう一人が龍の背中からゆったりと降りてくるなり
「あら、ルフスはこれでも貴方達に危害が少ないやり方を選んだわ」
少女は『ねえ!』と赤龍を撫でながら問いそれに赤龍は『グルル』と鳴きながら首を縦にふった
「これ以上酷いやり方があってたまるか!」
赤龍は『フン!』とでも言うように少女にすり寄り甘え始めた。それを見ていた青龍はまるでため息をつくように鳴いてからやはりこっちも少女のそばで足を折りその場で休憩をし始めた
「・・・・マルキシオス。これはどう言う状態ですか?」
「・・・・・・」
返事のない彼の方を向き
「・・マルキシオス?」
呼ぶとようやく現実に戻ってきたのか
「・・・ああ、悪い。まさか娘が騎龍出来るとは思ってもいなかったからな」
「それで、あの3人が今回の?」
「そうだ。そして、断罪劇場の主役2人が揃った」
ニヤリと笑う彼にため息をついた
やり取りをしている間救護班らは龍に近づけず右往左往していたが、それにいち速く気づいた少女は龍達から離れ
「私は、リゼルと申します。この度はお騒がせ致しましたこと心より御詫び申し上げますわ。この通り私達は3名は怪我一つしておりませんので、ご安心くださいませ」
と手を広げ無事だと言うことを示し籠の前にいた彼らを連れ宰相や王弟の元へ彼女達は進んだ
「ご無事で何よりです」
宰相はリゼルとアスターを見ながら言うと後ろにいる少年に
「お二方を守って頂きありがとうございます」
頭を下げる宰相に少年は慌てながら
「いっいえ!僕はただ後衛で弓を射っていただけで、ほぼ統べてリゼル様とアスター様が退治しておられましたしリゼル様が結界を作られた後は気を失っていたので!!」
まだ、何か言いそうな少年に対して
「お疲れようですので、来賓部屋をお使いください」
「そ!そんな恐れ「あら、良いじゃないたまには広いところで休むのも良いものよ」」
とだけで少女は言うと侍女に案内されながら城内へ入って行く。少年はペコリとお辞儀すると彼女の後に続く。もう一人の少年は宰相と王弟だけに聞こえる声で
「二時間後に執務室」
とだけで呟き彼女等の後を悠々と歩いて行った




