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劣等生はどこへ向かう?  作者: 美夜
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対価

リゼルは屋上で従兄と向かい合い誰もいないパラソルの下で椅子に座りながら


「本題の前に少しいいかしら?」


従兄は苛立ちながらも


「……なんだ?お前が俺に聞いてくるときは大抵ろくでもねぇ事だから聞きたくねぇ」


心底嫌そうに言う彼にリゼル少し悲しそうにうつむくと


「カミールは、元気にしているかしら?」


彼は目を見開き


「お前、弟のこと気にしてくれてたんだな!」


彼女は無表情になり


「カミールは、貴方と違って私の代わりとなってくれるもの」


「……………」


「……………」


二人の間に冷たい沈黙が訪れたが、リゼルは内心彼が勘違いしていることが手に取るように分かり微笑んでいた


ふふふ 相変わらず言葉の裏が読めないようね。私が一番可愛がっているあの子に私の代わりをさせるわけがないじゃない


案の定彼は殺気を向けてきたがリゼルは涼しい顔をしたまま受け止め


「あらあら、これ以上殺気を出していたら警備兵が来ますわよ」


「チッ。警備兵が来たらお前のせいだからな」


「あら?それは貴方が殺気を出したのが悪いのでは?」


「ああ“お前が俺の弟を───「ですから言葉の裏を読み取りなさい!といつも言っていますでしょう」」


「…………」


押し黙る彼にため息をつきながら


「そろそろ本題に入ってくれるかしら?」


「っ!てめぇが………もういい」


あら、珍しくっかかってこないわね


「それより伝言だが────」


リゼルは舌打ちしたくなったがそれを堪え、手のひらの上にクリスタルを作り出し彼の方へ差し出した


「今回の対価よ」


彼はクリスタルを眺めながら


「サンキュー!これを貰えなかったら正直ヤバかったな」


「次期当主が自ら作ったのだから確りと使いなさい」


リゼルは立ち上がると彼に背を向けながら


「巻き込んでしまってごめんなさい」


とだけ言うと張っていた魔法を全て解除しベルの音と共に教室へ戻っていった


リゼルは裏庭で人形のリゼルが下りてきたのを確認し


結局 彼は、この人形に気づかなかったわけね。従兄だと思いたくもないし、存在を消したくなるわね


人形を消すとリゼルは踵を返すとそのまま次の実習へ向かった


その頃 彼は彼女の言葉に驚愕し、暫くその場所でリゼルが出ていった方向を見続けていた



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