7:奴隷購入
冒険者ギルドから出て道を横断する中、後ろから此方を見てる5人、青から赤に変色したな。
敵対意識持ちか、これまでで敵対したのはガランのみ、奴の知り合いだろうな、相手の出方次第で遣る事になるな、しかし、奴隷購入直後から巻き込むのもなぁ、購入前にケリをつけるか。
空間把握で人の少ない地域へ誘導する事にした、この辺りには裏通りの様な場所が無い、町の南側まで連れて行く方が無難か。
宿屋の前を通りしばらく南下、そこから脇道へと入り人気の全くない場所へ入る。
そろそろか、きちんと5人付いて来ているな、上空4m地点で発動直前で待機【エアアロー】×50。
「そろそろ出て来たらどうだ? せっかく人のいない場所に誘導したんだからな」
「ま、あれだけ長距離をつければばれるか、分かって居て裏通りに入り込むとは命が要らんらしいな」
「ストーカーを連れたまま生活する気なぞ無いからな、ここいらで死んでもらおうかなと」
頭を狙い一人に対して10発ずつ発射!
「お前こそしぎゃぁあああ!」
「おし、一丁上がり、会話が途切れるまで待つ訳ないだろうに、馬鹿だねぇ」
遺体を含めて全て収納する事で証拠隠滅、後は資産を剥ぎ取って何処かで火葬でもするかね、今はそんな事より奴隷を買いに行くかな、良い人が居れば良いんだが。
来た道を引き返し20分程度で目的地に辿りつき入り口をくぐる。
「いらっしゃいませ、奴隷の購入をご希望ですか?」
「そうだ、店主のカエラ殿はご在宅かな? 冒険者ギルド職員のキャロルさんから紹介して頂いたのだが」
「それでは此方へお越しください」
応接室に案内されたようだ、中央部にテーブルが設置され両側に3人が座れる程度のソファーが置いてある
「此方にお掛けお待ち下さい、ただいまカエラを呼んでまいります」
ソファーに座るとお茶と茶菓子が用意され、お茶を飲みながら考える、不当な扱いは受けていないようだな、入ったエントランスも奇麗で不快な匂いもないし、と、数分後、店主らしき女性が先ほどの案内してくれた店の者を伴い入って来た。
「ようこそいらっしゃいました、店主をしておりますカエラです、お見知りおきのほどを」
「怪盗=マグロです、冒険者ギルド職員のキャロルさんからの紹介で参りました」
「冒険者の方でしたか、今回はPTメンバーを探して、と理解して宜しいですか?」
「ええ、昨日此方に来たばかりでして、現在活動中の冒険者の方の中から探す為の情報は持ち合わせていない為、リスクを考えると奴隷をと判断しました」
「それならば奴隷は最適で御座いますね、ちなみに奴隷の知識はございますか?」
聞くのは一時の恥、聞かずに適当に誤魔化すのは悪手だな、素直に聞こう。
「これまで奴隷と関わる事が無かったもので、わかりません」
「それでは説明致しますね、平均的な相場ですと、男性は金貨20枚~40枚ほど、女性ですと金貨50枚から70枚ほど、種族、年齢、容姿、LV、スキル、女性ですとこれらに加え処女であるかですね。
荒事に向いた女性は少ない為に高い傾向に有ります。
むろん、平均的な値段であって容姿端麗な女性はもっと高い事があります」
「容姿端麗な女性は男として憧れですからね、高いのも頷けます」
「どの様な条件の者をお探しですか?」
無茶な注文してみるか? ダメもとだしな、居なければ居ないで他の場所で探すって手もあるしな。
「種族は不問で、いや、犬族だけは外してくれませんか、犬が嫌いなもので。
年齢は俺が16歳である事と、冒険者登録する事を考えて下は15歳から上は20歳ほどまで、Lvは不問、戦闘スタイルは見ての通り今はソロである為、得意な攻撃方法が近距離遠距離どちらでも構いませんが、俺は戦闘経験が余りないので近距離だと巻き込みそうですから遠距離を重視で。
女性で容姿端麗、胸が大きく形のいい人が良いな、要求しておいてなんだけど、こんな無茶な要求でも問題ないのかな? 金銭的な糸目は付けないのでよろしくお願いします」
「・・・それならとっておきの者がいますが、年齢のみ条件から外れ87歳です、ハイエルフと長寿な種族の為、不問でも良いかと思います。
オークションへ出品させる事が決まっていましたが、予想金額でのご提供になります、特別にご紹介いたしますから、割引など一切行わない、この条件を飲んで頂けるのなら紹介いたします、どういたしますか?」
ハイエルフか、エルフの上位種だったはず、なぜ奴隷に、との疑問もあるが、魔法を使う素質としては最高だろうな、ぜひお目に掛かりたいな。
その前に質問を。
「長寿とはどの程度の寿命なのですか?」
「平均寿命は約1000歳と言われています、二十歳程度から容姿が老けずに900歳頃までその容姿だと言われています」
容姿端麗なまま900年以上生きられるって凄いな、俺が死ぬまで姿が老けないのも魅力だな、いや、そもそも竜人族って平均寿命は何歳なんだろうな? まあいいか。
「なるほど、人族から見ると10代後半辺りですかね? それなら不問で良いですね、是非お願いします」
「例の子を連れてきて頂戴」
「はい、少々お待ち下さい」
しばらく待つこと10分程度、一人の女性を伴って入室し頭を下げ挨拶した。
「セレスティーナと申します、よろしくお願いします」
顔はロシア人風か、髪は金髪で腰ほどまでの長さがある、目の色はブルーの物凄い美女だな、肌は雪の様に白く体型はスラリとして体型に似つかわしくない程の巨乳である、正面から見てこのサイズなら横から見たら凄そうだ。
足が長いなぁ、日本人からすると中々お目にかかれない体型である、好みで言えばドストライクだな。
「マグロです、此方こそよろしくお願いします」
「彼女はセレスティーナ、武器は弓を、魔法は水魔法と風魔法を得意としています、ご提示金額は金貨720枚です、如何でしょう?」
鑑定したいがどんな影響を与えるのか不明だからな、今回はするべきじゃないか、質問のみにしておこうか。
「3つ質問が有ります、宜しいですか?」
「何なりとどうぞ」
「冒険者として身を立てる事になる、むろんPT員として戦闘もしてもらう、この点は大丈夫か?」
「ご主人さまになって頂けるのならお傍でお支えします」
「夜は貴方を抱く事もある、それでも構わないか?」
「夜のご奉仕もお任せください」
「それでは最後に、どうして奴隷に?」
「それは私から説明致します、彼女は元冒険者ですが、同じ所属していたPT員に裏切られ、野営の際に悪質な奴隷商人に売られたのです。
捕まえる為に野営をした、とも言えますね。
それで正規ルートの奴隷商に流れる様に何人もの人の手を介して私どもの元へ来た訳です」
悲劇の一言に尽きるな、だが軽々しく言える言葉じゃないな。
俺だったら復讐対象だな、折を見て聞いてから手伝うのもありだろ。
「なるほど、なんと言えばいいのか分かりませんが、彼女は奴隷になったが、何一つ非は無い事が分かりました、彼女を購入したく思います」
「商談成立ですね、他にも見て行かれますか?」
「PTとして二人では心もとない、頼んでよろしいですか?」
3人候補の方を紹介してもらったが、セレスティーナを見た後では見劣りし買う事は無かった。
「金貨720枚になります、登録費用は此方で負担いたします」
白金貨1枚を取り出して渡す。
「金額を気にせずご購入頂いた理由がわかりました、今後もPT員拡充の為にご購入の検討を?」
「ええ、最大10人ほどのPTを考えています、良き人材がいれば買う予定です」
「それでは先ほどお話ししたオークション、一週間後に帝都の商業ギルド本部で開催されます、そちらへご参加されますなら紹介状を準備させて頂きますが如何でしょう?」
飛び級の試験が4日以内、距離次第では間に合わないが参加はしてみたいな、短期間で人材を探すとなったら手間が非常に掛かる、その点を排除できるのは好都合なのだが、移動方法を聞くべきだな。
「それは良い情報を頂きました、ぜひ紹介して頂きたい、ですが、その地へ行くのにどの程度時間が必要ですか? 実は4日以内に冒険者ギルドで飛び級試験を受ける予定でして、間に合うのか心配なのですが」
「それでは馬車の移動では間に合いませんね、此方は一人銀貨50枚と割安ですが、3日ほど掛かります。
間に合うように行くとすればテレポーターを利用するしかありませんが、この地から帝都まで金貨5枚必要です、こちらを利用すれば1時間程度で帝都まで行けるでしょう」
「それならば間に合いますね、資金には余裕があるのでご紹介いただけますか?」
「紹介状を準備致しますのでその間に登録をしましょう、此方に血を一滴頂けますか、それと注意点ですが、手荷物1つ程度であれば大丈夫ですが、複数の荷物を抱えてのテレポーターは利用できません」
情報に対する礼を伝え、準備されたナイフで指先に傷を作り血を託した。
ついでだ、傷の無い奇麗な状態を思い浮かべて【ヒール】を発動し治療した。
血を触媒の一部に使用し登録する様だ、セレスティーナの首元に塗り契約魔法が発動する。
「これで契約が完了しました、注意点ですが奴隷には首輪をお填め下さい、填めていませんと逃亡奴隷として捕まる恐れがあります、素材は何でも構いません、無論今填めてる首輪のままでも問題ありません。
命令ですが命に関わる命令は出来ません、奴隷に対し無体な対応は出来ない様に法律で守られています、主人が衣食住を与える事が義務付けされています」
ん? あんな犬の首輪同然なのを着けっぱなしって事か? 気に入らないな、奴隷といえども俺の手元に居る者に無粋な首輪は不要だ。
それに俺は犬が大嫌いだしな、あの吠える声を聴くと威嚇されてる気分になるんだよな、聞くたびにストレスが溜まる。
「と言う事は、セレスティーナの首輪は奴隷から解放されないと外す事が出来ない、と言う事ですか?」
「左様です、奴隷であるかぎり義務と言えます」
「それはダメだな、犬の首輪同然の品をセレスティーナにはめさせるわけにはいかない、奴隷から解放する。
それに、彼女には奴隷となる理由が無い、非が無いんだからな」
「マグロさん、本当によろしいのですか、もし開放すれば逃げられる可能性がありますが」
「逃げられたらそれはその時さ、俺に魅力が無いって事で諦める、それに、彼女に首輪は似合わない、するならネックレスじゃないとな! 契約までして頂いたのにすまないが解放をお願いする」
「マグロ様・・・・」
「決意は固いようですね、マグロさんのご要望の通りに解放致します、セテスティーナ、幸せになるのよ、マグロさんを手放しちゃだめよ、こんな男気溢れる人、なかなか居ないわ、元気でね」
改めて奴隷契約を破棄し、セレスティーナは解放された。
「はい、カエラ様、お世話になりました」
「セレスティーナ、俺は怪盗=マグロだ、マグロと呼んでくれ、今後よろしくな」
「セレスティーナです、マグロ様、セレスとお呼び下さい、よろしくお願いします」
「様は必要ない、ただのマグロで良いよ、奴隷からは解放されたんだ、今から俺と同じ立場で俺の同僚でもある、敬称は不要だよ」
「解放して頂いた恩人に対して敬称抜きでは話せません、どうかご容赦を」
「わかった、好きな様に呼んでくれれば良いよ、これからよろしく、セレス」
話してると紹介状と残金の金貨280枚が運ばれてきた。
「では、紹介状と金貨280枚に帝都の地図になります。
オークションですが奴隷のみではありません、武器や防具、魔法道具や貴重なポーションなども出品され二日間に渡り開催されます、そちらもぜひご参加下さい」
「それは良いですね、一気に装備品の拡充が出来そうです、それでは失礼します」
「失礼いたします、またのご来店をお待ちしております」
横に立つとセレスティーナも中々に背が高い、170cmほどか、予想の通り横から見る胸の大きさは圧巻の一言に尽きる、早速登録に向かうか、目の前だしな。
「セレス、すまないが挨拶は後程だ、詳しい説明は後でするからまずは登録を済ませよう」
「わかりました、マグロ様」
セレスは積極的に腕を絡めて来る、胸の感触が圧巻だ、1分も掛からない距離を歩き、真向かいの冒険者ギルドに入ると昼が近い時間だからか冒険者が居ない、こんな美女を連れてるし居ない方が好都合とも言えるが、早速キャロルに話しかける。
「キャロルさん、彼女を登録をお願いできるかな」
「マグロさん、お隣の方はもしかして」
「説明は不要だろ? 考えてる事で間違いない、彼女はセレスティーナ、今後共にする」
「セレスティーナです、先ほどマグロ様に解放して頂きました、よろしくお願いします」
「解放? マグロさん、解放したの?」
「当然だろ、彼女に犬の首輪なぞ不要だ」
「マグロさんは、敵味方への対応が本当に両極端なのね、それでは登録とPTを組みましょう」
残金:白金貨47金貨2330枚、銀貨67枚