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7話 勧誘はお断りなんだが

次の日、約束通り軍の施設に来ていた。

勿論、お面を装着している。さらに下級竜(ワイバーン)の皮でローブを新しく作りそれを着ている。


昨日のうちにフランには名前を言わないように言っておいたが大丈夫だろうか?


軍施設は門の奥にある。街の門よりは小さいが立派な問だ。


俺たちは前の軍隊長に連れられて門の横にある出入口を通り軍施設の中に入る。そのまま建物に入り1番奥の部屋まで案内される。


この前の門の検査の時や下級竜(ワイバーン)討伐の時に話した人は3番部隊隊長らしい。


勝手に勘違いしてたな。


部屋に入ると高そうな軍服を身にまとった男が椅子に座っていた。


「サーマル様、お連れしました」


「ご苦労、下がってくれ」


「はっ」


軍隊長は敬礼をして部屋から出て行った。さっきの会話を聞くかぎり目の前の男がこの街の領主らしい。


「まずは、この度は街を救ってくれてありがとう。私はサーマル領の領主と軍の総隊長をしているハルク・サーマルだ」


「これは丁寧にどうも」


「名前は?」


「黙秘します」


あんまり表舞台には出たくないんだよ。

こんな力がある事がバレたら絶対に国王みたいな人から魔王を倒せとか言われるもん。魔王討伐なんてブラックな仕事はしません。


「チッ······では、今回は貴方がたのおかげで軍や街への被害が少なく済んだ。謝礼金として、50万ゴールドを受け取って欲しい」


「······いいのですか?そんな大金いただいて?」


今、舌打ちしたよな······

聞こえてないと思ってるのか?


「いや、むしろ貰ってくれなければ困る。受け取って貰えなければ他の貴族の奴らにフィーゲル市のハルク・サーマルはケチ臭い男と言われたら堪らんからな」


ようはパフォーマンスか。なら貰えるだし貰っておこう。

てか、この言葉づかいもパフォーマンス的な感じか?


サーマルさ────サーマルでいいや。サーマルは執事を呼びお金が入った袋を持ってこさせた。俺はそれを受け取り[宝物倉庫(アイテムボックス)]の中に放り込んだ。残金表示が50万プラスされる。

洞窟で見つけた分のお金(宝石、宝物類は未売却)と合わせると5500万ぐらいになる。


ヤバっ!めっちゃ金持ちじゃん。


「それはそうと、うちの軍に入るきはないか?」


「無いです」


「今なら軍隊長にしてやってもいいんだぞ?」


「結構です」


仕事はしたくないでゴザル。

それはそうと、なんでこんなに俺らに執着するんだ?


『解。下級竜(ワイバーン)を倒せるほどの手練を自分の手駒にし力を持ちたいのだと考えられます。』


やだよ、こんなオッサンの下につくなんて。美少女ならまだしもぽっちゃりしたオッサンだよ?


このあと、アレやコレや条件を付けられたのだが断り続けた。


美人のメイドを沢山つけると言われた時は流石に少し揺らいだな。危なかったぜ······


「取り込むのは無理か······最後に下級竜(ワイバーン)の死体を返せ」


「はぁ?」


何言ってるの?もう一度言おう。何言ってるの?

返せ?何言ってんの?(3回目)売ってくれならともかく返せ?何言ってるの?(4回目)倒したの俺だよ?(注:フランです)何言っての?(5回目)

あんな良い素材やるもんか!!それにもう少し声のボリュームを落とせ。取り込もうとしてたの丸聞こえなんだよ。


「言っている意味がわからないんだけど?」


「私の領の生物なのだから私の物だろ?だから返せ」


本当に何言っているの?(6回目)


「俺らが倒したのだから俺らの物だろ」


「いいや、違う。私の物だ」


ダメだコイツ。話にならん。それに、だんだん喋り方が乱暴になってきているし。


もういいやと、部屋を出ようと席を立つ。


あっ、そう言えばフランが珍しく静かだったな。どうしたんだ?


「すぴぃーっ、すぴぃーっ」


寝てた。そうだよな年齢は1200歳でも精神と肉体は7歳ぐらいだもんな。難しい話は眠くなるよな。下手なこと言わないから逆に助かったな。


「待てっ!!話はまだ終わってないぞ!!」


「こちらとしては終わりました」


「ふざけるなぁ!!お前ら取り押さえろぉ!!」


扉が乱暴に開かれ10人程の兵士が入って来た。


さて、どうしたものか······


俺の周りには数十人の兵士達が囲んでいる。


どうしてこうなった?


「取り押さえろぉ!」


サーマルの声共に、数十人の兵士達が一斉に飛び掛かる。兵士達は部屋の中の為か槍ではなく全員剣での攻撃だった。慌ててスキルを発動させる。


「[遊戯補助(ゲームアシスト)]起動」


[遊戯補助(ゲームアシスト)]の機能の1つ[攻撃予測]で剣の攻撃範囲が赤色で写し出される。赤色の範囲に入らないように立ち回り剣を躱す。


躱し続けるがどんどんと攻撃の密度が高まる。


流石に捌き切れない。連携が上手いな、流石軍隊。1人崩して連携も崩すか。


俺は兵士の1人との間合いを詰め振り下ろされる剣を持っている手を自分の手で相手の内側に弾きそのまま自分は外側へ移動する。そのまま体制が少し崩れた相手に刈足を決める(足刀で膝裏に蹴りを打ち込む)。膝カックンの要領で相手の体制は完全に崩れ相手は膝を地面に着いた。そうすると丁度いい高さに頭が来るので振り返りながら回し蹴りを顔に決める。


兵士は倒れ動かなくなった。

死んではいない。脳震盪をおこしているだけだろう。


1人が崩れたことにより連携に乱れが生じる。


よし、今のうちにさっさとフランを連れて逃げよう。あれ?フランは?


「すぴぃーっ、すぴぃーっ」


フラン、まだ寝てるじゃん!?この状況でよく寝れるな。


「おい、フラン起きろ」


「う〜ん?なに〜?」


フランの耳元に小声で話しかけるとフランはまだ眠たそうにしながら返事をした。

まだ、攻撃は止まないのでフランを抱え上げ話を続ける。


「すっごく弱い魔法か何かでアイツらの動きを止められないか?」


「うん、わかった。やってみる」


フランを抱えながら攻撃を避け続け魔法を頼む。


こんな横暴な奴らでも人間だし殺さないでおきたい。フランにすっごく弱い魔法を頼んだが、手加減できるだろうか?────うん、心配だ。もう一度念を押しておこう。


「フラン、弱い魔法だからな。すっごく弱い魔法だからな。」


「うん。[感電(スタンボルト)]」


フランが魔法を唱えた瞬間、周りの兵士達が一瞬光り倒れた。


[進行補助(ヘルプ)]さん、解説お願いします。何が起こったの?


『解。今の魔法は下級の雷魔法[感電(スタンボルト)]です。相手に電気を流し感電させる魔法です。』


下級って事はそこそこ弱い魔法なんだな。焦げている気がするけど問題ないよな?


『解。魔法は込める魔力量で攻撃力が変わります。フランの魔力量は普通に比べて多いので無意識に魔力を込めている為、攻撃力が増して中級並の威力になっています。』


ダメじゃん。死んでないよな?


『解。この部屋にいる兵士達の只今のHP残量の平均は5です。』


少なっ!?えっ?死にかけじゃん。大丈夫なの?


『解。大丈夫でしょう······多分。』


いい加減だな、おい!

まぁ、いいや。死んでないし。今度からフランに魔法を使わせるのは止めておこう。


さて、どう逃げよう。窓から出るか?

いや、そんなに身体能力は高くない。ここは5階、飛び降りたらただでは済まないだろう。


なら、普通に扉から出るか。


部屋を出て廊下を走る。幸い追ってくる兵士は居ない。建物を飛び出し軍施設の門の横にある出入口を突破する。


それからしばらく走り路地裏へ行き[地形表示(マップ)]で追跡者が居ないことを確認してからお面とローブを外す。


正体がバレないうちにさっさとこの街を出ないとな······

取り敢えず宿に戻るか······


俺らは一旦宿に帰ることにした。


▼▼▼▼▼


「ふぃ〜疲れたぁ〜」


本当に何なんだよあのオッサン。

今日はもう遅いし明日には街を出よう。


「フラン、明日この街から出ようと思っているんだけどいいか?」


「うん。別にいいよ」


フランの了承も取れたし明日には街を出れる。


さて、予定は決まったが暇になったな。何をしよう。

あっ、そう言えば冒険者ギルドのルールブックを読んでなかったな。今のうちに読んでおこう。


[宝物倉庫(アイテムボックス)]から受付のお姉さんに貰った冒険者ギルドのルールブックを取り出す。


もらった時は気づかなかったけど案外薄いな······


開いて呼んでみるとあんまり大したことは書いてなかった。

他の冒険者の邪魔をするなとか犯罪を犯すなとかだった。そういう時の処分はだいたい冒険者ギルドカードの破棄とかだった。重要そうなのはある程度の期間で依頼を受けないと取り消されるらしい。気をつけなければ。

他にも冒険者同士のケンカはギルドは関与しませんとかが有ったけど、まぁいいだろう。


想像以上に少すぎて5分もかからなかったな。


本当にやることが無くなった瞬間ドアがノックされる。食事のお呼び出しだ。

丁度いいタイミングだな。


俺とフランは1階に降りて食事をとり、その後明日の出発のために早めに寝たのだった。

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