2話 とんでもないのが仲間になったのだが
俺は人がいるところを目指して歩いている。
[進行補助]を使って集めといた方がいいものを聞き、それを集めながら森を歩く。お腹が減っていたので食料も調達出来てよかった。
因みに、森で今のところ集めたものは果実に水、サトウキビ等の食料、綿や絹等の服作りに必要な物、薬草等の薬になる物と色々集めている。
他にも、途中に巨大な蜂型の魔物に襲われた為、殲滅したら巨大な蜂の巣があったのでゲットした。大量の蜂型の魔物の死骸も利用出来るそうなので回収した。因みに、蜂型の魔物は石を投げつけて殲滅した。レベルが上がり過ぎたせいか石ころでも魔物を倒せるようになったのだ。
途中で集めたものは全て[宝物倉庫]に入れて、必要そうなものは[分解調合]で作った。
例えば、水+薬草+蜂蜜で回復ポーションみたいな感じだ。
そろそろ、歩き始めて2時間弱。なにか進展が欲しいものだ。
「きゃああああ!!」
────そういうのは求めてなかった······
何処からか悲鳴が聞こえてきた。とりあえず悲鳴が聞こえた方へ行ってみるとそこには洞窟の入口があった。
何かあったら[不正能力]を使えばいいか。と俺は洞窟の中へ入っていった。洞窟の中は暗く足元が見ずらい。
どうにかならないかな?
『告。[各種設定]の[輝度調整]を変更すれば明るくなります。変更しますか?』
······お願いします。
『解。了解しました。』
[進行補助]の声と共に視界が明るくなる。
なんか、思ったんだか。[不正能力]以外の能力もチートじみている気がする。
『告。気にしない方がいいですよ。』
あっ、はい。
▼▼▼▼▼
[地形表示]を駆使して道内を進む。これで迷う心配は無い。
『告。足元の石を採取する事を推奨します。』
足元の石?
見るとそこには光沢のある石があった。まとめて[宝物倉庫]に入れる事にする。[宝物倉庫]は便利な事に近くにある同じ物も一緒に取り込んでくれるのだ。
······やっぱりこれもチートじみてる。
『告。気にするだけ無駄です。』
[進行補助]の言い方が少し軽くなったように感じたが気のせいだろうか?
まぁ、なんだかんだで悲鳴の主を見つけました。何処に居たのかというと罠の落とし穴にハマっていたのだ。
俺が見つけたのは結構深い穴で下から頑張ってよじ登っている最中で発見しだい救出した。救出したのは女の子だった。
真っ赤な髪と目の7歳?位の女の子だ。
さすが俺の夢。こんなに真っ赤な髪と目の女の子って2次元の中にしかいないだろが今まさに俺の目の前にいるのだ。
「あの、その······ありがとう」
「気にしないで。俺はユウキ、君は────」
そこまで言った時にあることに気づいた。[地形表示]を表示した時に人間は最低あと20km程離れているところにしか居なかったはずだということ。そしてもう1つ、その女の子の髪から後に伸びる2本の角らしき物が伸びている。さらに、腰からも尻尾のようなものが伸びていた。
────魔物!?
そう考え、後に飛び退き逃げようとするがその必要はなくなった。
「あっ!!ちょっと、まっ······て────」
とそこまで言って、赤髪の少女はそのまま地面に倒れてしまったのだ。
どうしたんだ?
『解。過度の疲労と空腹によるものだと考えられます。』
どうやら、疲れて倒れたらしい。このまま放置するのも後味が悪いので介抱することにした。
まぁ、襲ってきても[不正能力]でどうにかなるだろうし。
しばらく、待つと赤髪の少女は目を覚ました。とりあえず回復ポーションと果実等の食べ物を食べさした。
「おいしぃ〜!!ありがとう。私は龍人のフランだよ!!よろしくね!!」
「お、おう。よろしく?」
むしゃむしゃと果物にかぶりつくフランを見ながら微妙な返事をする。
龍人ってなんだろう?名前通り龍人か。
強いの?
『解。下級竜よりも強いです』
マジかよ。
未だにむしゃむしゃと果実にかぶりついて尻尾をブンブンと振っているフランを見るとそうは思えない。普通のかわいい女の子にしか見えないな。いや、魔物だから普通の女の子じゃないか。
さて、そろそろ行くか。
「じゃあな。もう穴に落ちるなよ」
「まって!!私もつれていって!!」
「え〜」
「そんな顔しないで!!」
別に嫌ではないが······どうしようか······
『告。戦力補充と考えて連れて行ってもいいと思います。』
いや、[不正能力]があれば戦力とか関係なくない?
『解。[不正能力]は1回5分しか持ちませんし残機も消費します。因みに只今の残機は99機です。』
えっ?あれ、5分しか持たないの?あと、忘れていたけど残機って何?
『解。残機は残りの命の数です。死んでもその数だけ[残機復帰]で復帰出来ます。[不正能力]は体に負荷がかかりすぎるので残機を消費して体を交換しています。』
えっ?何?[不正能力]を使う度に死んでるの?
『解。はい。』
なんか一気に[不正能力]を使う気が失せたな。
[不正能力]が使えないとなるとやっぱり戦力が欲しいな。
「分かった。じゃあ、よろしくなフラン」
「うん!よろしく!」
「さて、じゃあ行くか」
そして、俺はフランを連れて洞窟の出口に向けて新たなる1歩を踏みだ────
『告。洞窟の奥に財宝があります。』
────さ無かった。
フランを連れて洞窟の奥へ行き誰かの財宝を貰いました。
お金がいっぱい。やったね!!
▼▼▼▼▼
フランと財宝を(勝手に)貰ってから外に出た。
うぉ、眩しい![各種設定]の[輝度調整]を変更したままだった。
慌てて、[輝度調整]を元に戻す。
さて、今度こそ人がいるところを目指して────ちょっと待て。フランの姿を見たら普通の人って動揺したりしないか?
『解。します。フランに[人化]を使うことを推奨する事を推奨します。』
[人化]?なんだそれ?
『解。完全に人の姿になることが出来ます。』
成程。早速やってもらうか。
「フラン、[人化]出来るか?」
「うん!できるよ!」
すると、フランの角と尻尾が消え普通の女の子となった。これなら問題は無いだろう。フランの方を見ていると何故か目をキラキラさせてこちらを見ていた。
何だろ?
『解。褒めて欲しいみたいです。』
なんで?まぁ、とりあえず褒めておこう。
「あー、凄いぞー」
「ホントに?わーい!」
何故かテンションが上がるフラン。本当によくわからん。
『告。[団体編成]にフランを登録しますか?』
よく分からんが、はいで。
『告。フランの情報が閲覧可能になりました。』
えっ?個人情報保護法は?えっ、ない?うん、知ってた。[団体編成]にそんな力があったとは驚きだな。さて、確認してみるか。
〈名前〉フラン
〈レベル〉Lv48
〈種族〉龍人
〈年齢〉60歳
〈性別〉女
〈種族能力〉
[竜魔法Lv5]
[竜化][人化][龍人化][部分竜化]
〈能力〉
(身体系)
[身体強化Lv7]
(魔法系)
[火魔法Lv8][雷魔法Lv8]
(耐性系)
[火属性耐性Lv5]
〈称号〉
[魔王の娘][魔王の卵]
マジかよ······
俺は言葉を失ったのだった。