従兄
本日の分がようやく終わりました!
リゼルは選ばれた5人と共に何故か他国語やマナーを習い始めかれこれ2週間が経過した
この日も授業を受けながら彼ら個人に適したテストと前回の解説を紙に書いていると
「なぁ、リゼル。最近不機嫌そうだが何かあったのか?」
リゼルはニコリと彼に微笑むと
「この国の文官や外交官に対して涙が出そうですわ」
「………それ、嫌みだよな?」
「何故ですか?私はただ、あまりにも有能すぎて涙が出そうと言っただけですわ」
「………俺が悪かった」
「何故、貴方が謝るのですか?」
「そ、それはだな………「42ページ3行目。ジョブについて当たりますわよ」」
「では、アスター君ジョブについてを答えてください」
「はい。ジョブは基本的に一人ひとつ持っておりそれに応じて得られるスキルや体質が変わってきます」
「では、リゼルさん。ウィザードの体質と取得可能なスキルについて─────」
勢いよく扉が開きクラス中の視線が前側の扉に注目したが
「リゼル───グハッ!?」
その男は顔面を真っ白にし後ろへ倒れた。その彼の様子を見るため教師が廊下にでた
「な、何で黒板消し?それにこれ重くないかしら?」
教師の呟きは作動しっぱなしのマイクに拾われ教室にいる生徒全員が聞いていた
「黒板消しが重いのか?」
「鉄でも入ってんじゃねぇか?」
「重力操作?」
「それは無理だろう?それにもしそうなら魔法を解いてるはずだよ」
様々な憶測が飛ぶなか教師は
「皆さん暫く自習しておいてください。男性の教員を呼んできますので」
倒れた男性をそのまま放置し理論学の教師が駆けていった
「なぁリゼルよ」
呼び掛けられた彼女は歴史書を読みながら
「何かしら?」
「あの男見覚えがある気がするんだが、俺の気のせいか?」
「さあ?私は歴史書を読んでおりましたのでお顔を拝見していないのでなんとも言えませんわ」
「………言い方を変える。あれはお前の従兄だよな?」
「私には巨大なデカ物が倒れたようにしか見えませんでしたわ」
「………巨大なデカ物って。一応お前の従兄に酷い言い方だな!?」
「能の無い動く大木相手に同じ様に話せと?」
「…………あ~そう言えば忘れてたな。お前らは筋肉バカをとことん嫌ってるんだよな」
リゼルは本を閉じるなり
「違いますわ。公私混同させる者が国を滅ぼし世界を滅ぼすのですわ。その可能性が有るものを嫌っているのですわ」
「嫌ってるって言うよりも排除してねぇか?」
「…………」
彼女は仕方なく廊下に今だ倒れている男性──従兄に近づき誰にも見られないように幻影と防音魔法をかけるなり
「いつまでその様なところで寝ているのかしらっ?」
言葉と共に従兄の横腹に蹴りを入れた
「!?ィった~~何しやがる!!?」
「黙りなさい一体この様なところに何をしに来たのですか」
「ぁあ“お前の親父から伝言を任されたんだよったく」
彼はそう言うなり汚れを叩き落とし、来いと言う風に合図をするが
「残念ですが、今は授業の真っ只中な為後程参りますわ」
彼は勢いよく振り向くと
「ふざけてんじゃねぇ!!俺だって用事があんだよ!テメェのつごうに会わせてられっかよ!」
リゼルは考えるそぶりをしながら
「では、自分で幻影魔法と物体魔法をかけ教員にばれなければ話を聞きましょう。ですがばれたらお話は後程……っと言うのはどうでしょう」
「…………お前、柔らかくなったか?」
彼女は少し笑うと
「あまりにも退屈すぎですもの」
とだけ言い自分の人形を設定し直すと彼と共に屋上へ行った