16話 勇者の存在を知ったんだが
「勇者?」
「そうだ勇者だ。なんでも最近召喚されたそうだ」
元の世界に帰る方法に関係ありそうな情報を貰った。勇者の存在だ。
この世界と別の世界から勇者を召喚する儀式があり、ついこないだ実際に行い成功したそうだ。しかも今回が初めてではなく過去何回も召喚しているらしい。これをきっかけに元の世界へ変える方法が見つかるかもしれない。────という訳で勇者に会いに行きたいと思います。
「勇者って今はどこにいるんだ?」
「王都で訓練してるって噂だ」
この国の王都へ早速向かおうと思う。ノエルに馬車で乗せていってもらおうと思ったけどダメでした。ノエルは違う方面に行くらしい。
なので自分たちで行くしかない。しかし、王都までは結構距離があるらしい。
馬車を買うべきか。
「ガルツさん、馬車ってどこで買えますか?」
「馬車か?安いやつでもそこそこ高いが······大丈夫かい?」
「資金はたっぷりありますから」
そう、金は無駄にある。
「なら、私が明日までに手配しといておく。オーク討伐の時に他の冒険者達が助けられたみたいだからね」
「ありがとうございます。お金は無駄にあるんでいいものをお願いします」
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さて、用意をしっかりしないとな。
食料特に野菜を買う。肉は下級竜とオークの肉が大量にあるので要らない。強いて言うなら魚が欲しい。まぁ、無いものは無いので野菜を買い貯めておく。
次に胡椒等の香辛料。
塩だけじゃ物足りなく感じたので購入した。塩より高かったけど、まぁ昔は香辛料って高価で貿易とかの要だったとか聞いたたことあるしこれは納得だ。大丈夫金はある、いっぱい買おう。
次にお皿だ。
金属のお皿を作ったが熱が伝わり過ぎて熱い。木ならもう少し緩和できるだろう。買ってから金属製のお皿はインゴットに戻した。また再利用しよう。
あと、欲しいのが水。
意外と必要な物だ。でも、水袋を何個も買うのは面倒だな。そういう魔法道具ってないのかな?
とりあえず、そういうのが売っている店に出向く。
店に入ると魔女見たいな格好の店員がいた。
「いらっしゃい。何をお求めで?」
「水が沢山入れれる、もしくは水が幾らでも出るって感じの道具は無い?」
「あ〜、あるにはあるけど高いよ?」
「大丈夫、お金は無駄にあるんで」
「そう?じゃあコレね」
店員は水袋を取り出した。
「コレは?」
「魔力を流すと水が出る水袋よ」
本当にあったんだ。
「魔力ってどうやって流すんだ?」
「え?そりゃ、体から道具にむかってひょろひょろひょろっと」
かなり抽象的だな。
とりあえず、やってみる。────出ない。
「出ないんだけど?」
「え?本当に魔力を流してる?」
「言われた感じにやってみてるけど······」
「ちょっと貸して────うん、出るわね」
「何で出来ないんだろ?」
「さぁ?買うのやめとく?」
「いや、パーティに魔法使えるのがいるからそいつに頼む」
お金を渡して水袋を受け取る。
次いでにポーション用の瓶も買っておいたテキトウに回復薬作って詰めておこう。
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次の日、ギルドへ行くとガルツさんが馬車と馬を引き連れて来た。
「頼まれていた馬車だ」
「ありがとうございます。支払いますね」
ガルツさんと一緒に来た馬車の売主にお金を渡す。
「わ〜、お馬さんだ〜」
フランがはしゃぎながら馬達に近づき飛び跳ねる。馬も機嫌が良さそうにブルルルッっと鳴いた。
俺も触って見ようか────
「「ブルルルッ!!」」
「うぉ!?」
威嚇された?俺は触るなと?酷くね?
「どうしたの?お馬さん」
フランが撫でる分にはいいんだ。チッ、可愛くない奴め。
「ところで、ユウキ君は馬車を操作出来るのかい?」
「あっ······」
「······出来ないんだね」
いや、忘れてたわけじゃないんだよ。ただ、ちょっと頭から抜けていただけで······本当にどうしよう。
考えていると救いの声が響いた。
「私、出来るよ」
「えっ?フラン出来るの?」
「ノエルに教えて貰った!!」
この子はなんて出来る子なんだ。
「なら、大丈夫だね。安心したよ」
「ノエル、いつ教えたんだ?」
「ユウキさんが買い物に行っているときです」
「えっ?短くね?」
フランは本当に色々出来るな。天才か?
えっ?フランに色々任せすぎ?言うないちばん俺がわかっている。
「それじゃ、行きます」
「うむ、また来てくれ。いつでも歓迎するぞ」
「また、会いましょう」
「ばいばーい!」
ガルツさんやノエルに見送られながら門を抜け俺達は王都へ向けて進み出した。