使役獣
宰相が結論を出したときリゼル達は相変わらずお茶会をしていた
「リゼル、毎回思うのだがこのセットは何処から・・・いや。何時から準備してるんだ?」
リゼルはティーカップを傾けながら
「朝のうちに入れ換えたりしていますわ」
彼も紅茶飲みながら
「そう言えば最近、第3部隊の活躍を良く耳にする」
「・・・」
アスタ-はチラッとリゼルを見るが、すました顔で紅茶を飲んでいた
「必需品を買う必要があるなら費用を増やすが、今の割合で足りてるか?他の部隊はもう少し増やせと申請が来ている」
彼はリゼルの方を真剣に見てくるので彼女はティーカップを置き考えるそぶりを見せながらも
「いいえ、軍事費をこれ以上増やす必要は有りませんわ。我々の部隊でも十分足りておりますもの他の部隊で足りないと言うことはあり得ませんわ」
リゼルは一度話を止め微笑みながら言葉を続けた
「他の部隊が足りないと申させるのは、必要経費だと言いながらお遊びを成させているからですわ」
と爆弾を落とした。それを聞いたアスタ-は、悩ましげな表情から笑みを浮かべたが纏っている空気が一気に重くなった。そして彼の魔力で机が排除され、彼の前にリゼルは騎士のように片膝をつき頭を垂れた
「リゼルレディシオ。それは嘘偽りのない真の事か?もし、今の言葉に嘘偽りが有るのなら今すぐ訂正せよ」
リゼルは顔をあげ真っ直ぐに魔王陛下を見上げながら
「私 リゼルレディシオ・ギネカ・マルキシオスは、我らの魔王陛下の御名にまたマルキシオス家の名にかけて先ほど申し上げたお言葉に嘘偽りは一切御座いません」
「証拠またや証言はあるのか?」
「はい。しかと揃っております」
「そうか」
周囲の空気が軽くなるとリゼルは、軽く服を叩き土を落とし机と椅子をもとの位置へ戻した
はぁ~まさか気付いていないとはさすがに驚きましたわ
二人の間になんとも言えない沈黙が数分だったか数時間だったかが訪れた。それを破ったのは気を失っていたディナンだった
「ぅっ~ううん・・・ここは、いったい?」
二人はいつもの髪色や目の色に戻し
「ディナンさん。お気づきになられたのですね」
「行きなり倒れたけど、大丈夫か?」
彼は困惑気味に
「えっ・・・あっそっか僕たちは地獄のような場所へ飛ばされたんだった!それで、魔物の群れが訪れて・・・・・リゼル様が結界を貼られてそれから・・・?」
「ええ、そのあとよっぽどストレスが溜まっていたのかお倒れになられたのですわ」
「そっか・・・って!申し訳御座いません!!僕が後衛をしっかりやらないばかりにお二人には無茶をさせてしまいました」
土下座する彼に二人は顔を見合わせアスタ-が彼の前で膝つき
「いや、ディナンのお陰で前衛に集中できた。だから立ってくれ」
ディナンは涙を浮かべながら彼と立ち上がり、何かを決心した様にキリッとした表情になり
「あの!お二人はお貴族様ですよね?」
彼の問いにリゼルはアスタ-からの視線から真意を読み取り
「えぇ。アスタ-様は私の従兄に当たりますわ」
「何故、今まで貴族位を名乗られなかったのですか?」
「私達は貴族平民関係無く共に学び共に遊びお喋りをし仲良くなりたいのですわ」
「それに民を守る我々がその民のことを何も知らずして、過ごしやすい町や国作りが出来ないからな」
とアスタ-が言葉をつなげ、二人とも微笑んだ
再度ディナンが目を閉じ目を開けた
「あの!!」『ガルルル!』
彼が声をかけてきたが、使役獣の声に遮られ彼女たちには聞こえなかった
「あら、ようやく着いたようね」
リゼルはティーセットを出しっぱにしたまま結界から出て行き真っ赤で所々黒々した赤龍に近寄り使役獣を撫でながら
「良く来てくれたわルフス」
彼女にすり寄るルフスに嫉妬する様にリゼルを口でつつく青龍の顔を撫で
「貴女もありがとうマリーン」
二匹とも満足したのかリゼルとの間を開け後ろの方を向いた。リゼルも振り向くと一人の黒髪でエメラルド色の瞳をした同じぐらいの年齢の少年が立っていた
あら?見たことのない少年ね。でもこの魔力何処かで・・・何処だったかしら?
「あら。貴方がここまでこの子達を案内してくれたのね?」
彼はその場で膝をつき
「あなた様がもしものためにと私に渡して下さったこのブローチのお陰です」
この声!それにそのブローチを渡したのは彼だけね
「フィール。本当にありがとう」
彼は驚いたように顔をあげ
「何故、僕だとお分かりになられたのですか?」
「何故って、貴方の声と魔力それに瞳と髪色よ」
「似ているものは五万と居られます!」
「確信を持ったのはそのブローチよ。そのブローチは特殊なもので許可したもの以外が持つと色が濁ったりヒビが入るのよ。それに、ブローチを渡したのは貴方だけですもの」
フィールが、絶句している間にリゼルは可愛い子達に
「私の仲間を乗せて貰えるかしら?」
と聞くと嫌そうな素振りをするので巨大な籠を出し
「これに彼らを入れるから運んでくれるかしら?」
ルフスが渋々頷いたので紐を咥えさせ
「アスタ-様ディナンさん。この籠の中に入ってください」
アスタ-は顔をひきつらせ
「落とされないだろうな?」
「この子達は賢いので落としませんわ」
ね?っと聞くようにルフスを撫でると『クルルル』と頷いた。リゼルは、ほらねと彼の方を見て怯えるディナンを風で浮かし中へ入れた。アスタ-が自分で中に入ったことを確認しリゼルはマリーンの上にのり乗龍様の鞍をつけ
「さぁ、ルフス。マリーン。王城の広場へ向かってちょうだい」
『『グウオ~ン』』
リゼルは久しぶりの飛龍を楽しむことにした。そして大空を飛び出すとルフスが運んでいる籠から悲鳴が聞こえていたが漸くすると静かになった
あら?そんなに怖いかしら?
とドレスを風に靡かせながら魔王城にいるお父様はきっと喜ぶだろうな等と気楽なことを思いながら後ろからゆっくりと飛んでいる烏の群れを眺めていた




