封じ魔
リゼルは収納機能がついているブレスレットから人間の町娘が着ている質素なワンピースを木の影で着替え、交代するように彼女が着替えていた場所に隠れたアスターがクククっと笑ってい声が不気味に聞こえた
はぁ~やはり予定は未定でしたか。本来ならこのサバイバルが終わった後の代休で、人間の世界へ行くつもりでしたのに
「リゼルよ」
「何でしょうか?」
木から出てきた彼を見て危なく表情に出して笑いそうになるのをこらえた
「一体これは何の魔族……魔物か?の格好だ?」
彼の頭には羊に似ている角に白い動物の顔の一部に黒いマント
彼女はいたって平常心で
「これは゛声真似 ” と言う人間界に伝わる妖怪だそうですわ」
「ほう、声真似と言うからには誰かの声を真似れば良いのか?」
「本来ならそうなのですが…………」
彼女は彼の耳もとで設定を教えもうダッシュで赤のスモークが上がった場所に向かった
リゼルは隊長が庇いながら戦っている人物を見て
……足手まといが7人いるから赤だったのね。普段の彼なら4・5人程度なら簡単に退却出来ましたのに
「ガキ!さっさと表へ戻れ!!」
彼が数回同じ言葉を発し腰を抜かしている子どもに立てと言っているのが聞こえた
彼は後方へ下がることも出来なければ避けることもできず、その場で流しては魔法を使おうとするが不発に終わる。それに苛立ちや焦りが積もっていくのが手に取るようにわかった
リゼルはため息を一つ吐き何かから逃げてきたように息をあらげ、だが言葉はハッキリと
「ねぇ、そこのお兄さん達何しているの?」
可愛く首をコテッと傾げながら無赤な子どものように振る舞った
案の定、隊長や魔族の子ども達と人間はこっちを向くなり顔を真っ赤に染め刃物を下に向けていた
リゼルは再び
「お兄さん達何をしているの?」
とさっきより上目遣いで尋ねると隊長が
「こいつらは────」
何かを言いかけたので魔法で封じまさかっと言う風に
「ねぇ、お兄さん達声真似に声とられちゃったの?それなら速く町に戻ってお薬飲まないといけないね?」
と言うと隊長が何言ってんだと言う風に見てくるが気にすることなく、青ざめている男達を見つめた。反応がないことを確認し彼に合図を送った
「そこの小娘、お前の心臓俺に寄越しな」
………あまりにも棒読みでずっこけそうになるがそれを耐え
「さ、さっきも言ったじゃない!!い、嫌よ」
……あっ!声が震えてしまったわ…でもこの場合は良かったのかしら
彼は回りの反応に気を良くしたのか
「ほう?お前の心臓の変わりにその人間の心臓5つ俺に寄越すか?」
声真似………と言うよりも歴代の魔王が言っていた言葉をそのまま言う彼に誰にも気づかれないようため息をついた
それでもリゼルはどうにか繋げ
「……そっそれは………」
チラッと彼等の方を向くと
「「「ぎやあああああーーーーー」」」
叫び出して逃げ出す彼らに
「待ってお兄さん達!!」
と町の近くまで見届け彼らが無事に町に戻ったことを確認して隊長のもとへ戻った
彼の元にしゃがむとちょうど見上げる角度になり、ばれるかな?と思いながらも
「ふふふ、お兄さん達も速く表に戻った方がいいよ?裏側は、さっきの人達も来るし危険だからね?」
と言葉に魔力を乗せて言うと恐怖を感じ取ったのか何度も何度も彼らは頷き表に戻っていくのを見届けた
「なぁ、言霊使う必要あったか?」
彼女は振り向き
「ええ、そうしなくては子ども達が立ち上がれないもの」
「そんなに彼奴らは弱いのか?」
リゼルはこの森に人間が入らないように魔術石を隠しながら
「ええ、貴方が戯れて魔法なんて放ったら灰に成るくらいに」
「魔族はそれほどまで弱体してたのか?」
「さぁ、それはどうかしら?」
リゼル達は再び交互で着替えながらも
「魔王軍第3の隊長が人間ごときに遅れをとり、挙げ句にガキどもも魔法すら使えていなかったぞ」
「それは違いますわ」
リゼル達は夕食の準備をしながら
「どう言うことだ?」
怪訝そうに問いかけてくる彼に
「人側に珍しいものが出回っているみたいね」
とだけ言うと彼に食事を渡し
「封じ魔 ってご存知かしら」
「封じ魔だと!?」
「ええ、よりにも寄って厄介なものを彼らが持っていましたの」
「俺達と戦争でもする気か?」
「それを望んでるのはどちらにも居るのではなくて」
彼の望みを全ては答えず彼にとっては、あやふやなままでその日を明けることにした