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19:謀略粉砕

 翌朝食事をしてる最中に騎士風の者2名が宿へと入って来た。

 当たりを眺めて人を探してると思ったらこちらを見て会い方に合図を出し、2名揃って此方に向かって来た。


「アンジェリカ様とそのご一行だな? 皇帝陛下が謁見をご所望されておられる、即刻参られよ」


「近衛騎士の方とお見受けします、謁見の件は了承しますが、何分食事中で身支度も済ませておりません、10分時間を頂けませんでしょうか?」


「確かに普段着では皇帝陛下の前には出られぬな、10分お待ちしよう、我らは外で待つ故ご支度を整えられよ」


 騎士二名が去ったので聞いてみる。


「アンジェ、断れなかったのか?」


「無理ですわね、確かにSランクともなれば男爵程度の権力は有しますが皇帝が相手では通じませんわね、断れば帝国内に居る事すら許されない事態となりますわよ」


「それじゃ食事を中断し部屋に戻るぞ、詳しい話はその時にする」


 部屋に戻り改めて話し合う。


「確実にドラゴンの件だな、全員防具関連のみフル装備でミライちゃん2匹を懐に入れておけ、それと武器は全部預かる、どのみちマジックバッグの中身まで調べられたうえで武器は一時没収だろう、それと金貨1袋以外は一時俺が預かる、俺のマジックバッグはスキルだから見破られる心配が無いからな、質問はあるか?」


「敵対した場合は如何するのにゃ?」


「先方の戦力が分かって無いからな、とりあえず脱出を目指す、ティアは俺から離れるな、フライで飛べない者は他に居るか?」


 アンジェも飛べないらしい。


「それじゃ、謁見の間で敵対になった場合は床に穴を開けてそこから突破する、謁見の間の前は封鎖されるだろうからな、それじゃ行こうか」


 外で待つと言っていた通り、馬に乗った騎士10名と馬車一台が待機していた。


「騎士殿、お待たせして申し訳ないですわね、準備が整いましたわ」


「ではご足労頂きますが、此方の馬車にお乗り下さい」


 特に罠とかは無いな、勝負は城に入ってからか。

 宿は中心部に近いからな、20分程度で城門を越え、城の入り口前に降り立った。


「お待ちしておりましたアンジェリカ様、並びにPTの方々、此方は皇帝陛下の住まう皇宮、その様な場所に武装されたままのご入場は許可できません、防具は構いませんが武器をお持ちでしたらお預け下さいませ」


「執事殿の申す事はもっともだ、それゆえ宿に武器は置いて来た、よって我らに武器は無い」


「左様ですか、そちらの方の言葉を信用させて頂きましょう、しかし貴方様の頭の上に乗せておられる魔物は御預け頂けますかな?」


「なに、高々スライム1匹、騎士殿が大勢いる中脅威には成りません、お見逃し下さい」


「スライムですと! 少しお触りしても宜しいでしょうか?」


「ええ構いませんよ、好きなだけご確認を」


 揉んだり撫でたりして確認しているが驚愕の表情だ。


「この様な種が居るとは・・・ぜひ陛下へご献上して頂けませんか?」


「いかな皇帝陛下のお望みでもそれは承知しかねます、苦労して手に入れた1体、金銭には代えられません」


「うーむ、それでは情報を頂けないですかな?」


「冒険者にとって情報とは命の次に大事なもの、皇帝陛下にお仕えされる方ならばご存知のはずですが」


「それでは金銭をお支払いしましょう、如何ほどならお売りして頂けるか?」


「そうですね、白金貨1万枚ではどうでしょう?」


「1万枚ですと! それは余りに横暴では!」


「そうですか? この個体ともなれば白金貨10枚は下りますまい、それが恒久的に手に入る術をお教えするのですよ、これが高いとおっしゃられる様では見る目がありませんね」


「・・・私では判断ができません、陛下にお伺いして来ますので、この場でお待ち頂けますかな?」


「構いませんわよ、ですが、一時間程度にして頂けないかしら、私達も暇ではありませんの」


「了承しました、暫しお時間を頂きます」


 40分程度でやっと戻って来た。


「お待たせして申し訳ありません、情報購入に利点があるか財務の者と協議するとの事です、その間客間にてお待ち頂きます、その為、そのスライムの入場を許可するとの事、それではご案内いたします」


 1Fの部屋前にに案内されると、中のテーブルには飲み物や果物のデザート類まで準備されているのが見て取れた。


「此方です、何分お待たせしますので軽食を準備させて頂きました、お待ちの時間にご堪能下さいませ」


「ほう、それは忝い、1つお聞きしたい、この品々も皇帝陛下の指示でご準備されたのか?」


「左様です、中々手に入らない品をとの事で、陛下自身がご選定され準備させて頂きました」


「それは素晴らしい! それほど我らの事を思って頂けるとは光栄の極み、それじゃお前が入って寛いでろ」


 奇麗な立ち姿で足を揃えてるから刈りやすいと足を払って全身が空中にある間に部屋へと蹴り込み扉を閉めて【ファイア】を発動させドアノブを焼き切った、そして各人に武器を手渡した。


「流石マグロにゃ、ここまで毒の匂いが漂ってたのにゃ」


「正確には神経系に影響のある麻痺毒だな、鑑定は誤魔化せないよな、ついでに中から開けられないような小細工と魔法陣の罠付きときてる、俺達を拘束する気満々だったって事だ、急遽即死させる毒から麻痺毒にでも変えてたんだろ。

 アンジェ、一つ聞きたいがPTリーダーが命じてPTメンバーが殺人をした場合だが、リーダーの扱いはどうなる?」


「拘束して処刑ですわね」


「なら皇帝だろうがなんだろうが、俺達の命を奪いに来た犯罪者、その認識で間違いないか?」


「皇帝の権限をもってすればもみ消す事も容易いはずですわ、如何に犯罪者と言えどそれを皇帝に当てはめるのは・・・」


「それじゃ選択は3つって考えれば良いのかな、素直につかまって死ぬか、帝国外へ逃げ出すか、それとも反撃するか。

 追加で言えば、犯罪者の皇帝を野放しにする事が世の為なのかて事だな、アンジェの意見は?」


「権力を考えなければと言う前提で話すと当然一番最後の選択肢しかありませんわね」


「なら決定だな、近衛兵を粗方倒せば全員が城の中に居るトップクラスとも簡単に渡り合えるようになるだろう、都合が良い事に城の前には俺達を捕らえようと6000人ばかりの騎士と衛兵が集まっている、此奴らを殲滅するぞ、俺だけでな!」


「マグロ様、それは無茶です、私達もお手伝いを」


「それじゃ外の敵は俺に任せてくれ、中の連中も集まて来てるからそっちは任せる、ただ、特に厄介そうな二人が謁見の間らしき所に居るからそれらが動く前にケリをつけるぞ」


 マグロ達は入口へと取って返し、扉を至近距離からの【エアブラスト】で吹き飛ばし、その隙間を縫って【ファイアエクスプロージョン】をど真ん中に放った。

 爆風が吹き荒れる中でも指揮をとれる者が居た様だ。


「応戦しろ! 拘束するのが目的だったが仕方が無い、殺しても構わん!」


 魔法は詠唱が必要なのでまだ飛んで来ない、弓も矢を番えて引き絞る必要がある為にそれも間に合わない中で更に先制攻撃を加える。


「さて、構想は出来上がってるからな、試させてもらうぞ、右手に熱湯【ウォーターボール】左手にステータス依存で上限いっぱいの火力【ファイア】敵に向かいかの地で接触せよ【爆圧水蒸気砲】」


 消費MPが両方共に3で合わせて6のお手軽魔法だがその圧力による威力は格別だ、ウォーターボールの水量は800ℓだからな、これが一瞬に1700倍ほどへと膨れ上がる。

 爆風と悲鳴が折り重なる中さらに追加で発動する。


「さてさて、これからは無詠唱で連発するから少し踏ん張ってろよ」


 【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】【爆圧水蒸気砲】と隙間なくばらまき100発放ち終わると悲鳴すら聞こえなくなり、空間把握では赤いマーカーが奇麗に消えて無くなっていた。


「外は終了だ、レベルが上がってるから各自それに注意して行動してくれ、そろそろ例の二人が向かって来てるから対応するぞ」


「無茶し過ぎよマグロちゃん、あれは何? あんな魔法は見た事が無いわよ」


 またも後ろに回り込み右手を胸元に突っ込み胸を揉む、左手には槍を持ってるからな。


「まぁまぁ落ち着きなって、後からじっくりと説明するから、あれならアンジェもセレスかシェルと組めば発動可能だよ、しかし、こうしてると俺も落ち着くなぁ」


「本当にマグロちゃんは緊張感に欠けますわね、落ち着きましたからもう胸は揉まなくて良いですわよ」


「そお? 何だか名残惜しいなぁ」


「夜なら思う存分堪能してくださって構いませんわ、それより追撃の準備をしましょう」


「そうだな、俺が先頭に立つよ、今2階から降りて来る所だな、おっと1Fに着いたようだ、前方の通路全面を高さ50cm覆え、魔力は適量【アイアンウォール】」


 膝の少し上付近まで鉄に覆わせ完全に固定する。


(お前何をした! これでは身動きが!)


「な、簡単な作業だろ、動けないから後は仕留めるだけだ、誰か遣るか?」


「マグロ様お任せ下さい、何もしないままではいる意味がありません」


 緩急をつけ速射にて連発される矢を辛うじて手持ちの長剣で切断しているがいかんせん体制が悪い、徐々に受けるようになり動きが鈍る、死ぬ覚悟が出来たのだろう、持っている剣を投げて来たが、俺がそのまま収納して美味しく頂いた。

 その時にはすでに息絶え後方に居る魔法を使う奴に対して連発している。

 此方は超高温のファイア系の壁魔法を使い焼き払っているから一つアドバイスをした。


「セレス、あの炎に向けて熱湯のウォーターボールを撃ち込んでみろ、それでケリがつくぞ」


 このアドバイスを受けたセレスがウォーターボールを撃ち込み、疑似【爆圧水蒸気砲】が完成、前者の遺体も含めて上半身が引きちぎれて魔法使いの方も決着が着いた。


「このまま地下に侵入して宝物庫の中身を全部もらい受けるぞ、あちらがこっちの資産目当てなら、こっちもあっちの資産を奪ってやるよ、場所は見当がつくから行こうか」


 鉄と遺体を同時に収納し、隣に居るセレスの腰に腕を回して突き進む、唯一宝物庫の番人に【ライトニングアロー】で処理をし全員で到着した。


「マグロちゃん、どう見ても結界魔法で覆われてますわよ、どうしますの?」


「うーん、この魔力の供給源を絶つか強引に突破するかだな、幸いこの左手の壁向こうに城全体を覆う結界の魔法陣もあるようだし、丸ごと奪って来るかな」


「その壁も結界付き、どうにかなる物なの?」


「なるな、結界があろうと俺の空間把握では突破出来てるから、土魔法と時空間魔法を混ぜれば切り込めると思う【アースブレイク】とまぁこんな感じだな」


 粉砕とまではいかなかったがヒビだらけ、槍を突き込み完全に破壊して侵入した。


「後は魔石を外して切り取って収納すれば、持ち歩きが可能な結界をゲットって所か、それじゃ外すのを手伝ってくれ」


 大魔石のみ1500個使用してる様だ、そして新たな魔法【アースホール】で切り込みを入れて壁ごと頂いた。


「上出来だな、それじゃ、扉を打ち破ってとりあえず全部収納する、検品は後日だな」


 エアブラストで吹き飛ばすと傷が付く恐れがある為【アースブレイク】で粉砕して中に入る。


「流石帝国ですわね、金品はどうでも良いですが、武器に防具に装飾品も良いのが揃っていますね」


「うーん、参ったなぁ、俺以外って鑑定を持ってないよな、鑑定用のマジックアイテムって売って無いか? こんな大量の品を一つ一つ鑑定しろって倒れるぞ」


「先日行った魔道具店に行ってみましょう、何か手があるかも知れませんわよ」


「それじゃ全部収納して帰ろう、ま、帰り際に1発どでかいのをお土産に残してね」


「何をするつもりですの?」


「単にウォーターウォールとファイアだけだよ。

 今回の事が起きる様なら全員に無詠唱と多重起動を覚えてもらおうかな、そうすれば一人移動砲台になれるからね」


「移動砲台は兎も角、もしかして先ほどの?」


「そうだよ、きっちり止めをしておく」


「マグロちゃん、それは必要ないわよ、たったこれだけの人数に倒されたとあっては、もう手出しはして来ないでしょう、確かに命を狙われたけど、これ以上の攻撃は必要無いはずよ」


「・・・わかった、これで皇帝が反省するならよし、そのまま放置するならこれ以上は手は出さないと誓うよ」


「マグロちゃんありがとう、それじゃ全て頂いて、帰って昼食にしましょうね」


 全部収納して帰宅し昼食を食べて部屋に戻り、回収していた品全てを各自に戻し例の魔法の種明かしをする。


「それじゃ俺が殲滅に使用した魔法の種明かしをするぞ」


「水が瞬間的に消えてましたわね、それが原因なのですか?」


「そうだよ、お湯を沸かすと湯気が出て、お湯の量が減っていくよな、あの現象を気化って言うんだが、水が気化した場合、元の体積の約1700倍ほどに膨れ上がる、水1ℓで水1700ℓ分の大きさになると考えて良い。

 そして俺のウォーターボールはウォーターウォールと同等の水の量だ、だから一発で800ℓな、それを気化し易い様に元から熱湯で水球を作り出す、それと同時にファイアを発動して敵に接触直前に二つの魔法を接触させる、そうすると瞬間的に全部が気化する、当然800ℓもの量が1700倍ほどに瞬間的に膨れ上がるんだ、側の者に多大なる圧力がかかって吹き飛ぶなり圧力がかかって内臓損傷なり引き起こす。

 結果は御覧の通りだな、水系の魔法を下手に火魔法で受け止めると危ないって事だ、それで最後の魔法使いは吹き飛んだけどな」


「なるほど、膨張する性質を利用されたのですね」


「ただ欠点があってな、接触前に片方でも潰されたら効果が出ないって事だ、もしくは発動させるのに自分の近くで発現してみろ、逆にこっちが吹き飛ぶから注意だな」


 説明も終わり寛いでいると、例の助けたお嬢さんがやって来た。

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