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劣等生はどこへ向かう?  作者: 美夜
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グラテフスとマルキシオス

一方リゼル達がまだ、座学を受けていたころ魔王城ではちょっとした騒動がおき始めていた


「グラテフス宰相殿!」


名前を呼ばれた彼は少し廊下の端により振り返った


「これはこれは、フィュスト侯爵様。本日はどの様なご用件でご登城なされたのですか?」


「宰相殿はご存じなのでは?陛下はどちらにおられる!」


怒鳴りかける侯爵にグラテフスは思案しながら


「はて?私にもいずこへ参られたのかこれと見当もついておりません」


「ふざけるな!!」


顔を真っ赤にして怒鳴りだす彼にグラテフスは相変わらずの無表情で内心ではあきれ果てていた


「お前は陛下の側近だろうが!何故お前が陛下の側にいないのだ!?」


廊下にいる人々は触らぬ神に祟りなしとでも言うように遠回りして向かうものやそそくさと通り過ぎて行く


「あの方が何処かへ行かれるのもお前のせいではないのか!?」


「おや?グラテフス宰相殿とフィュスト殿。この様なところで何を騒いでいるのですか?」


彼らの名を呼んだ人は柔らかい笑みを浮かべていた


フィュストは彼の声に振り向き顔を見るなり、あからさまに顔を歪めたが取り繕い


「これはこれはマルキシオス殿。なに、まだ陛下の居場所が分からないのかグラテフス殿にお聞きしていただけです。用事は済みましたので私はこれで」


彼が歩きだすのを見計らい


「グラテフス宰相殿、交流会の警備について詰めたい事があるのですがお時間は大丈夫ですか?」


「それでは、私の部屋でお聞きしましょう」


二人は並ぶようにしながら歩き出した


◆◆◆◆◆


宰相の書斎につくなり


「はぁ~助かりました。あのままどうでも良いことに時間をついやするところでしたよ」


グラテフスは紅茶を淹れながら先程とは事なり心底げんなりしていた。その逆でマルキシオスは厳つい表情をしていた


「ああ。彼奴も懲りないやつだな」


「全く困ったものです」


グラテフスは彼の前に紅茶を置くと


「それで、彼は大丈夫ですか?」


「今のところは……な」


彼らの心配をよそに窓を突く音に気づいたマルキシオスは窓の外にいる烏を中に入れ


「伝言はあるか?」


烏は首を横に振り


『緊急事態が発生しました』


とだけ話すと人形になり


『本日、行われる実技で魔方陣に不審な魔力を感じました』


「それで、転移先はどこだ?」


『恐らく転移先は人界と魔界の狭間で行われた四天王が争った場所かと思われます』


「……………」


「……………」


「……………」


3人の間に重たい沈黙が訪れたが、さすが王弟と宰相だけあり直ぐ様討論が始まった


二人は地図を広げ


「あの場所はまだ、魔力派が乱れているはずです」


悲痛な面差しで


「ああ。流石にリゼルであっても破損なしでは戻ってこれまい」


「………では、陛下の力では?」


「無理だな。あの場所には魔物が大量にいる」


「軍を派遣しては?」


彼は首を振り


「逆に犠牲者が増えるだけだ。それに…………いや今は止めておこう」


「では、リゼル嬢が使役している魔物を!」


「……………アトモスフィールは何処にいる?」


窓のそばで立っていた人形をした烏は外に意識を向け


『なにやら竜山に向かっているようです』


何故、竜山に行ってるんだ?


3人の頭の上にはクエスチョンマークが飛び交っていた


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