24:あっさり終わる修行
翌朝、身支度を整え食事を済ませてそのまま雑談しながら待つ事に。
「お早うございます、お待たせしましたわ、母は先に訓練場へ行きお待ちしてます、外壁を跨ぎ北にありますわ、その為の専用通路がありますのでご案内いたしますわ」
こうしてゾロゾロと先導されてついて行き、城の右手より壁を越えて向かうと騎士と思われるもの達が修行している広場に案内された。
ドラゴンだよドラゴン、居るわ居るわ30体ほど騎士達が乗り隊列を組んで突撃訓練をしている、その一角へ案内されるとシャルにとても良く似た女性が待っていた。
「貴方がマグロさんね、今回龍語魔法お教えします、シャルの母親でファサラ=ヴァンティユと申します」
「お早うございます、怪盗=マグロと言います、急なご依頼にも拘らずお引き受けくださり感謝しております、よろしくお願いします」
「先ずはお聞きせねばならない点があります、ある程度の魔法を使える実力が無けれ龍語魔法の使用は出来ないでしょう、その為、そちらを鍛える必要があります」
「なるほど、ご存知かと思いますが此方の世界に来て日も浅い為、近接戦闘では無く魔法による戦闘に特化していますので大丈夫かと思いますが、どのスキルが必要なのかお教えして頂いても?」
「必須項目としては魔力操作、所有していればなお良いのが魔力探知のスキルです」
「それでしたら魔力操作が5で魔力探知も5ですね、魔力探知は兎も角、魔力操作をもっと鍛える必要がありますか?」
「いえいえ、それほどの熟練度であれば短時間で習得される事でしょう、龍語魔法を取得するする手順としては、本来でしたら属性と同列の魔法を鍛える事で若干ではありますが龍語魔法を鍛えることが出来ますが、マグロさんの場合は確実にシルバードラゴンと断定はできません。
ですからこの修行法が使えませんし、元々無属性と言うカテゴリの魔法が存在しませんので鍛えようもありません。
ですのでぶっつけ本番となりますが、龍化と人化を覚えて頂く事になります」
「なるほど、一応ですが龍語魔法も取得していますし、何とかなるでしょう」
「それではまず、口頭で説明させて頂き、その後で実際に龍化と人化の実演を致します、その際は魔力探知でどの様に魔力を操作するのか隅々まで認識して頂きます、宜しいでしょうか?」
「ええ、よろしくお願いします」
「龍化ですが、全魔力の30%を全身にくまなく均等に流します、その際には翼に流してはいけません、残り7割ですが体面に出ない様にし溜めておきます、それが完了した後その30%の魔力を翼に集め全体に均等に流します、ここは時間勝負ですので、失敗した場合は変化しません」
「あの、質問宜しいでしょうか?」
「どうぞ、良いですよ」
「その魔力が多かったり少なかったりした場合はどうなるのでしょうか? 全魔力量に対して30%残っていない場合には龍化出来ないのでしょうか?」
「次点で説明しようと思いましたが丁度良いですね。
30%より多かった場合には龍化せず変化しませんが、少ない場合は別です、ただし、その限度があります、最少単位で21%が限界です、20%で竜化した場合は最悪の結果としては死ぬ場合もありますのでご注意を。
そして、減らすメリットですが、龍化した際のサイズが変わってきます、この場合は小さくなります、減少した%の分だけ1割単位で小さくなると考えて下さい。
それと更に注意点ですが、熟練度1に対して1%までに限定してください、体に負担が掛かり過ぎて死にはしませんがそれに準ずる痛みを伴います。
それと後の質問ですが、これも熟練度次第と言う話に関わってきます、熟練度の分だけ数%減っていても龍化が可能です、龍化を覚えたての方は最大サイズにしか龍化出来ないと言えますね」
「なるほど、注意しないと龍化したまま対応できずに襲われそうですね」
「そうなります、では人化の説明です、此方は先ほどの逆になりまして翼に30%を、その後にその魔力を体へと言う流れです、此方は1%でもズレた場合には変化しません。
この30%は龍化の際に最大サイズでも小さくなっていても変わりません、ですから龍の状態で30%未満まで魔力を使用されていた場合には回復されるまでそのままと言う事になります。
それで今回最大とも言える注意点ですが、龍化は数%程度のズレならば龍化可能ですが、人化は30%固定の為に成功されるまで龍のままです、その点をお考えの上で実際にされるのがよろしいでしょう」
「確かにそれは不便ですね、追加でもう2つ宜しいですか?」
「答えられる範囲なら何なりと」
「俺の属性が無属性だと仮定しますが、シャルさんの様に火が属性だとすると火魔法が龍語魔法と相まって威力が上がるとか、俺の場合は無属性が無い事から龍語魔法依存の威力と言う事になるのでしょうか?」
「確かにわずかながら威力の上昇は見込めますね、ですがINTの方が威力面では上昇幅が大きいので気にするほどの減少幅では無いでしょう」
「ではもう一つ、この人化した状態で飛べないのですか?」
「飛べますが風魔法の【フライ】と比べて制御が難しいのです、特に横方向と後方ですね、【フライ】を使用可能であればそちらを鍛える事をお勧めします。
基本的に龍は前進と旋回で進みますのでどうしても不得手な部分が発生します。
良ければ実際の訓練に移りますが宜しいでしょうか?」
「はい、よろしくお願いします」
実際に龍化と人化をしてもらう。
魔力操作が淀みなく奇麗に一定方向へと巡回されている、それも薄かったり濃かったりしてる場所が無い、そこから翼へ流す訳だが二分割され同量を同時に流し込み巡回も同時並行で行い龍化が完成する。
「デカイ、買ったドラゴンの倍ほどあるな」
全長で100mほど、体格もストームドラゴンの胴体の様にひょろ長くない、角も若干後方よりの角度で2本ありかなりのサイズ、爪は人化した時よりかなり長く鋭い、正直相対したくないな、迫力が違いすぎる。
「真っ赤でいかにも熱そうですね」
此方を見て来て首を捻る動作をして来たので人化して良いか尋ねているのだろう、人化してほしいと伝えると無事人化も完了した。
「以上ですが、直ぐに試されますか?」
「試しましょう、魔力の流れを調整するのに少し時間を頂きますが、何とかなるでしょう」
50%と50%に分けて体と翼の両方で均等になる様に巡回させ、納得がいくできになったらそれを両方30%に落とし残りは体表ぎりぎりへ、そして翼の部分から全て抜き出し体表ぎりぎりへ、そこから体部分から一気に翼へと流し込むと龍化が完了する。
何故かファサラが震えだして陛下のとの謁見の際の姿勢をとる、その間嫁達は綺麗だの大きいだの言っていたがファサラの行動が気になるらしくそちらを見ている。
「龍王様、ご無礼な態度で接した私をお許しください!」
何の事かさっぱりだがファサラさんには分かってるらしい、例の種族欄が龍王になっていた件と合致した瞬間だった。
俺は頭を横に振り気にしてない事を伝える、声を出しても伝わらないからな、グルルだのグルァだの発しても分からないからな。
「ファサラさん、気にしてないそうですよ、首を横に振っておられます」
その言葉を聞いた俺は首を縦に振る。
俺は左手の人差し指を突き出して右手の指で爪を切る様にジェスチャーをしてアイテム欄から帝国の城で投げつけられたミスリル製の剣をぽろっと落とした。
「マグロ様、指の爪を切ってくれってって事でしょうか?」
素材としては如何なのか、武器屋なり鍛冶屋なりに持ち込みたかったのだ。
首を縦に振りお願する。
剣術は誰も取得していない、そこで出番となったのは一番STRが高いアンジェだった、一番切りやすいお腹辺りの高さに持って行き切ってもらったが、剣が負けてぽっきり、斬れた先端は地面に突き刺さる処か何処まで行ったか分からない程の地中の中だ。
「マグロちゃん、切断は無理ですわよ、もう良いから人化して戻ってはどうでしょう?」
俺は仕方ないから自分で切る事にする、右手一刺し指に魔力を貯め込み左手の爪に一閃、奇麗に切れた為残り4本とも切り飛ばし、人化もスムーズに元の姿に戻った。
「うーむ、見事に深爪になったな、その甲斐もあって素材ゲットだな、しっかし長いな1mほどもあるのか、俺の体がでかくなってた訳だし、大きさの判断なんてできないからなぁ」
「マグロちゃん、そんな事はどうでも良いですのよ、ミスリル製の武器が役に立たない事態の方が脅威ですのよ」
「先ほどは大変失礼いたしましたマグロ様、その事でございますが、龍化した場合にユニークスキルに【龍甲剛装】と言うスキルが追加され、人の状態から大幅に装甲が強化された状態になります、ましてマグロ様は龍王、性能が桁外れなのもその一環と思われます」
「ファサラさん、前の口調に戻してください、俺の種族が何であろうと先生と生徒に違いは無いんですから、その様に様と呼ばれなくても良いですよ、それと、この事は内密にお願いしますね、その様に改まれると対応も大変なので」
「そう、ですか、それではその様にします、シャルが求婚してると聞き及んでいます、きっとマグロさんの事を探らせるおつもりなのでしょう、敵対的な行動をしない様にと私の方から伝えておきます。
分かったわねシャル」
「わ、わかりましたわお母さま、その様に私からも伝えておきますわ」
「マグロさんもご存知かと思いますが、龍族にとりブレス攻撃は最大の攻撃であり主力とも言えます、発動方法ですが、のど元に魔力を溜め、息と共に相手に向け発動します、マグロさんの魔力操作でしたら問題無く使えるでしょう、しかしくれぐれもご注意を、地面に向けて発動した場合、確実に地形が変わりますのでその点だけはご注意を」
「確かに危険だな、主力の攻撃と言えども地形が変わる様では無暗に使用は控えるべきか、それで、無詠唱と同等に使えるのかな?」
「ブレスに詠唱はありません、あくまでも自身の属性に自動最適化されますので他の属性は使えません」
「それじゃもう一つ、飛ぶ事はしなかったけど、俺は【フライ】を使える、制御法に違いってあるの?」
「フライは風魔法を纏い制御しますが、龍の飛行は翼から魔力を放出する事によって飛翔します、その速度は龍語魔法の熟練度と放出する魔力量次第です、若干違いはありますがマグロさんなら問題無いでしょう。
後は訓練に励まれれば上達します、僅か2時間程度でしたがこれで卒業とします」
「ファサラさんの説明が理解し易かったから短時間で済んだよ、報酬にミスリルを100k渡しておいたからくれぐれも違う品とか量を減らされたとかならない様にね、もしその様な事があったら俺に言って来て、直接出向いて抗議するから」
「報酬は受け取っています、ご懸念の件ですがきちんと受け取っておりますので心配には及びません、高額すぎると思いますが「いやいや、教えて頂かなければ龍語魔法は一切使えない所だったんです、当然の報酬ですからそのまま受け取っておいて下さい」」
「左様ですか、ありがとうございます」




