13話 ギルドマスターがかなり強かったんだが
フランとガルツさんが模擬戦することになりました。
ここでフランに注意事項を言っておかなければならない。
「フラン。絶対に種族能力は使うなよ」
「うん!わかった」
フランは元気よく返事をする。
本当に分かっているのだろうか?
フランとガルツさんが闘技場の中心で向かい合う。お互いに馬鹿デカイ大剣を構えている。
「それでは!初めっ!!」
審判の受付嬢が合図をする。
合図の瞬間、フランが大きく飛び出しガルツさんを吹き飛ばす。ガルツさんは吹き飛び闘技場の壁に激突した。
「ガッハッハッ!!なかなかのパワーだ!こっちも遠慮せずにいくぞ!!」
壁を蹴りガルツさんがフランに急接近し大剣をふるう。フランとガルツさんの大剣がぶつかり合い衝撃と音が伝わってくる。
ガルツさんって人間だよね?何で壁にめり込んで平然としてるんだよ。フランの剣も受け止めてるし。
「[炎投槍]!!」
上空に炎の槍が生成されガルツに向けて放たれた。
おっ!フランの魔法だ。下級竜を討ち取るぐらい強い魔法だしこれは勝負あったかな。
「オラッ!!」
打ち落としやがったよ!何!?魔法って剣で打ち落とせるの!?仮に打ち落とせたして下級竜を倒した魔法だよ!?ガルツさんって規格外か!?
「流石ガルツさん!元Aランク冒険者はダテじゃないぜ!!」
いつの間にか集まって来ていた冒険者達の話し声が聞こえる。
あぁ、なんだガルツさんは規格外か(確信)。
ガルツさんは地面に大剣を突き刺し地面を掘り上げ砂を舞わせる。
砂埃が辺り一面を覆いフランの視界を奪う。
「こんなの![大爆発]!!」
フランは魔法を使い砂埃を吹き飛ばす。が、そこにはガルツさんの姿はなかった。
「あれ?どこ〜?」
フランは辺りを見渡すがガルツさんの姿は無い。
本当にどこいったんだ?
瞬間、フランの足元が膨れ上がりフランが吹き飛ばされた。どうやら地面に潜っていたようだ。
砂埃か止むとガルツさんがフランに大剣を向けて寸止めしていた。
フランの負けだ。
ガルツさん強すぎるだろ。
「ガッハッハッ!!フラン君、強いな!!」
「でもオジサンに負けたよ」
「ガッハッハッ!!そりゃあ、私のレベルは75だからな。そう考えると今のレベルでここまで出来るフラン君の方が将来強くなるぞ!!頑張って精進しろよ!!」
「うん、頑張るね!!」
「フランお疲れ様」
「あっ!ゆうき〜」
フランを迎えに闘技場へ入って行き声をかけるとフランが元気よく近づいてきた。
「ガッハッハッ!!ユウキ君!フラン君は強いな!!どおだ、ユウキ君も私と1戦」
規格外だけじゃなくて、戦闘狂でもあるみたいだ。
「勘弁してください」
「ガッハッハッ!!気が向いたらいつでも言ってくれ相手になるぞ!!」
「はぁ······」
「うん!次は勝つね!!」
俺に反してフランは元気よく返事をした。
お前も同類か······
▼▼▼▼▼
ギルドの食事スペースで今は食事をしている。フランはさっきの戦いを見ていた冒険者に囲まれていた。
「お嬢ちゃん、強いね。ガルツさんが魔法を戦いで使っているの初めて見たよ」
「ふふん!」
どうやらあの地面に潜んでいたのは魔法の1種のようだ。
フランは褒められて得意そうに胸を張っていた。
「可愛いのに強いね」
「凄いな。俺達も負けてられないな」
「お嫁に来ない?」
おい、ちょっと待て。誰だ最後のフランはやらんぞ。
次々に運ばれて来る食事をフランは美味しそうに食べる、食べる、食べる······どんだけ食べるんだ。
フランに次々と料理を頼み与えながら、ギルドの面々はその様子を嬉しそうに眺めていた。
ある程度の時間になったのでフランを連れて帰る。
ギルドを出る時には外は暗くなっていた。寄り道せずに宿に直行する。
宿に帰り部屋に行く途中にノエルと会った。
「あっ、ユウキさん、フランちゃん。どうでした?」
「あぁ、Cランクに上がった」
「Cにですか?凄いですね」
まぁ、成り行きだけど。
「ノエルはこんな時間までどこ行っていたんだ?」
純粋に興味を持ったので聞いてみる。
「ちょっとポーション用の瓶を買いに行ってました。これから部屋でポーションを作るつもりです」
「それじゃあ、頑張って。おやすみ」
「はい。おやす────ちょっと、待って下さい」
急にノエルに止められる。
「フランちゃんはそっちの部屋で寝るんですか?」
部屋を2つ取った。俺達は俺達とノエルで別れると思っていたがどうやらノエルは男女で別れると考えていたようだ。
「ゆうきと一緒がいい」
「そうですか。ユウキさん······フランちゃんに手を出したらダメですからね?」
「出さないよ」
人をなんだと思ってんだ。
その日はそのまま眠りにつき終えたのだった。