12話 ランクCになったんだが
「ユウキさん!フランちゃん!大丈夫ですか!兵士を呼んできましたよ!!」
「「ん?」」
「え〜っと、何をしているんですか?」
「「食事」」
呑気に食事をしているのにノエルと兵士は言葉を失った。
それに対してフランとユウキは呑気に会話を続ける。
「おかわり!」
「もうノエルが帰って来たからおしまい」
「え〜」
「こんどもっと美味しくなるようにするから」
「うん、わかった」
未だに食べ物の話をするフランとユウキ。
「すみません。盗賊は?」
兵士の1人が聞くとフランが指を指してた。
「あっち」
フランが指を指した方を見ると盗賊達が縄でぐるぐる巻にされていた。
「じゃ、後はよろしく。ノエル、フラン行こう」
兵士に後は任せて帰ろうと馬車に乗り込んだ。
「明日、冒険者ギルドまで来てください」
「わかりました」
兵士立ちの言葉を返しつつ街を目指した。
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しばらくするとフィーゲル領についた。
軽くチェックを受けてから街の中に入る。
宿はノエルが取ってくれるそうなので暇になった。屋台でも見に行くか。
なにか美味しそうなものは無いかな?
ゆっくり屋台を見ていると肉まんのようなものが売っていた。名前はオークまんだ。
「オークの肉を使ったオークまん。お1つどうだい」
オークってアレだよな。よくファンタジーものに出てくる豚みたいな見た目の魔物だよな。美味いのかな?モノは試しだ。
「オークまん2つ」
「あいよ」
お金を支払いオークまんを受け取る。オークまんは中々の大きさでコンビニで売っている肉まんの2倍ぐらいの大きさがあった。1つをフランに渡しかぶりつく。
「「!!」」
オークの見た目から想像出来るように味は豚だった。しかし、今まで食べてきた肉まんよりオークまんは一味違った。噛む度にアツアツの肉汁が溢れ出し、味は普通の豚肉に比べて濃厚なものだった。程よい脂っぽさが食欲を駆り立てどんどんと食べ進む。気がつくとそこそこ大きいオークまんが無くなっていた。
オークってこんなに美味しんだ。
この後12個購入し、一つづつ食べた。
そのまま宿に戻り1日を終えた。
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次の日。
ギルドに行くと奥の部屋に通された。その部屋にはデカい筋肉マッチョのおっさんが座っていた。
「おっ!君達が鳶を壊滅させた冒険者か!」
筋肉おっさんは俺らに気がつくと立ち上がり近づいてくる。
目の前に来られると更にデカく感じる。威圧感が半端ないな。
「私はここのギルドのギルドマスターのガルツだ」
「俺はユウキ、ランクはEだ。こっちはフラン、ランクはD」
「フランだよ!」
「ガッハッハッよろしくな!ユウキ君にフラン君!」
体だけではなくこの人は声もでかいようだ。
「さて今回、君達が捕まえた盗賊団、鳶は指名手配中の盗賊団でな懸賞金がかけられていたんだ。それで、まず200万ゴールドだ」
「まず?」
「あぁ、それからギルドとしてクエストとして出ていたこれで50万ゴールドだ。まぁ、元々多人数ででのクエストを過程してだから結構多めなんだ。コレで合わせて250万ゴールドだ」
「はぁ······」
大金なんだろうが大金な気がしない。金銭感覚が狂ってきた。
お金を[宝物倉庫]に放り込む。所持金が9000万ぐらいになった。
もう少しで1億じゃん。
「それと君達のランクをCに上げようと思う」
「いきなりランクCですか?」
「ランクCまではギルドマスターが与えれるんだ。まっ、それだけの事をしたっていうことだ」
あの盗賊団がそこまでとは思えなかったが。
「それにしても盗賊団が君達のような子供にやられるなんてな。それに全員生きているって話だ、相当実力差がないとできない芸当だ。君達レベルはいくつなんだ?」
「俺はレベル1だけど」
「レベル1?······ガッハッハッ!!それは面白い冗談だな!」
「いや、本当なんだけど」
「······嘘だろ?」
「いや、ガチで」
「ちょっと待ってくれ。────おい、鑑定玉持って来てくれ」
ガルツさんは席を立ち上がり扉を開き外に声をかける。しばらくすると受付嬢らしき1人が冒険者ギルド登録時に使用をした水晶を持ってきた。
鑑定玉って名前だったんだ。あれ?名前通りならレベル以外にも色々鑑定出来るんでじゃね?
『解。基本ギルドに置いてある鑑定玉はレベル1の劣化品ばかりなのでレベルぐらいしか分かりません。』
ならいいか────いや、よくない。完全な鑑定玉だったらどれぐらい分かるの?
『解。全てです。』
全てって?
『解。本名やレベル、年齢は勿論、種族に能力や称号まで見ることが出来ます。ただし、この世界に1つしかありません。』
なら安心だな。フランの種族がバレることは無いし。
「······本当にレベル1かよ。よくそれで鳶の連中を倒せたな」
「まぁ、運が良かったんでしょう」
「いや、運だけではどうこう出来るとは思えないな······何か特別な能力を持っているんじゃないのか?」
「────そんなの有るわけないじゃないですか」
あっぶねぇ。思わず顔に出るとこだった。
『能力[無表情]を獲得しました。』
なんか獲得した。
「それじゃあ、そフラン君のレベルは?」
「49だよ!」
ガルツさんの質問にフランが元気よく答えた。
「······嘘だよな?」
ガルツさんは俺に同意を求めてきたが残念ながら事実だ。
「本当だ。フラン、手をかざしてみて」
「うん」
フランが鑑定玉に手をかざす。
「······本当のようだな」
それだけ呟いてガルツさんは固まってしまった。
俺達ってそんなに異常か?
『解。異常です。』
アンタには聞いてないよ。
「······フラン君」
「なぁに?」
「私と手合わせしくれないか?」
「いいよ?」
「えっ?」
こうしてフランとガルツさんの模擬戦が決定したのだった。