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27:仇

 1泊2日の修行も終わり、ライネルの宿屋に戻った、ゲルは地面ごと30cm切り取り収納、猫達は夕食を食べさせ結晶化。

 ライネルへ戻る前に爪が切れるか試したが、切れなかった、刃こぼれまではしなかったけどね、短くなった左手の人差し指の爪に魔力を流して強化し、右手の爪5本も確保しておいた。

 俺達は新たに覚えた【ゲート】で西門前に転移したのだった。


 宿でクララを膝の上に乗せて抱きしめながら会話中だ。


「マグロ様は転移魔法を覚えられたのですね」


「とりあえず2種見つけてな、片方は町の間に設置してあるテレポーターだったからそちらはお蔵入り、帰りに使った【ゲート】はほぼ詠唱のみだから楽なもんだったよ。

 所で、クララの適性は聞いたけど、他に適性が増えたって人は居る?」


「ティアさんが雷で私が時空間魔法です」


「ほう、ティアには帝都で買った雷魔法の書を渡すよ、それか無詠唱と同時に覚えるか?」


「何方が難易度が高いにゃ?」


「確実に後者だろうな、魔力操作はティアも覚えたから体外に持って行くのは出来るだろう、そこから想像した形と属性に変化させる訳だが、属性変化が問題だな。

 一度詠唱の方を覚えてから実際に発動させた後取り組むのが良いかもしれない。

 それよりティアは治療のプロだろ、そちらで無詠唱を覚える方が難易度低いと思うぞ、そこらの魔物をとっ捕まえて練習するのが一番だろうな。

 そこから雷魔法の無詠唱に取り組むのはどうだ?」


「ならそうするにゃ」


「シェルの方だけど時空間魔法書を渡すよ、俺は感覚で使ってるから教えるのは不向きだ、覚える事が出来たらクララに教えてくれないか?」


「クララさんが本を読むよりその方が良いでしょうね、その様にします」


 一晩経ち翌朝鍛冶屋に行くと問題が発生していた。


「ロンバルトさんお早うございます、いらっしゃいますか?」


「マグロかお早う、俺に敬称は不要だ、実はだな、言い難いのだがあの爪を粉砕する事が出来なくて製作が進んでないんだよ」


「なるほど、ミスリル製の長剣が役に立たずにポッキリ逝きましたからね、強度的にかなり堅かったのでしょう、粉末化しますから爪と何か樽でも用意してもらえませんか?」


「あれを粉砕できるのか! いや、そう言えばマグロの爪だったな、それなら可能か、しかしエンシェントドラゴンの爪ならば以前に依頼を受けた際には可能だったが、何か違ったのかねぇ、何か心当たりはないか?」


「それはそうにゃ、マグロはりゅ」


 この際にマグロがティアの口を塞いだ。

 これは魔道具店の方も砕けずに製作が進んでないかもしれないな、この後行ってみるか。


「はは、何でもありませんよ、お気になさらず・・・」


「なるほどな、何でもあります、お聞かせできませんって事だろ、十分承知してるから話さずとも大丈夫だ、容器も含めて持って来る」


 とりあえず1本分を粉砕して容器に詰めて渡した。

 それとは別にオリハルコン1kgとアダマンタイト1kgを取り出して渡した。


「こ、これはアダマンタイト! どうやって調達した!!!!」


「それは企業秘密ですよ、冒険者が情報を簡単に渡す訳無いじゃないですか」


「それはそうだな、すまなかった」


「それは良いよ、何せ知識が無いから聞きたい事があったんですよ、近接用に加工するならどちらが最適です?」


「硬さも切れ味もアダマンタイトなんだが問題があってな、火力が足りず傷一つ付けることが出来ん」


「それは何とも・・・・それじゃその解決策は?」


「唯一の解決策は火力上げるのに通常の燃料に火竜種の骨を混ぜる事だな」


 なるほどな、骨も一緒に燃やせば火力が上がるのか。


「マグロ様、マグロ様かアンジェさんの火の魔法ならば火力を補えませんか?」


「確かに火力の面だと解決するとは思うけど、弟子でもない客を鍛冶場に、それも手伝わせるはずがないだろ、それはダメだ、そうだろロンバルト」


「技術面があるからマグロの言う通りそれを知られるわけにはいかんな、しかし手があるかも知れないぞ、この地の南方に火山地帯があるが、そこには火竜が住んでいる、しかしそこはユリウス陛下が管理されていてな、もしかすると骨を持っておられるかしれないぞ」


 警戒してる相手に借りを作るのもなぁ、無理に作る必要もない事だし護身用程度の品をオリハルコンで作って貰うかな。


「それじゃ狩る事も無理か、それに分けて下さいって下手に国王へ借りを作ると後が怖いからな、当分据え置きって事で止めておくか、もう一方のオリハルコンの品なら加工可能だろう?」


「何分手に入らない素材だからな、俺じゃなければ加工できない所だな」


「それは頼もしい言葉だな、俺は槍があるから不要だが、皆は護身用に必要無いか?」


「マグロに貰った両手大剣があるにゃ、アダマンタイト以外なら不要にゃ」


 皆不要だった、弓は他の材料調達が出来たので1週間程度との事、鍛冶屋を後にし魔道具店へ向かい進行状況を聞くと此方も粉砕不可能、改めて粉砕して渡しておいた、こちらは改めて18日との事だった。

 そして現在は魔道具店の前。


「さてと何をするかね? 訓練ばかりだと息が詰まるだろ、挨拶がてら、アンジェの実家にでも行くかね?」


「それは良いですわね! ぜひそうしましょう」


「それで、ストレイルとか言ってたな、それって何処?」


「良い機会ですわね、この世界には大陸が大まかに3つあるのですが、この大陸の国は8つありますの、先日まで居ました帝国が南方中央部、その西にエリュード王国、帝国の東部に商国ストレイル、その中間のライネル王国、帝国の北方に軍事国家カラドラス、ストレイルの北方であり帝国とカラドラスと接する聖王国グランド、更にそれらに接するこの大陸北東端のルサラルド共和国、エリュード王国とカラドラスに接する北西端のアラニス王国ですわね」


 これは、解りずらい、もっと簡単にならないのか?


「もっと簡単にならんの? 分かり難いんだけど」


「マグロちゃんはとりあえず帝国周辺を覚えておけばその内覚えますわよ、私の実家はストレイルの北東部の海岸沿いでナノタルですわね、ついでに教えておきましょうか。

 ライネルから東へ向かうとセクタル、セクタルから北東方向にマハタル、マハタルの東南東にナノタル、セクタルから南東にカスタル、カスタルの南東にリスタルですわね」


「町が5つしか無いのか?」


「そうではありませんわ、この5つの都市が主要な都市で、規模が劣りますが小さな町や村落が点在してますわね」


「なるほどな、それじゃセレスにティアにシェルは実家って何処なんだ?」


「マグロ様、ハイエルフは他の種族から隠れ住んでおり案内する事は叶いません」


「ティアは実家に帰るつもりは無いにゃ、ティアの給金を奪ってた上に借金作ってティアを売った連中にゃ、顔も見たくないにゃ」


「なるほど、と言う事はシェルも同じく帰れないか、それは仕方が無いとして、どうやって向かう?」


「マグロ様が龍化して、と言うのは避けるべきですね、過分に警戒されると思います」


「それなら速度を落として猫にでも乗って行くか、冒険者ギルドにでも行って護衛依頼を探して護衛しつつ向かうかだな」


「マグロちゃん、冒険者として生計を立てるのなら護衛依頼も受けておくべきですわよ、何事も経験です、時間は掛かりますが急ぐ必要もありませんわよ」


「セレス達もそれで良いなら俺は構わないけど、俺には経験が圧倒的に足りないからな、見繕うのは任せても良いか?」


「それなら好都合ですわね、注意点も含めてレクチャーしますわよ、都合良く依頼があれば良いですわね」


「それもだけど、手ぶらと言う訳にはいかないだろ、せっかくライネルに居るから何か見繕って行こうか」


「それでしたら護身用の武器と服が良いですわね」


「それなら皆の服も一緒に買おう、俺も長期間離れるならある程度買って置きたいからな」


 冒険者ギルドに着くと都合良くBランク用の護衛依頼が残っていた、箱馬車2台、荷馬車3台の合計5台が対象、すでに1PT5名が決まってるらしく残るは5名、此方は6名の為に1人オーバーしてしまう、そこで受付嬢と交渉してみた。


「私はPT名【真摯の断罪者】の一員でアンジェリカですわ、此方の護衛依頼を受けたいのですが条件などをお聞きしてもよろしいかしら?」


「身分証を拝見いたします・・・・Sランクのアンジェリナ様、申し訳ありません、10名募集されている内5名が決定しています、見た所6名、1名オーバーしてしまいます、先方へ問い合わせるお時間を頂けないでしょうか?」


「それは当然ですわね、此方は5名分の報酬で問題ありませんわ」


「出発は明日朝ですので本日夕刻に此方へお出で頂けないでしょうか? それまでに先方へ問い合わせ、お返事したく思いますが如何でしょう」


「ではその様に、夕刻以降にお伺いします」


 早めの昼食を済ませて鍛冶屋に戻りダマスカス製のロングソード1本とショートソード1本、ダガー2本を買い服屋に直行、俺は着せ替え人形扱いされて10着ほど購入、同数分の下着類もだ、そして冒険者ギルドへと入って行った。


「PT名【真摯の断罪者】のアンジェリカですわ、護衛の件はどうなったかしら?」


「6名分の依頼料をお支払いしますので是非にとお返事を頂きました、集合時間と場所は明朝食後1時間程度、東門前にてと伺っております、アンジェリカ様以外の方々の身分証をご提示頂けますか?」


 冒険者カードを提示し他の者もBランクと問題無く受ける事が出来た、こうして宿に戻り明日以降はキャンセルし皆で大部屋に入る。


「受けた訳だが、注意点って何があるんだ?」


「今回の発注者はストレイルの1都市、セクタル領主の子飼いの商人で信用面では問題無いわね、同時に受けたBランクPTもすんなり受けられてる事から注意すべき点は人柄とかかしら、罠に嵌められる心配はつき纏いますがそこまで調べるのは不可能ですわね」


「それならそれで好都合にゃ、一気に潰してやるにゃ」


「結構な数の犯罪者がこのライネルにも居るからな、明日朝合流すればすぐに分るさ」


「時空間魔法で感知されてるのですわよね?」


「そうだな、熟練度も上がってるからこの都市程度なら隅々まで把握してるし、敵対してる様な輩は一般人とは別に色分けされてるから間違えようが無いからな」


「それは便利ですわね、いずれシェルちゃんもクララちゃんも覚える訳ですわね」


「そこは着実に1歩ずつ進めば良いさ、寿命も有ってない様なものだし、焦る必要なんて無いからな、それに師匠ならこのPTには溢れてるからな」


「ティアも頑張るにゃ!」


「こっちに転生して来てやっと1つ目の仕事が受けれたな、後は単に倒しただけだし」


「確かに異常ですね、Bランクに上がる為には結構な依頼を受けるものですが」


「討伐証明でポイントを稼げるからな、試験が無ければとっくにAランクになってると思うぞ」


「マグロ様、明日も日の出に起きなければ間に合いません、早めに休みませんと」


 それもそうだなと、今日は全く相手にしたことが無かったクララが相手だ、裸でのお付き合いはあるぞ? そっちがないだけで。

 そして翌朝、身支度や朝食も済ませて東門へ向かった、馬車5台も準備され出発するばかりとなっていた。


(冒険者PTだと思うが敵対意思持ちが4人紛れてる注意しておけ、一番背が小さいのだけが対象外だ)

(今回の護衛の際に事を起こすでしょうか? いや、彼は・・・)

(どうしたんだ? 知り合いでも居たか?)

(私を罠に嵌めて売り飛ばした6名の内の一人です)

(アンジェ、この場で取り押さえて突き出すか? それとも出発して途中で処理するか?)

(突き出す方が良いでしょう、しかし出発に支障がきたしますわね)

(それじゃ途中で処理しよう、この程度の規模なら俺1人ででも守れるからな、皆が居るんだ過剰戦力だろ、セレス、1泊目の野営地まで無視しておけ、そこで処理する)

(マグロ様の仰せのままに、一人で別行動をしてるとなると、解散かもしくは全滅したのか)

(聞き出せば良いさ、あの程度は如何とでもなる)


 こうして商人と見られる者に声を掛けた。


「遅れて申し訳ありませんわ、私はPT名【真摯の断罪者】の一員でアンジェリカと申します、6名分の報酬を頂けるとお伺いしました」


「おお、貴女がアンジェリカ殿ですか、貴女の様なSランクの方がいらっしゃれば心強い、申し遅れました私セクタル領主に仕えますブライアンと申します」


「俺はマグロ、【真摯の断罪者】のリーダーを務めてる、ブライアン殿、よろしくお願いする、そして同じPT員のこっちがセレスティーナ、同じくシェルアス、猫族のティルア、人族のクララだ」


 皆が挨拶を交わし、先に受けた冒険者とも挨拶を交わす。


「此方が受けて頂い間もう一つのPTで【清らかなる宴】の方々です」


 犯罪者PTが付ける名前かよ! どす黒い宴とでも付ければ良いのもを、男ばかりの5人PT、暑苦しいなぁ。


『俺はアドニスだこのPTのリーダーを務めている、別嬪さんばかりだな、俺達にも回してくれよ』


『そうだな、羨ましい限りだ』


『セレスティーナなのか?・・・・』


「確かにセレスだが、知り合いか? 帝国で俺が購入して奴隷から解放したんだがな、知り合いって事はセレスが罠に嵌められる時も含めてそれ以前の顔見知りか?」


「良いではありませんかマグロちゃん、出発しておいおい話せば良いですわよ」


「それもそうだな、こんな事で出発時間が遅れてはブライアン殿に申し訳ない、それで我らはどの位置をお守りすればよろしいかな?」


「そうですな、清らかなる宴の方々には前方を、真摯の断罪者の方々には後方と左右をお任せしても?」


「了解した、左右は俺の召喚獣で守るから一番把握しやすい後ろに控えるよ」


 ワイルドキャット自体化、ワンダーキャット実体化と全て実体化させ、ワンダーキャットにはそれぞれ左右に陣度らせる、クララはシェルと一緒に乗り、俺はシラタマに乗り前にセレスを乗せて抱き寄せていた。


「キャット種でしょうか、召喚術師でしたか、それならばお一人でも護衛が可能ですな」


「ええ、帝国で仲魔に引き入れたんですよ、馬は臆病なので乗用としても優秀ですよ」


「確かにそうですな、しかしながら馬車用とはなりませんからな、軍事国家カラドラスはご存知でしょうが、かの地のダンジョンに魔馬と呼ばれる種がおりましてな、そのスレイプニールを捕獲されれば乗用にも馬車用にも最適ですぞ」


 確か8本ほど足のある馬の種としては最速の魔物だったか?


「へぇ、その様な魔物が居るんですね、それは良い事を教えて頂いた、将来捕まえに行きますよ」


「ですがご注意を、かの国では軍事転用されておりましてな、例えSクラスと言えども簡単には手に入らないようです」


「なるほど、現地に行き調査すれば手に入れる方法も分かるでしょう。

 此方は出発の準備は整っています、早速向かいましょう」


「そうですな、これほど頼もしい方がいらっしゃれば道中の安全は確保されたも同然、早速向かいましょう」



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